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過払い金返還請求権の法的性質決定
 ~ 共益債権的構成の妥当性

貸金業債権の利息制限法適用金利を超過する金利支払いにみなし弁済を認めない場合に発生する不当利得返還請求権(以下「過払い金返還請求権」)の法的性質決定

しばしば貸金業者倒産処理において、過払い金返還請求権を共益債権化することが、会社更生や再生手続きをスムーズに進めるため、あたかも当然の必要な処理のように主張される方がおられる。あるいは満額返済を承認しようとする意見がみうけられる。倒産法制に、あるいは立法意思にも、過払い金返還請求権がの扱いについて特に定めがないというのに、特殊な優先的扱いをしようとする経済政策的な目的の妥当性を法律のなかに、どうやってみいだしたらよかろうか。
実体上の過払い金返還請求権の法的性質を検討することなく、倒産手続き上の権利変容と性質決定を論ずることはできないだろう。
もし倒産手続きで、過払い金返還請求権を租税債権などに次ぐ優先的扱いを認めるか共益債権としようということであれば、個別執行において、他の権利と優先権を争う場合に、過払い金返還請求権が優先するとしなければ、法の権衡を欠く。倒産手続きは、個別執行を制限して、債権者平等の分配を目指して、集団的に包括執行するために、権利変容を認めるにすぎず、倒産法制において、それでも特殊な扱いを認めるとすれば、法制度目的に適っているかということになる。
そこで倒産法適用での過払い金返還請求権の法的性質決定をする前に、実体法上の権利の性格について考える。

過払い金返還請求権の法的性質ですが、以下二通りあると考えられます。
①債務者本人がみなし弁済否定の意思表示をしてはじめて、発生する。請求がなされるまで、権利は発現しないで、眠っているsleeping right。
②債務者本人のみなし弁済否定の意思表示の有無にかかわらず、独立した金銭債権あるいは財産権(意思表示により発生する条件付債権ではない)として現存するから、訴訟上の権利についても、第三者による差押も、債務者に事前の通知なく、債権者代位権行使も、代位訴訟による訴訟追行も当事者適格性を有し、法定訴訟担当が可能となる。

②では、本人の意思表示にかかわらず、不当利得返還請求権は存在しており、本人の意思表示があろうとなかろうと、客体に対する代位権行使を強要することができる。この法的性質にもとづき、地方自治体の住民税債権、国税債権、国保らは、代位権行使には違法性がなく、本人が知らない間にでも、過払い金返還請求債権に、差押、執行処分できる。

①は、権利が客体として独自に存在するのではなく、本人の事由意思を伴う形成権的性格を帯びる。それについては、誤解をおそれずわかりやすくいってしまえば、権利の分類法の表現としては不適切ですが、アナロジーとしては身分的財産権のようなもので、遺産分割請求権や遺留分減債請求権といったものにある意味で近いかもしれないが、身分的制約を受ける権利ではないから、誤解ものとだ。もっとも、請求権的性格ではなく、形成権としても、代位権の目的になるから、客体の発生を本人の意思にかからしめるかどうかは、議論不要だろう。

債務者に過払いが発生していることが明らかであれば(どこで借りているかさえ国など債権者が知れば)、(債務者が過払い請求を行使しないで財産権を隠しているなら)、債務者に無断で、あるいは債務者の意思に反しても、国、地方が、代位権行使して、消費者金融に対して直接請求して、とりにいけるという戦術がすでにあちこちで展開されています。一般の財産権としての扱いである。意思表示がないのではなくて、また債権者から財産権を隠す悪意はなく、無知によって権利が発芽しない状況にあるに過ぎず、第三者が権利の存在を知れば、代位行使により、権利を実現できる。

債務者は自らの信用状況を考えながら、請求をするかどうか考えるのであって、代位権の濫用のようなものだと、当初、私は考えておりました。お前は法の基礎ができていないと、大目玉の説教をうけたことがあります。(注1)

代位権は、債務者が、支払不能、債務超過で払えない状態で、しかもどこかに債権を持っているとき、それに対して権利行使しないで、放置しているときに、国税はその財産権に対して、代位権を行使して、管理権を行使できる。訴訟法上も、当事者適格として法定委任関係にあるにすぎない。そして権利行使には、債務者の事前の承諾はいらない。承諾をとったら許可がでないこともあり、また先に手を打たれ、財産が隠されるかもしれない。

国税、自治体などの判断は、すでに、過払い金返還請求権は(金額が不確定ながら)財産権として、消費者金融業者の財産に眠っている。債務名義は、すでに国税で未払いがあるのでそのまま取れるので、差押にいける。過払い債権が発生していようがなかろうが、差押て、空振りになることもある。国や地方から請求があれば、業者は、履歴開示請求され、個人情報法上の制約も受けない。(注2)

私は、財産権が発生していない、すくなくも、本人が過払いの意思表示するまでは、財産権が発生しないという意見を古い考えに固執してた。度重なる最高裁判決で、すでに昨年後半からは、その考えは通用していなかった。客体として、独自の財産権という位置づけはしていなかった。過払い請求もしてしまったら、他で借りれなくなること、借財能力も返済原資の資力であり、他社の債務整理も同時に進めるなどあって、信用情報の毀損といった本人の被害を考えれば、意思表示や同意がなければ、不当な代位権行使だろうとさえ考えた。

私には法の根本理解が欠けていた。どこかでドラスティックにかわってしまっていた。
いまや地方自治体は、雪崩を打って、差押に入っている。訴訟代位の件まで見られる。債務者に共同訴訟参加を求めるかどうかはわからないが、国、地方ならそれさえも不要だろう。国、地方の私的財産権に対する侵害かとも不安がよぎるが、支払い不能に陥ったものに対して、債権者に個別の財産管理権を認めるのはやむをえないだろう。不当利得返還請求権は、ふつうの金銭債権として今や認知されている。ただ金額が不確定なだけ。クレサラ弁護士らは、この一般財産権説を勝ち取るため、最高裁判決までとってきた。

さてこうして、過払い金返還請求権が無知を理由にする請求さえだされていない債権であるので、倒産手続きにおいて、消費者の無知に乗じて、発現しないまま切り捨ててよいかどうかは、政策議論となる。気づいた債権者だけに財産権を認め、気づかなかったら、切り捨てる。倒産法の原則は、平等、公平ではないか。

しかし過払い金返還請求権が一般の財産権とすれば、組み分けとして、先取特権的扱い、担保権的扱いを受けられるわけではない。通常の主たる営業から生じる債権であるだけに、共益債権という扱いが相応しいかは、また別の検討となる。一般債権者以上の扱いとなる理由付けは見つかりそうもない。かりに地方自治体が、税金未払い者リストを再生債務者に対して提示し、20万人の生き口座と60万件の不稼動口座(完済と貸倒による)について、過払い発生の確認を求め、再生手続きのなかで代位権を行使することは認められる。もし別除権行使により、過払い金債権の帰属が再生会社から分離して移ってしまったときの訴訟法上の当時者適格の問題が、そもそも争いになるのか。

なぜ過払い金返還請求権が一般の財産権だということを説明するかといいますと、いまだ貸金業者側、証券化側の経営者や弁護士らのなかには、過払い金返金の法的性質を財産権と認知していないように見受けられ、代位権行使を不当性を説くものがいるからです。みなし弁済否定の意思表示を条件にして、発生すると考えている。
それを根拠に、金利ひきなおし計算をしないのです。請求があればする。過払い返還金債権について、業種が破産した場合に、破産裁判所も同様な評価を与え、無知に付け込んでsleeping rightを放置、切捨てる決定をすることができるだろうか。しかも後で気づいた権利者には、権利をみとめないと。

もし倒産手続きで過払い金返還請求権を共益債権として同等な結果となる扱いとして、特殊な権利の追及権を容認するのであれば、無知による非債弁済により、再生債務者には、預かり金が発生していると解して、これは返金すべきものだと他の債権からは区分する。請求権ではあるが、法的性質は預かり金とする。預かり金であれば、それを信託的構成でとらえ、管理者は固有財産から分別した管理を義務付けられ、請求があるるまで、信託財産として管理されるとする。そんなとっぴな発想は、他の権利との権衡、バランスを考慮し、事実認定審だけで決することができないでしょう。
昨今の判例を見るにつけ、眠った財産権にも5%金利がついていることからも、通常の財産権であるので、引きなおし計算をする義務があることを裁判所に求める根拠とはできないか。無知により請求をしなかったことに、帰責を問い、平等原則に反して、不当な扱いをできるだろうか。
今回は初めて、不当利得返還請求権について、裁判所の評価と法の実践がみられる機会となった。

------------------
(注1) 以下参考に。ただし伝統的に議論があるところではありますが、代位権と訴訟法上の扱いについてご指摘を受けたように、法を誤って解釈している部分があり、誤解なきように。
税金滞納、過払金返還請求権を債権者代位権できるか-3 税滞納の回収に過払い金を利用する~ 無力な代位権、差押、取立訴訟 -2    税金滞納や未払い国保料の過払い返還金からの取立てと弁護士の報酬

(注2) 自治体が金融業者を初提訴へ   (8月31日7時50分配信 産経新聞より)
 県内の全市町村による一部事務組合「茨城租税債権管理機構」は30日、税滞納者が法定利息を超えて消費者金融「武富士」に支払った過払い金約160万円の債権を差し押さえ、武富士側に支払いを求める訴訟を起こすことを決めた。同機構によると、過払い金をめぐり自治体が金融業者を訴えるのは全国初。9月中にも提訴するとしている。
 同機構によると、今年4月、県内の滞納者の男性の過払い金を差し押さえ、武富士に支払いを求めたが拒否された。同機構は「過払い金は滞納者が保有する唯一の資産。回収して滞納税に充当する方法を確立し、市町村に還元する」などとしている。
 「グレーゾーン金利」は、利息制限法(上限15~20%)と出資法(同29.2%)の間の金利。最高裁は実質的に無効との判断を示している。これまでに、神奈川県や兵庫県芦屋市などで、税滞納者の過払い金の差し押さえが行われている。
 

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無題
ダ~タマイナーさん、初めまして。
興味深く見させていただきました。

財産権説をとれば、眠れる過払い債権者であっても再生債務者としては「債権者」として把握している必要があると言えないでしょうか。そうすると、再生申立にあたり、適正な債権者一覧表が提出されていなかったことになる(何が「適正」かという問題はありますが、60数万人の債権者のうち0.5パーセントしか載せていないわけですから「適正」とは言えないでしょう)。

そうすると、民事再生規則14条1項3号違反であり、このままでは民事再生法174条2項1号により不認可事由に該当すると言えないでしょうか。
なお、法174条2項1号の「再生手続」については法2条4号に定義があります。これによれば、再生手続とは開始決定後の手続きのみならず申立行為についても「手続」であると解釈できます。
法174条2項1号は「その不備を補正することができないものであるとき」に不認可の決定をするとしています。
反対解釈をすれば、認可を得たければ不備を補正することは可能です。その不備の補正とは、まさに利限計算です。クレディアは大急ぎで利限計算して債権者を明らかにして不備を補正する必要があると言えないでしょうか。

共益債権論については、まさに、正面から共益債権とすることは難しいと思います。ご指摘のとおり、何ら優先的な権利をもたない「財産権」ですから。
しかし、大部分の債権者が、債権者という認識なく再生事件勃発まで気がつかなかった(もっと早く気がつけば回収することができた)、その原因はクレディアが利限超過利息で無効なものであると言わずに営業をしていたことによる、また、監督官庁もそれでよしとしていた、さらに言えば、多重債務問題を解決しなければならないという政府の抱えた課題もある・・・。そうした社会的事実から、政策的に考えていただくしかないのかな、と思っています。

今にして思えば、アエルの管財人が過払い金を保護することを早々に決定したのは、すごいことだったと思います。他の一般債権者から相当反発があったのではないでしょうか。それか、当時はまだ、過払い金のボリュームは大したものではないとタカをくくっていたのでしょうか。
利限くん 2007/10/02(Tue)20:36:30 編集
知れたる債権者とは 可決決議要件と申立手続き要件
再生実務はよく分からないのですが、債権者の定義として、関係のない箇所ですが、「知れたる債権者」の定義さえないから、債権届出前においては、どこまでが申立者によって知られた債権者射程かが分からないから、どのようにして手続き不備かを議論できるかというのが、前々からの疑問です。
定義、法適用の範囲、射程というか、線引きルールというか、テスト基準が明確であれば、評価は容易ですが、ないとなれば、それが破産手続きの醍醐味でしょうけれど。
生き口座の20万人か、睡眠口座60万を加えるか? こんな潜在債権者判断の基準は、法律にはないでしょうから、金利再計算が条件を満たさない限り、債権者を認識さえもしていない、理屈の上では、悪意により隠された債権者がいるわけでしょうか。

テスト基準がないから、手続き関係者であれば、そのような意見を、監督委員なり、裁判所に打診されてみればいいでしょう。皆さんは走っているとき、気づいていないことも多いでしょうから。その上で、手続き不備があるということは、そんな状態で(あるいは悪意推定がはたらくか)、救済法理適用を認めると、他の債権者の権利を害することになるから、承認できない。認可を得たければ不備を補正しない限り、申立を認めず、却下することになるのではないでしょうか。

さてご意見について、
法174条2項1号により計画案可決の不認可事由になのは、計画案の可決プロセスであって、申立受理が手続き要件不備になるわけではありません。
規則14条1項3号違反の場合には、受理しないわけですが、違反とまではいえず、申立時点では、負債調査段階前の重大とはいえない一部必要記載事項の悪意のない許される範囲の記載漏れではないでしょうか。
倒産処理手続き開始決定は、一般に救済法理の適用を認めるかどうかですから、支払不能、債務超過になっているかどうかが手続きを決める前の裁判所の調査はそのことが課題になります。債権者の数というより、債権額と負債額の比較や支払能力が重要です。

金利引きなおしした結果の債権者を組み入れない議決権だけでは、眠れる権利者の権利を害しており、むしろ債権者の一般の利益を害するために、そうした一般の利益に反すると解せ(法174条2項3~4号)、計画案可決の決議の手続き要件を欠くとしてすべきといえませんか。このケース、決議じたいが不正な方法で成立したにあたるかどうかは、不明ですが。
【2007/10/02 23:53】
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