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クレディア 民事再生でどうなる不当利得返還請求権と証券化の扱い

貸金債権が証券化され、証券化期中にあるとき、信託委託者の民事再生、倒産手続きで、証券化債権に生じた不当利得返還請求権の法律関係と扱いを中心に考察する。


I 民事再生手続きと証券化譲渡(売買)債権の扱い 

1. 証券化の法構造入門、証券化の関係者、信託の利用と受託者責任、信託委託者の義務、証券化サービサーの権限
  譲受・受託者(信託銀行)、信託委託者兼サービサー、受益権購入者兼証券発行SPC、バックアップ・サービサー 、証券引受会社、格付機関、顧問弁護士ら、会計士
2. 証券化の真正売買の仕組みとメカニズム(証券発行の契約関係) 
3. 破たん前の証券化の債務整理の処理方法(信託の一部解除)
4. 証券化債権の手続き内のでの債務整理交渉の相手、不当利得返還請求権の貸金業者の当事者適格(貸し手、サービサー、受託者、それとも投資家)、信託委託者共同被告、文書提出命令は、サービサーに
5.  サービサーの権限の範囲と違反
5. 不当利得(確定)債権の受託者への請求と支払いの能力は信託財産の範囲で
6. 世界に散らばる投資家の過払いリスク(有毒廃棄物)負担
7. 過払い負担した受託者の貸し手への補償請求権と手続き処理の扱い
8. 証券化期中利益=超過回収金は、再生会社に戻らないで全額デフォルト・トラップされるという意味
9. サービサーによるサービシング事務受託の解除
10.  バックアップ・サービサーに交代したとき、2007年判例により、金利引きなおし計算して債務消滅した債権から債権不存在を認識しつつ回収するのは悪意の受益者として扱われる結果、その時点で信託財産価値は? 
11. 信託契約変更の必要 

II. 民事再生手続きと不当利得請求権の処理(倒産処理の基本原則を学ぶ)
1.  なぜ民事再生か
2  債権不届出は、権利放棄を推定されるか。
3. 手続き下での申し立て前に原因がある過払いの訴訟の提起
4. 手続き下での裁判外和解、裁判上の係争の扱い
5. 不当利得は共益債権とは分類されない



証券化の債務整理、不当利得請求権の扱い

通常証券化では、調達額の1.25倍の担保設定をしますから、担保設定額は、250億円となり、調達額ベースも、債権額ベースでも、単純に4人に1人が、証券化されていることになります。投資家の希望で、あるいは格付上や受託者の要請から、貸付の経過が4年以内の債権だけが、証券化されていることも考えられます。
クレディアは、証券化契約にもとづき、特定債権の貸金を信託に真正に譲渡し、弁護士から真正売買意見をとっています。受益権は、そのためだけに設けられたSPCに売却されており、SPCの唯一の財産は受益権でそれを引当財産にして証券を発行し、通常AA~Aの格付がつけられて、投資家に販売されています。
ここで、担保、担保額、担保設定という用語法をつかっていますが、正確には、信託設定、信託財産額を意味します。

証券化されると、貸金債権は、信託銀行(受託者)に証券化目的に譲渡されており、債権譲渡特例法に従い登記されています。信託への移転後も信託債権について、クレディアは信託契約上受託者からサービサーとして回収事務委託されておりますが、他人のための財産管理です。法律構成上、代理人でも、授権でもありません。事務受託にすぎません。
ただ証券化は、債務者に対する通知なく、登記上の譲渡の対抗要件だけで済ましていますから、関係当事者以外、証券化以前と同様に、業務されています。しかし、契約上、債務整理の和解や不当利得返還請求権がある場合には、その債権について、信託を毎回一部解除して、現状有姿で戻すか、元本額で買い戻し、権利を再移転してから(あるいは和解後事後的に移転処理されることもある)、自己の債権として、和解されており、債務者が、受託者である信託銀行と交渉することはありませんでした。 

無償で戻す場合には、必要担保額が維持できませんので、格付維持をする場合、繰上げ償還を希望しなければ、実質的に追加の債権譲渡(差し替えの担保設定と実質は同じ)が必要と義務付けられます。
再生手続き、それ以前の保全手続きでは、信託の担保解除するのはできるでしょうけれど、追加の譲渡は偏頗譲渡、危機否認される怖れがたかく、無効の訴えが提起されるでしょうから、認められません。

また現金購入も同様、価値のない債権を、負の債権を、経済的妥当性のない価格がで買い取ることになるので、再生会社債権者に対して、詐害行為となるでしょう。
そうすると、再生申立て以前のように、クレディアが自由に、自分の債権として、債務整理して和解したりする権限はなくなります。権利者のための財産管理になり、信託がどれだけの裁量を認めるかにすぎません。事前同意のない権限外の減免和解は、信託財産に関して、重大な契約違反であり、サービサー解任事由でもあり、損害賠償の対象となります。投資家が権利放棄しない限りは。
ただし、信託移転前の取引履歴情報は、委託者であるクレディアにあるので、債務整理のための履歴情報取得は、クレディアからなされなければなりませんし、履歴情報の提供は、事実確認行為であり、法律行為でないので、サービサー義務違反を構成しないと考えます。ただ事実の開示に過ぎませんので。
そこで、保全期間を含め再生手続きのなかで、債権額の減免請求や過払い請求となると、請求先が違うというか、権利者である受託者にいってくれ、当事者適格性を欠くということになり、提訴しても、却下されることになるでしょう。すでに、再生申立会社の財産ではないのです。財産としては、サービシングをする権利だけです。しかしながら、債権回収のため訴訟を申し立てる権利も、自己の債権を証明できないので、法的には認められません。

ただし不当利得に関する責任が、信託移転前と移転後の権利保有期間によって分断されるという理論をたてれば、また不当利得は、すでに信託移転前に生じており、債権が消滅していたということであれば、訴えは、再生会社を相手にすることになる。ただしこの場合、受託者は、債権が消滅して存在しない債権を信託譲渡したとして、重大な点について債権の適格性を欠き、不正、虚偽取引で一部契約違反を構成し、あるいは債権について虚偽の報告をしたとして表明保証違反を問うことができれば、委託者クレディアに賠償請求することになる。だだし、譲り受けた受託者側として、過払い債権の発生蓋然性は、当然の調査確認義務を負っており、委託者のことばに依拠しただけで判断したとすれば、受託者にも、不注意は発見されるので、その分について、過失相殺が認められよう。

こうして、再生手続きでは、結果として、債権届出を受け付けられない債権がでてくる。債務整理のためのデータ開示は、クレディアに求められるが、受託者を訴えて裁判上の争いになり、裁判所に文書提出命令を求めるのは、訴訟当事者でないクレディアになる。裁判上の部外者が協力してくれるか。結果として、自分にとっても不利な結果になるので。
共同被告として、訴えを出せるか、権利関係の検討を要する。なぜなら、たぶん信託受益権の10~20%を占める劣後受益権(超過担保目的の不可分共有持分)は、クレディアが持っているからであり、債務整理損失を真っ先にカバーする補填部分だからだ。

信託は法的な外観は受託者が権利者ですが、受益権が投資家に売却されていますので、経済的な持ち主は、世界中の不特定の投資家ということになります。たとえば、特定の4万件ローン、調達額100億円、担保設定された元本総額で120億円が信託されているとして、信託債権の範囲内で、信託銀行は過払いを返済することになるでしょう。その元本をもっても足りなければ、過払いは返還される原資がありません。もし150億円の過払い金が請求されても、30億円はカットされるという意味です。
信用リスク負担は投資家にありますから、過払いがなくても、120億円の債権が金利引きなおし計算で、全額がゼロ円債権となれば、投資元本の回収金はなくなります。すなわち、金利引きなおしで、担保の60%が消え、40%相当分で過払いがでれば、投資は全額損失になります。

信託財産に対する過払い金請求、債務整理

過払い返還請求の手続きとしては、再生手続きで債権存在の確認を受け、不当利得債権を確定させ、その証明をもって、信託を管理する受託会社に請求を起こすことになる。受託者は、その請求について、裁判外で争わずに支払うかどうかは、不透明です。投資家の同意を求める必要があるか、財産滅失行為が受託事務の範囲か、不安であれば、確認をとるでしょう。なぜなら、投資家は、元本が返ってこないことはあきらかだからです。

さて、受託者が信託財産から不当利得請求に応じて履行した場合、受託者は、信託契約上、その補填を求めて、再生会社に補償の請求をだすことになります。そのとき、再生会社によって、一部切捨てられるでしょうけれど、一部補償に応じることになる。そうすると、その分、再生会社財産は目減りします。
不当利得債権の責任は、貸主にあるとして、全額について補償に応じるかもしれません。ただし金融機関など債権者が同意するかはわかりません。ところで、クレディアは、保有貸金の2割に相当する過払いのための引当金を積んでいますが、証券化は、権利が保全されていないので、それを利用することはできません。

もうひとつ、証券化では、超過回収金をクレディアが取得できるよう証券化の期中利益は還流させていますが、それが途絶えます。超過回収金とは、
信託財産に生じる収入合計-費用合計=ネット利益
をさします。受託者により、毎月清算されて、委託者に返金されますが、その額は、年ベースでみると、
29.2x.92-3-1.5-10=12.364%(金利収入x延滞のない支払いのある債権-投資家金利-信託管理の年率と証券発行引受手数料の総額の年割の%、
ネット貸倒債権=ネット利益で、
これがクレディアに戻る分。また100億円の調達について、120億円の超過担保設定されますから、ネット利益の計算は、
(29.2x92%x1.2-3-1.5-10x1.2)/1.2=13.114%  
この金額がこれまでは、証券化の期中利益でしたが、今後は証券化のメインテナンスしても、こうしたサービス報酬はいっさい返って来ません。200億x13.114%=26億2280万円 
これも、仮にクレディアを相手に訴訟追行し過払い請求を主張される方方には、痛手になるでしょう。サービサー料も入らないのに、証券化のサービシングをしなくてはならない。信託事務の受任を信託側が解除をすることも出来ますが、準備されていたバックアップ・サービサーの発動により、コンビニでの振込用紙が送られてきて集金代行になってしまいますので、元本回収率は、一挙に悪化し、債務者に対する債務整理応もできません。


サービサーによるサービシング事務受託の解除、サービサーの費用求償権を認めるサービサー契約に信託契約を修正して、サービサーに留まらせる結果になる

またバックアップ・サービサーに交代されれば、金利は全額18%しか回収が許されません。その時点で、金利引きなおし計算して、元本が消滅していれば、返済が終了の通知を出すことになり、悪意で金利引きなおし前の債権額を回収することは判例法理上できない。過去に不当利得がすでに発生した債権は、その時点で全額債権が消滅して、存在していないことが確認される。
こうして混乱となり、投資家の打撃はさらに大きくなると見られますので、誰もサービサーの交代を認めないでしょう。そうすると、クレディア側が、費用負担についての求償さえみとめられない、不合理な委任なので解除をすることは出来る。あまりに低い金額なので、また解除がありえるという前提で、バックアップ・サービサーを事前に信託上任命しているのだから、委任解除の賠償請求という訴えの根拠はむつかしい。  

サービサーを継続させるためには、投資家同意のもと、信託契約の修正をし、費用求償を認めることが最も妥当な結論になるでしょう。
最低必要な固定費用を投資家側が払うことを同意することになる。たとえば、以下の数字は、経済的計算の上、正常債権総額x1%、初期延滞債権元本総額x3%、60日以上の長期延滞については、回収額x20%の報酬とかに信託契約の修正になるでしょう。
ところで受託者及びバックアップ・サービサーには、債権譲渡前の取引履歴は交付されておりません。譲渡後の履歴だけですので、バックアップ・サービサーは、債務整理に応じられないわけですから、サービシング不適格となります。格付会社は、倒産申請のためなど、万一のために、A以上の格付取得のために、バックアップ・サービサーが必須と求めますが、こんなことでは、投資家にとっては、何の追加的価値もくれません。
債権保有期間による不当利得責任按分に関しては、上記の通り。

4人にひとりの債権が信託に

問題は、200億円の証券化があるということ。そうすると担保に入っているのが、x1.25だとして、250億円。借入額、貸付残高のいずれも25%を占める? 負債に証券化が入っているかどうかはしりません。すなわち、債権は真正売買というこれまで破産裁判所が認めてきた手法で、売買されており、権利は信託銀行に移転されています。
4人にひとりの過払い金の請求先は、すなわち当事者適格というか、訴訟追行できる先は、信託銀行となります。クレディアは、真正に譲渡され、譲渡登記された貸金債権の回収事務を受任しているだけで、和解交渉したりすれば、その前に信託を解除して戻すか、買取する義務があります。他人の債権について、意思決定することができず、支払い免除などできません。そんな代理権はない。当然訴訟されても、私の債権ではなくなる。権限もない。信託から無償で戻すとしたら、投資家が損を被るから、損害賠償請求-->民事再生で免責に変わるけど、投資家が納得するか。そうすると、信託から戻せないわけです。
信託銀行は、外資系かもしれません。この手は、オリックス信託、新生信託、あおぞら信託、JPモルガン信託などが手がけていました。
金融庁は、1年前だったか、信託財産として的確かという見解をだして、牽制していますが、格付会社がAAを出すので、投資家にははまっています。たぶん劣後の部分などは、ヘッジファンドかCDOでしょう。
サブプライムな構造です。





なぜ民事再生か。

破産法申請しなくても、債権カットと従業員解雇で済ませて、経営者は、傷つかず、貸金業撤退して、他の業務をするというのでしょうか。こんな計画で、スポンサーががいるのでしょうか。
もし事業の承継者があらわれなくて、ただ銀行の借入金の減免を求めるのであれば、それを過半の債権者が納得するかですが、裁判所は、納得させるにたる特別扱いの根拠を示せないでしょう。
民事再生は、いきづまり、破産に移行?

経営者が経営権をそのままにして、債権者の同意をとって....不当利得返還請求の債権届出がなければ、届出のなかった過払い債権から放免されるのか。
静岡銀行など債権者とプリ・パッケージ(事前の再生和解ができている)事件かもしれないと穿ってしまう。なぜなら、過払いさえ防止できれば、2割も過払い金引当金を積んでおり、仮に貸倒損失が15%の範囲であれば、他の営業経費にまだ14%もあてられるので、借金は全額支払能力があるとみられるからだ。
過払いがでたら、最終的に傷むのは、貸金業者に金を貸して、回収できない銀行となる。弁護士が儲ければもうかるほど、クレディアは返済能力を欠き、銀行の懐はいたむ。

いずれにしても、銀行か誰か金融機関の裏知恵があってのことだろうか。
破綻して、株式も経営権をすべて地位をなくすというならまだしも、経営を続け、そして、債務者が債権届出が怠れば、過払い金から永遠に逃れられるというのか。手続き下での将来の不当利得返還訴訟を妨げることはできないだろうが。

民事再生申立時点で、不当利得はすでに存在していることがあきらかでも、届出をしなかったら、不当利得返還の権利放棄したことと推定されるか。少なくとも債権額不確知だろうと、争いがないというのであれば(判例法理でみなし弁済が否認されるというのが確定的であるから)、不当利得の届出は認められるだろう。手続き内で、不当利得の債権額を確定すればよいから。
クラスアクションのように、潜在利益権者の利益団体として訴訟追行できるならよいが、不当利得債権者の利益を守れるが、それもできない貧困な我が国、消費者保護法。

今般のみなし弁済をみとめない過払金の判例法理が固まる前と、それ以降では、業者の経営環境は様変わりしている。確かに裁判所の判断から、すでに不当利得が届出されすれば、争いのない債権ということで、事務的に金利ひきなおし計算されて承認されるだろう。消費者有利にみえる。

しかし、判例法理が確立する前のアエル破綻の時、過払い金が経営に重大な影響を与えない当時の再生申し立てと、今般の経営環境は大きくことなり、したがって申し立て動機も異なるだろう。
クレディアは、過払い金さえ発生しなければ、債権者に期限どおりに支払いができて、やっていけると判断されないのか。過払いがあって、貸倒+過払い合計で、債権額x18%以上となって、販売管理費合計14%が払えなくなり、営業を恵贈すればするほど、赤字が募ることになる。したがって、民事再生の目的自体が、過払い金をここで断ち切るという動機が、状況説明からも強く伺える。銀行にとっても、それがありがたい。だから申立に(裏では)銀行は賛成したのだろう。銀行は、過払い債権が、銀行への返済に優先されたら、いくら減免したら、やっていけるかも、不透明になる。
クレディアは破れかぶれで再生申したてしてみたのではないか。これで失敗しても、いずれ破綻はみえていたから、はやまっただけ。うまくいけば、不当利得の届出なくて、債権は消えるかもしれないと。


どの程度、信用悪化が見られるか。貸倒は年15%を超えているか。

事業継続すれば、赤字がでるほどに、債権のパフォーマンスは悪化しているのだろうか。たとえば、年率貸倒が15%をこえるとかの危険水域にあるのだろうか。そうでないとしたら、民事再生申立は、過払い金防止対策という色合いがあると考えざるを得ない。

その証拠に、証券化案件は、格付は監視銘柄にされたが、格下げになっていない。
通常、延滞や貸倒などが当初決められた水準を越えた場合、格付を維持するために、現金準備金を信託財産として積まない限り、予定された約定の償還期日よりも、早期の繰上げ償還が開始され、元利金の回収金全額が、投資家への返済にあてられる。そういう状況にはないようだ。

証券化では、通常、3年ほど、元本据え置き期間があり、その間は、担保から回収した元本については、リボや再度途上で既存客に貸したりして、担保の残高が維持できる。元本の返済が担保債権額の4%だとしたら、それがリボや完済された口座への貸付に回される。

仮に、10%の貸倒損失実績を前提に、AA格付の信用補完が決められる場合に、貸倒実績の3倍までのストレスに耐えられるように、構造化される。したがって、たとえば貸倒が15%に上昇したなど、一定限度信用悪化した場合には、現金を積んで、信用を維持する必要があり、それができなければ、繰上げ弁済事由となる。しかし、貸倒が20%にもなれば、すなわちある一定のれベルを超えてしまった場合には、超過担保掛け目によるが(100の調達額に対して、200%入っていれば、投資家の保全度合いは高い)、130%の担保ではAAは維持できなくなる。そうした準備金や超過担保掛け目が経済的に満たすことが、経済的にむつかしくなったとき、繰上げ弁済が開始される。準備金を調達額の50%も積めば別でしょうけど、何の運用益も生まない現金が信託されるくらいなら償還ということになる。

さてクレディアでは、そうした強制繰上げ償還がおこっていないこと、格下げがなかったことから、貸倒は18%を超えていないと見られる。


過払い債権は、本業の営業から生じる債権


アエルでは、ローンスターが事業管財人について、債権者が一本化されたから、まとまりがとれた。
今回は、過払い債権の返還を担保債権に優先させることができるか。アエルのとき、裁判所は、確か、過払い金債権を共益債権という判断はしてませんでした。そもそも当時はまだみなし弁済について、争いのある債権でしたから、(業者に不利な条件であれば)訴訟で金額を確定する必要があった時代のこと。今回は、過払い金債権の金額は、個々には小さいですが。全体でみれば、小額債権とはいえません。過払い金の全体額は大きく、債権者への影響、事業の再生にとって、その扱いが意味が大きすぎる。

次に、クレディアに対する銀行のローンを60%で買い取るファンドが表れたとき、どうなるか。その債権者は、手続き上、決して不当利得の特別扱いを認めないでしょう。年2割の利益を期待して投資するとしたら、不当利得を認めて割引価格を決めたら、30~40%になって、銀行は処分売りしないでしょう。購入にさいして、全口座を本日付で金利再計算したときの残存額を査定し、それに70%を乗じてくらいで買うことになるでしょう。
引きなおし計算しない元本額の6割なら、今日売れば、損金処理して終わりにできるから、売るでしょう。
私がファンドの経営者であれば、過半のローンを6割で購入できれば、再生案では、いっさい特別扱いを認めません。そんな法的根拠どこにもないでしょう。法的な正当性のない債権者不平等な不当な扱いを認める必要がない。裁判所が強制するなら、見返りをどうするか。もし、過払いを優先するなら、ファンドはつかないこととなる。

再生手続きでの過払い債権の扱い (別稿に分析があります)

① 申し立て時点で、すでに和解が確定したものについては、不当利得請求が確定しているので、債権額を届出ができる。
② 現在、訴訟外での和解交渉にあるものは、再生会社に引き継がれるが、訴訟手続きに移行するし、裁判外の和解の交渉については、中止される。
③ すると、金額不確定ながら、過払い金返還の可能性があれば、届け出て、再計算を委託する必要がある。
④ 過払いの認識がなく、届出を怠った債務者について、将来手続き下の再生会社に対しての訴えは、原因の発生が再生申し立て前といっても、届出をしなかったことで権利放棄が推定されて、排除されうるか。
⑤ 債権の届出の分類をどうするか。一般債権なのか。本業の業務に関連して生じた債権だから、また債権者への分配金にも影響するから、共益債権というわけにもいかないだろう。しかし、こうした不当利得債権を救済の減免対象にするか。

④については、訴えが一方的に退けられ、認められないということではないでしょう。債務者が契約上の関係者といっても、再生手続きに関する開示を、公衆が閲覧できるとはいっても、不当利得請求を届出しなければならなかったという認識がなかった、不当利得の発生を認識していなかった、できる状態にはなかった、あるいは利息制限法の基本的知識を欠いてその発生があったことを認識だにしていなくて、取引履歴開示がなされていなかったので、懈怠がなかったことを証明すれば足るとしたらどうか。そもそも、(i)貸金業法24条2項通知を送付することを怠って、債務者に債権の帰属も通知しないうえ、(ii) 金利再計算すれば、誰の債務が消滅しており、不当利得請求がが発生している債務者か認識できるのは、再生手続き申し立て者であり、そうした知られたる消費者債権者に、債権届出の通知を出していないのだから、債権不届出をもって、権利放棄の推定は横暴ではないのか。もし通知に手続き上の瑕疵があれば、将来の不当利得返還請求権は、手続き開始後でも、手続き外で、行使できると考えるとするのは、債権者平等に反するというのだろうか。

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これはサブプライムか?
アメリカの住宅ローンと同じ問題が、日本のサラ金でも起こるってことですか?
おれだよ、おれ URL 2007/09/20(Thu)15:34:01 編集
Re:これはサブプライムか?
似たような法律構造現象があるかもしれません。証券化では、手形法理の応用で、詐欺貸付の責任の切断が生じる。責任は、格付AAAと証券会社の証券法11条due diligence責任で、詐欺のないことで担保される。liar's loanも証券化されたが、そもそも所得証明なしで、自己申告だけで、嘘があるかもしれないし、支払能力の保証がないというローンに、それが1000件あつめたからといって、評価ができるのか。
不当利得が発生する債権の場合、それが目論書に十分な記載があったとしても、信託委託者が倒産したら、存在しなかった債務が売られていたことになるが、その責任は、投資家に行くのか。投資家に信用リスク移転されることで、譲渡者、証券会社、受託者、格付会社は責任を免除され、でも資産の信用の質の問題ではなく、債権の存在そのものが譲渡対象になりうるかの問題か。
こんな状態で、S&Pが格下げをしていないようだが、彼らには、表現の自由だけを保障し、格付が発行目論見書必要記載事項にして、証券市場の朱印状を売っているのに、何らかの(証券)法には相当な知識経験のある専門家に求められる相当の調査義務というのは、期待してはいけないのか。
【2007/09/20 15:55】
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