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債権譲渡登記と第三者対抗要件具備の機能不全
信託財産の責任と受託者の責任

--- 貸金債権の信託譲渡をめぐって

民事再生手続き申立以降、信託譲渡された信託財産にかかる回収金について、集金事務受託者からの引渡しは停止されたままだという。破産決定後以降、譲渡資産は、別除権となり、また委任は会社清算ゆえ、いずれにしろ終了するる、信託銀行は自分で回収するほかない。したがって、貸金業法24条2項通知を兼ねて、債権譲渡通知を譲渡人と共同して送付するほかなかろう。
信託銀行が回収金を受領できていない背景は、手続き決定というだけの問題ではない。2重譲渡がなされているから、問題は複雑になる。

信託銀行は、2重譲渡債権について、今のところ譲渡債権の権利者の確定をめぐり、振興銀行に対して、確認訴訟を提起していない様子だ。そのため、振興銀行は、SFCGの債権について、唯一譲渡通知を送付して、債務者対抗要件を具備し、事実上独り占めし、回収金を自分のものにして、いまやひとり勝ちという。(Zaiten,6月号、日本振興銀行が攻勢を掛ける破綻・SFCGの遺産争奪戦)

信託銀行は、何を躊躇って、譲渡通知に踏み切らないか。受託者は、譲渡通知を出したら、過払金返還責任がでることを恐れている。ただ最も恐れられる信託期間中の完済債権については、既に債権が消滅してしまっているので、新たな借り入れが無い限りは、譲渡通知が不要なので、もはや債務者に譲渡が知られることもなく、過払金問題が大きくなりはしない。
債務者からの債務整理の申立があって、も、SFCGが債権届出を受け続けてくれさえすればよい。SFCGの破産手続きが終了し、譲渡通知が終了までになければ、信託に対して請求する債務者はありえない。
他方、債務者側弁護士が譲渡のニュースを知り、債権者が誰だか登記から調べて、信託に対する譲渡を承諾させ、争う弁護士がでてくれば、完済債権であろうと否とにかかわらず、受託者は困ることにいなるが、そういう弁護士は今のところ現れていない。

信託銀行には、それ以外に、大きな不安がある。
信託銀行は、金融機関である以上、貸金業法の適用を受けず、どんな債権でもグレーゾーン金利を請求できない。
譲渡通知をだせば、いつ譲渡されたか知られてしまい、信託銀行はSFに回収委任して、超過金利を不当に徴収しつづけ、収受していた事実が弁護士に明らかとなる。
その上、銀行である以上、利息制限限法の適用金利を越えたグレーゾーン金利を請求できないというのは、振興銀行型の理解でよいのかどうか。すなわち、引き直し前の残高を譲渡債権として、譲り受け、その金額を基準にして、金利を利息制限法適用範囲(15~18%)に下げて請求すればすむのか。
それとも、グレーゾーン金利を請求できないという解釈が、金融機関だから元々契約であろうと超過金利を受け取ってはいけないのだから、譲渡の結果、その時点で、金利引き直し計算した金額しか、請求根拠をっもちえないか。これについては、裁判例がないから、弁護士らも半信半疑が続く。サービサー法での回収受託での権利・義務を考量して、参考にするか。

もし、金融機関は、譲渡債権については、もともと貸金業法の適用が受けられず、自分が当初から貸していたらそもそも超過金利を請求できていなかったという解釈になれば、譲り受けた債権は、請求前に、引き直しが強制しうる。裁判で、純粋な法的評価となるが、そのように認められるというのであれば。
金利引き直し計算したら、信託財産の元本総額は、3割以下になってしまう。
その上に過払金債務が生じるとなれば、信託財産はゼロになって終わったほうが、マイナス資産になって、受益者が受領した金銭に対する追及を受けるよりは、有利だという判断になる。

信託の過払い金責任を考えるとき、信託財産と受託者の2つに責任主体に分けて考える必要がある。
信託財産は、独自の財産体を形成し、法人格は認められないが、法主体性はあり、法律行為は、受託者によってなされる。あたかも、会社が成立し、会社財産が存在し、会社の法律行為は、会社の代表取締役によって、なされるアナロジーのように。
不当な利得があったのは、信託財産であり、信託契約にもとづく信託事務の業務執行者である受託者ではない。過払い金返金債務は、信託財産によって引き受けられる。
信託財産の持分は、複数の種類受益者によって共有されている。信託財産がゼロの価値になるとは、投資家の有する受益権の経済的価値がゼロになるという意味となる。信託財産について、受益者は、信託財産価値以上の責任を負うだろうか。旧信託法で構成され運用された信託であれば、受益者が信託財産を超える賠償責任を負うかは、旧信託法36条をどう解釈するかにかかってくる。それ以外に、個別には、不当利得の転得者としての返還責任が生じる恐れはある。信託財産に対する信託法の追及効(物権的請求のような概念とアナロジーされる)というのではない。、民703条で、実際に不当な利得したのは、誰かという要件論の事実評価の問題となる。

信託財産がゼロになっただけであれば、投資家の損失だけですむが、信託の受託者にとっては、受託者の管理失当責任が問われる事態となれば不当な判断となる。信託契約違反による管理失当ならともかく、受益者の利益のために、貸付債権の権利の帰属主体となっているという応諾的な事実だけで問われる受託者責任はないだろう。
しかし、信託財産を保有するという事実評価の視点を変えれば、そうした性格の債権を自らが(自らの利益のために)進んで受託したという受託行為に、注意義務責任(due diligence責任)、過失が問われる場合であり、それを請求原因として争いが起こりえることは否定できない。
さらに、信託が終了してしまっておれば、通常人の相当の注意をすれば、過払い金返還債務の発生が予期しうるにももかかわらず、それに配慮せず、危険予知も、予防もすることなくに、最終分配して信託を終了した責任があり、信託を認識する手立てがない債権者に対して、責任は免れないだけでなく、内部的にも管理失当となりうる。
過払金返金債務は直接的には、信託財産に対して生じるが、旧信託法36条なりで、受益者責任を追及できないときには、受託者に対して、賠償請求することが認められれば、あるいは受益者に分配する以前に、一旦は受託者が自分の名義で、不当な利得(超過金利による過払い金)を収受していたことは明らかであるので、直接の責任追及を受けうるだろう。
信託の第三者から見れば、信託財産だろうと受託者の固有財産だろうと、法律行為が受託者としてなされる以上、両者を区別しては考えることはできない。債権登記も受託者の名前であって、信託の存在を明らかに認識し、受託者の行為であるることは推認できない。第三者からみれば、責任は受託者に直接的に生じ、あとは、受託者の受益者に対する内部的な求償問題にすぎない。信託財産の管理者の受託者としてではなく、受託者本人が、前面に出てくる以上、共同責任として、あるいは連帯債務として考えるまでもない。

こうした受託者の責任が生じるのであれば、投資家(信託財産)を犠牲にしてでも、譲渡通知は出したくないだろう。また受託者の顧問弁護士は、受託者が受託の法律行為について依拠した法律意見を出しているでしょうから、受託者のリスク認識に同調されることになる。

こうして、債権譲渡の登記制度は、権利として優先順位を確定できるツールであると法が与え、違法譲渡の抑止力になっても、グレーゾーン金利適用を受ける貸金業債権については、実際の実践になったときに、まるで機能を果たせなかった制度だとわかる。
その結果、優先的な権利者は、長期間にわたって不当利得を収受していればいるほど、譲渡通知も出させず、振興銀行に対する訴訟もできな状況が作り出される。

こうして振興銀行はひとり勝ちし、回収は誰にも邪魔されないで、引き直し前の元本を確保して、利益を享受できる。このような状況により、振興銀行にとってみれば、2重譲渡の事実は、今のことろ発生していないといえる。
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