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クレディア破綻で見直されるか 貸金債権の証券化の法的性質決定

証券化に携わる機会のない債務整理の法曹関係者には、証券化の権利移転のメカニズムが分かりづらく、以下のクレディア民事再生でどうなる債務整理、不当利得返還請求権を読むことができません。
そこで、経験のない法律家の方にも、理解できるように、取引概要をまとめた。


1 関係当事者の法構造

① 受託者への貸金債権の権利の移転
 通常、債権の購入者/譲受者として、法人形態、SPCは用いられません。
 一旦登記上、信託目的で受託者に移転され、信託契約を結びます。 

  ② 受託者は、投資家への分配計算を除き、債権回収業務、回収金計算業務については、委託者に信託事務の一部として委託します。報酬は、名目的で、契約上費用負担分の求償さえする権利は認めらておらず、この委託業務だけ取り出せば、経済的合理性がありません。しかしながら、これが、法的には、独立した別個の実体取引といっても、資金調達全体が、委託者のためになされることですから、経済的メリットは多大です。

  ③ 信託受益権は、分配金の支払い優先順位に応じて、優先と劣後、それに優先と同順位の委託者持分に分けられます。委託者はによって、劣後、売主持分受益権は保有されますが、優先受益権はSPCに元本価額で現金を対価に売却され、SPCは、当該資産の購入資金を、引受証券会社を通じて、国内外でノンリコース(保有する受益権を唯一の引当財産として)の証券を募集販売して調達します。一般に信託財産が100に対して、優先受益権が80~85というくらいでしょうか。当初決められた優先比率を保つに必要な担保が維持されなければなりません。以下信用補完を参照。


2 信託譲渡、現在及び将来債権譲渡

  ① ローン契約の譲渡ではない。
  契約じたいの譲渡でも、契約の地位の譲渡でも、営業譲渡でもありません。ただ契約から生じた債権の譲渡です。

  ②現存債権と将来債権譲渡の予約
  信託設定時に譲渡されるのは、現存債権だけとなります。ローンの性格上、返済と借入が繰り返し随時なされるので、信託財産は返済された元本が減ってしまいます。減った分は、新たなリボ債権、途上貸付債権などの将来債権、それでも信託財産必要維持額に不足がある場合には、新規の貸付を継続して譲渡します。残高減少は、貸倒損失によってももたらされます。

  ③ 登記は、将来債権を含めた債権とし、信用枠を記載する場合、それも記載しない場合があります。将来債権譲渡期間は、証券の元本支払いの据え置き期間までとします。

  ④ 司法介入になった債務整理債権については、名義上の保有者を信託のまま、かつ譲渡された事実を通知しないまま、和解することが許されません。そこで回収報告期間(隔週か月次)ごとに、信託を一部解除して、委託者に戻されます。これも信託財産減少の要因になりますので、補填が必要になります。登記については、原則毎回解除登記をすることになります。さもなくは、他の目的で、担保利用ができません。


3. 信用補完とパフォーマンス・トリガー

  ① AA格付をとるための超過担保掛け目は、貸倒率によって異なりますが、年8~10%貸倒率であれば、優先受益権に対して120%前後か。信託財産は、格付を維持したいのであれば、必要額を維持することが求められます。ただし掛け目は、早期償還事由や準備金、それらの停止条件の組み合わせかたなど他の要因によってもかわりますので、何の条件もなければ、135~140%必要ともなります。
超過担保設定とは、便宜的に使っている用語で、優先受益権に対する信託財産価値の掛け目をいう。

  ② 無条件な超過担保は経済効率が悪いので、以下のパフォーマンス・パラメターによって、固定された金額ではなく、パフォーマンスによって随時変動するダイナミックな信用補完を備えています。元本返済率が[30]%低下したら、信託内に[  ]%の追加の現金を積み立てるか、担保掛け目を増やす。長期延滞債権率が[30]%増加したら、信託内に[  ]%の追加の現金を積み立てるか、担保掛け目を増やす。信託財産の利回り(あるいは信託費用など調達関連費用を収益から差引いたネット利回り)が同様に[ x  ]%悪化した場合にも、信託内に[  ]%の追加の現金を積み立てるか、担保掛け目を増やす。
新規に発生した初期延滞債権率や31日以上延滞債権率、司法介入率や貸倒率の増加も同様にパフォーマンス指標となる。31日以上延滞から翌月61日延滞へのローリング率、61日以上延滞から91日以上延滞へのローリング率から、信用悪化の状況を分析した上で、早期予防するために、信用補完の追加を検討される。
これらは、パフォーマンスが悪化するステージごとに、追加信用補完をトリガー(要求する)する方法なので、悪化しなければ、あるいは治癒して現状に戻れば、不要となり、あるいはその分の設定は解除される。これによって、リボ債権など担保財産の中身が年40%入れ替わる流動資産に対応した効率的な信用補完が提供される。
また借入社数の増加、借入総額の増加、働けない年齢層の増加など時の経過とともに信託財産の信用悪化にともない、追加的な信用補完が求められる。借入社数5社以内を当初譲渡適格基準としても、期中6社に増えた場合には、6者借りている債権合計額のx30%、7社x50%といったように。

  ③ ダイナミック・リザーブなどの信用補完設定は、現金準備金積み立てを抑えるため、パフォーマンス・トリガー・ポイントは細かく設定することができる。たとえば、当月新たに発生した31日以上延滞比率が信託譲渡時に、過去実績から1%とすれば、1.2%、1.3%、......1.9%と0.1%きざみにして、それぞれのトリガー・ポイントに応じた追加信用補完を決めることはできる。利回りであれば、当初年29.2%だったものが、22%以下、21%、20%とになった場合を想定して、追加信用補完を設定することができる。
細かい区分で必要な資本をつめる構造のため、ポートフォリオの質の悪化がないかぎり、信託設定当初、少ない超過担保掛目、準備金ですませることができる。そういうトリガー・メカニズムをいっさいとらないと、120%の超過担保が150%ということもありえ、担保不足となり、効率的な資金調達ができなくなる。

  ④ 信用補完基準は格付に応じ、格付会社によって決定されるが、格付会社は、過去のそれぞれのパラメターによる収益リスク変動から、信用補完率を独自に決定するが、証券会社の分析による提案をうけ、それを承諾するかどうかであり、その繰り返しのうちに、さまざまなパターンのダイナミック信用補完率が確定していく。


4. 早期償還

  ① 信託財産の特徴と証券の償還方法
信託財産の中身が返済・リボの自由な債権なので、元本返済があった場合に追加のリボの将来債権を譲渡しなければ、信託財産はその分が現金に変わり、それでは安全資産による短期運用金利しか利益を生まないので、信託の収益が悪化する。パフォーマンスが悪化すれば、利回りトリガーにヒットし、追加信用補完を求められることになる。といって、そのまま受領した元本を投資家に交付してしまえば、元本返済率が毎月4%あれば、調達期間は、2年半で終わってしまうばかりか、1年経過後には半分が償還されてしまい、資金調達のための証券発行費用を考えると、経済的に見合わない。そこで、受領した元本返済金は、リボ債権、途上貸付、一旦完済して当初の信託移転されたローンが消滅していても、その口座から生じるローンを継続して譲渡することで、信託財産価値と受益権価値を維持する。そのため、信託は当初の2~4年の間、将来債権と追加債権の譲渡を認め、証券はその間元本支払据え置き方式をとる。

  ② リボによる将来債権を譲渡し続けなければならないテクニカルな重要な理由は、別にもある。信託に譲渡された債権とリボを含む途上で貸し付けられた債権が別に保有され、債権の帰属が異なれば、どのように扱ったらよいか。登記実務は固定債権だけの譲渡で将来債権を含めないとすれば、問題はない。しかし、コンピューター・データベースは、持ち主を明確に識別しなければ、回収金の分配ができなくなってしまう。そもそも、リボ式ローンの場合、2種のローンが引き出されているのではなく、リボがあった時点で、一本のローンに統合される。したがって、共有持分でない方法で、2つの口座で、分別して管理することは非現実である。

  ③ ダイナミック・リザーブのパフォーマンス・トリガー・ポイントは、どこまでも許容されるわけではない。投資家証券金利+受託者報酬や調達関連費用総額が4%出会った場合、利回りが4%になっていれば、証券額面x100%の現金を積むほかないから、それが極限値になる。元本返済額がゼロであれば(金利しか払っていないケースが債務不履行にならない場合)、永遠に証券が償還されなくなってしまうので、その前のどこかのポイントで、現金準備が100%にいたる。通常、証券の最終満期日が8年で決められた場合に、それまでに払えるような元本支払率が計算される。しかし、その計算の前提として、格付に応じた信用補完が要求されるため、パフォーマンス指標は、性格の相反するものが組み合わされて使われるので、トリガー・ポイント限界点は、それほど遠い地点にはない。たとえば、元利金返済率が2.5%になったとき、超過担保掛け目が180%になって、それだけの債権が設定フリーであれば、供与できるだろう。代替的に現金準備金が、50%必要になったとしよう。そのとき、5割の資産が0.1%の利回りで、5割が27%収益であれば、利回りは13.5%しかなく、ネットの超過利回りは9%になってしまい、そのトリガーの限界点にいつかあたってしまうだろう。

  ④ こうして、各パフォーマンスのトリガーには、パフォーマンス指標の組み合わせによって、限界点がせっていされることになり、それを超えたら、証券の約定償還予定を諦め、信託財産の全額の回収金を前倒しして投資家に支払うことで、信託財産の質の悪化から回避するメカニズムが備えられる。元本返済率トリガーは、ある程度低下してしまったら、契約満期までに返済が不能になる上、返済期間が延びれば延びるほど、信託財産残高の当初に減少するスピードが遅いため、当初残高が高止まりして、当初の予定よりリスクに晒される期間が長引くために、所定の格付を維持できないポイントがある。したがって、格付の維持をするためには、相当早い時点で、早期償還トリガーがひかれることになる。
  ⑤ パフォーマンス・トリガー以外に、信託財産必要額(超過担保掛け目)を維持できなければ、早期償還される。
  ⑥ 早期償還ステージとなれば、回収金全額が優先受益権の配当に回され、償還されるよう定めがあるので、いっさいの回収金が劣後受益権配当にまわってこないことがありえる。


4. 一部信託解除による再譲渡

 ① 信託に権利が移転されているので、信託登記され、第3者対抗要件を具備しているが、債務者に対する譲渡通知はされておらず、債務者対抗要件は具備していない。貸金業法24条2項が要求する債務者への通知は、譲渡後も回収者が変わらないゆえ、未交付の状況にあるが、規制運用上、問題とされてはいない。これについては、法違反があるかないかについての顧問弁護士の意見が付されるわけではない。

 ② 債務整理、過払い返還訴訟、貸倒債権の取立てには、債権の権利主体を取り戻さなければ、交渉するための正当な法的な権限がないので、そのためには、当該事由の生じた債権に関して信託の一部を解除し、委託者に戻し譲渡しなければならない。

 ③ タイミングとしては、先に事由発生がある場合もあり、各サービシング期間(隔週あるいは月間)に関するサービサー報告書において、信託解除の債権リストを提出し、受託者合意を得る事後処理となる場合がある。

 ④ 信託解除された場合には、信託財産が必要額を維持できないので、相当分の追加譲渡が必要となる。 


5. 真正売買は契約法理の売買とは異なる法的性質

  ① 信託譲渡であっても、SPCに対する受益権の現金売却により、取引は完成される。信託委託者に生じたいかなる信用事由(倒産事由)から、信託財産は包括執行免脱を構成でき、管財人のリーチには届かないとする法律意見書に依拠して取引がつくられる。管財人によっては、手が長い人、短い人、延ばさないひと、それぞれおられるだろうが、法律構成はとにかく、実務上、倒産手続きの影響を受けないで、証券化が手続き外で処理されれば、真正売買要件を満たす。 この意見が出ない場合には、格付も取得できない。
  真正売買という契約法上の概念は見当たらない。これは証券化用語にすぎず、倒産申し立て時の一時的保全手続きかでの保全状況を除き、手続き開始決定後は、証券化信託財産が手続き外で、自由に処理できる権限があることをみとめられたのが真正売買法律意見である。これまで何度も証券化貸し手は破綻したが、この意見書が、裁判所で否定されたことはなかったが、それに対する裁判所の事実認定が審理されたことはなく、ましてや法律審がなされる機会はなかった。
一部の真正譲渡という用語を使うものがおられるが、この形態であれば、外形上は信託譲渡にすぎない。実質の議論として、目的達成のための願いがにじみ出ているが、不真正譲渡の対立概念でもなさそうだ。

  ② 一旦譲渡された以上、譲受者に、完全な権利が移転したのであって、譲受者に負担付あるいは制約のない自由な質権設定、交換、処分権が与えられる。ただし最高価格での第一優先購入権、同業者への処分に対する買取拒否権を委託者にあたえることは、真正売買の要件に反しないとされる。したがって、信託契約上、委託者に買戻権、再売買の予約はない。

  ③ 過払い債権や金利引きなおしで消滅した債権についての金銭補償を随伴するような債権の質を保証する合意も、真正売買の要件に合わなくなる。したがって、過払い金により損失を被った信託財産に対する補償請求は、受託者が独自の権利を行使するという方法をとられることで、真正売買要件否認を免れているのか。なお真正売買の具体的要件は、弁護士により開示されるものではく、個別取引のメカニズムを分析評価した上で、真正売買と認定される見解が出される。
 ただし、債権に生じた損失について、譲渡者に対する一部の求償は、合理的推定の範囲内であれば、真正売買要件の不適合にならないとする意見を持たれる法律実務家も主流とみられる。

  ④ 委託者は、劣後受益権を売却しないで保有している。また売主持分受益権とは、返済とリボなど追加譲渡の金額が毎回一致しないので信託財産が変動するために委託者が必要維持額を超えて有する財産に対する自己持分権であり、優先受益権と不可分共有持分的性格となる。

  ⑤ 優先受益権の配当は、証券の金利に連動するので、固定される。他方、劣後受益権は、信託財産のネット利回りが毎期決算ごとに(隔週、月次)払い出しされる。すなわち、100の資金調達に対して、120の超過担保設定がなされているとき、グロス収益は(未収債権比率を7%として)、
120x29.2%x.93=32.587
年総費用を調達額でひきなおして4%として(信託報酬+バックアップ・サービサー報酬+その他調達関連費用など)、利益は、28.587
しかしながら、債務整理、訴訟債権について、及び貸倒損失債権も、取立てのためには、契約上の地位が必要なので、それらは信託解除され、委託者に再譲渡されるので、信託財産を減少させるため、結果として信託財産必要額を維持するには、差し替え用の貸付資産が必要になる。通常これらは信託解除されるとき、超過のネット収益の限度で差引かれるメカニズムがとられるので(デフォルト・トラップ)、これらも費用とみなすことになる。仮に、年10%とすれば、
ネット超過利益は、18.587
20%の劣後持分に対して、18.587%の配当が出ることになる。ただし収益は、毎期パフォーマンスにより変動し、予定がたたない。

  ⑥ 劣後受益権は、上記の通り、収益を得るだけでなく、事実上信用リスクも負担しているので、収益的側面と求償的側面を併せ持つ証券となるので、債券的色彩よりも、株式的色彩を帯びた証券である。

 
格付会社の説明には
http://jcr.co.jp/reportqa/pdf/ssyouhi.pdf

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