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雑記帳
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SFCGの債権譲渡、過払い債権、信託譲渡、証券化のもつれた関係の解明と責任負担

振興銀行は債権譲渡で、貸金業法24条が求める譲受人の債務者通知をしており、譲渡時に金利も利息制限法適用範囲の15%に下げたという
それに対して信託譲渡を受けた証券化の受託銀行は、貸金業法の適用のある貸金債権を譲り受けながら、貸金業法24条が求める借り手への直ちにすべき譲渡通知を故意に怠ってきた。そして債務者との関係を譲渡前通りのままにするため、信託契約により譲渡者に回収事務を委託をして、借り手には譲渡がないような外観を装い続けた。
その理由はどこにあるだろうか。なぜ貸金業法は、グレーゾーン金利請求と受領を容認する貸金債権について譲受人に譲渡通知の送付を義務付けたのかの立法意思を考えて見る必要がある。

譲渡通知を出してしまえば、債務者は譲渡があり、債権者が金融機関であることを知る。金融機関は、貸金業法を適用による有効なみなし弁済を求めるよりも、利息制限法を超える金利を請求して、利息制限法に正面から反することに躊躇する。実際に、振興銀行が譲渡後の金利を下げたのは、そういう理由からだろうと憶測される。
経済的受益者にとって重要なのは、利得の幅であり、債務者対抗ができるかという問題ではない。債権の権利関係は、譲渡者倒産手続きでの管財人や譲渡者の債権者を含む第三者に対する優先的な対外的効力さえ確定できればよい。対外的な権利の主体、帰属の変更は、譲渡登記だけで完了する。  
譲渡により金利を利息制限法の範囲に下げるよりも、27%の回収金がそのまま回収され、回収期間中(通常は隔週とか一月間)の全口座の取引の履歴を含む譲渡債権の回収報告書と共に、回収額全額が送金されることを望む。
譲渡通知の故意による不通知と回収事務委託は、それを可能にし、債権譲渡により債権者になりながら、グレーゾーン金利を継続してとり続けられることに最大のインセンティブがある。
こうして27%そのままの違法に経済的利益を収受した。譲渡者の譲渡通知についていえば、領収書に記せば容易にできることから、なぜ法違反を続けていたかは、それ以外に理由は考えられようがない。

したがって、故意に貸金業法義務違反を続け、信託は不当に利得し続けたのである。
そして過払い債権が発生したら、信託を一部解約し、遡及効を伴わずに、それまで得た不当な利得を返還することなく、譲渡者に抜け殻だけ戻して責任を負わせている。その点で契約の解除とは大きな違いが生じる。その結果、SFCGにあっては、過払い金は2000年前後から信託が取り続け、SFCGに過払金債務を戻して、不当利得を返還することもしなかった。受領した不当利得は、毎月の信託決算で、毎月投資家に分配してしまい、信託には受領した利得は残っていない。もはや受益者に配当した利益は取り戻せないという。
他方、信託受託者は信託財産の2割程度にあたる劣後受益権を譲渡者であるSFCGが保有していたから、劣後受益権の配当で過払い金債権相当額を実質的に返還していたというかもしれない。しかしながら、戻される債権の超過金利の元本充当の引き直し前の残高は、劣後配当からネッティング(控除されて)配当額が決定され、譲渡者からの利益移転が計られている。すなわち劣後配当には、過払債権が不当に利得してきた金額の返金が含まれていない。
また信託財産は、超過金利支払いの元本充当引き直しや過払い金の発生で絶えず減少する。必要な信託財産を維持しなければならないので、必要維持額を下回ることのないよう、委託者には別の債権で差し替え義務が生じる。
数字を挙げて説明すれば、信託財産を金利引き直し前の債権残高で1000とし、優先受益権の金額を800、劣後受益権を200とする。信託財産の債権金利を年27%、優先受益権(投資家)の金利を3%、信託事務関連手数料や証券化の手数料などの総額を仮に年1%、過払い金債権(引き直し前残高)を4%、引き直し計算で元本の減少するなどを含む回収不能な債務不履行債権を4%とすると
月の信託財産に生じる金利収入 270÷12=22.5
月の優先受益権配当額     800x3%÷12=2.0
月の信託事務関連手数料    1000x1%÷12=0.833
月の過払い金債権          1000x4%÷12 = 3.333
月の債務不履行債権         1000x4%÷12 = 3.333
劣後配当計算前の月の費用合計    9.5 (=2+0.8333+3.333+3.333)  
劣後配当額                     22.5-9.5 =13   

こうして不当利得の経済的な受益はは信託により収受されており、投資家に分配されており、SFCGが利得を得たわけではない。他方、借り手には未だ通知が出されていない。借り手は誰が真の保有者かも知らされていないから、過払金請求あるいは賠償請求したくても、訴えさえ出せない状況におかれている。

仮にSFCG破産手続きで、過払債権者は、SFCGの一般債権者として債権届出し、SFCGの残った破産財団だけを引き当て原資に限られた配当しか受けられないというのか。SFCGは、長年にわたり、過払い債務だけ負担させられ、不当利得の返金を受けておらず、利得を受けたのが信託であるにもかかわらず追求権を妨げられるとすれば、公平を欠いて扱われる結果となる。そうした計略された権利侵害が意図された結果をもたらす。そうした状況は当初から予見しうる範囲であるが、結果回避行動は受託者により何もとられていなかった。過払い金はSFCGに届け出るとして、過払い金相当額を信託に対して、共同不法行為につき、損害賠償請求を提起することはできるだろう。
SFCG管財人は、もし過払い金請求を信託財産に対して訴求できないというのであれば、受託者に対して、債権者に代わってあるいは利益代表として、返還請求を求めなければならない立場にあり、注意義務を負うのではないかと考える。
グレーゾーン金利と有効なみなし弁済にもとづく貸金債権は、ローン債権とそのなかに超過金利支払いによる元本充当によるローン債権額の減額請求権を内在した債権・債務が混在する性質の債権である。ローン債務者の意思表示により、ローン残高は相殺権の行使により随時ネッティングされる債権であり、相殺額(超過金利支払額)がローン残高を上回るとき、債権はすでに消滅してしまい、さらに過払い金が生じてしまう。結果、ローン債権の債権者は、過払い債務者となり、ローンの借り手は過払い債権者となる。ローンの債務者は、事実上、相殺適状にある相殺権を有しているとアナロジーされるような眠っているだけの形成権を有している。

債権譲渡は制限されていない。しかしこうした債権債務が一体化して分断できない不可分一体の性質の債権では、債権額が不確定であり、債権譲渡する場合には、両当事者はローンの債務者の権利を侵害しないよう金融機関としての最善の注意を要する。債権が消滅しておらず、存在するかの確認行為は、紛争を避けるためにも金融機関であれば必須の注意義務であり、過払い金が発生するような場合には、債権が存在していないのであり、譲渡不能の恐れが高い。譲受人は、債権者がどちらになるかわからないまま譲渡を受けて、コインの表がでたら譲渡が有効とし続け、裏がでたら、解除して戻せばいいというのは、債権者が消滅したローンの元債務者でその譲渡行為がなければ譲渡できないという法構造を利用して、過払債務だけを残したままに負けのないゲームをする場合には、債権譲渡によって、変動を受けて発生した損害については、客観的共同があって、連帯した賠償責任を提起することになるだろう。


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債権譲渡と取引履歴保管義務
現実と合わない建てつけの法律か、法はそれを望んだのか。

信託銀行も振興銀行の債権譲渡時前の取引履歴を自分の事務所内で保管していないという。
これは、債権譲受人も取引履歴を含め帳簿備え付けを求める貸金業法に違反するか。
債権残高確認するには、履歴が必須であり、なければ引き直し後残高が不明であれば、債務者を害してしまうから、当然の法律だろう。

業者の言い訳を考えてみよう。
取引履歴は法律上、保有しておりますが、譲渡者に保管を業務委託しております。また計算事務業務についても譲渡者に委託しています。
確かに取引履歴や帳簿とはコンピューター・テープのこと。
もしこの業務委託が、譲受人の手元をまったく通じず、譲渡者から直接にIBM何がし株式会社に移管され、業務委託されていたら、確かに保持していることになるとされるだろう。
だから、保管義務違反していないというだろう。
立法意思がそうだったら、それで合法的処理だろう。しかし立法意思が、そうした法の潜脱を防ぐ目的で定められたとしたら、法の機能をまことに果たしていない。脱法を合法化してしまう。
何のための法だったか。
それとも、06年12月に法改正がなされ、それに伴い取引履歴保管義務が設けられた時点で、こうした事態は証券化の信託譲渡では起こっていたのだから、明確な対応(合法か、違法か)の基準を明らかにされたと考えるべきだろう。
にもかかわらず、現行法では、法違反を問えないかもしれない。要件事実の評価方法問題であり、立法意思に照らすことになって、やはり法違反が問えない。
日本振興銀行のSFCGからの債権譲渡の意図と重複譲渡債権の権利者の確定

3月25日、日本振興銀行は、SFCGから買い取っていた貸出債権に関し、1カ月余り広範かつ詳細な調査を行ったが、ただの1件も二重譲渡の事実は確認されなかったとの調査結果を明らかにした。二重譲渡疑惑に関しては、朝日新聞が3月23日に朝刊一面で報じている。それによれば、信託銀行などに約500億円二重譲渡している可能性があるという。一方、日本振興がSFCGから購入した貸出債権残高は約1025億円。日本振興の主張が事実なら、朝日の報道は誤報となり、日本振興の信用をも大きく棄損することになるはずだが....

世間に通用しない自分だけの子供騙しの法の理屈は、通りません。
それでは裏にはどういう意図があるのかとうがってしまう。

SFCGの保全管理人(破産手続きでは管財人)は2重譲渡があることを認めています。 相手は、信託銀行です。銀行は一件もない。これはどういう状況でしょうか。

ローン債権の権利関係は、①対外的な権利関係と②対内的権利関係、そして③借り手に対する関係があります。対内的関係とは、譲渡者と譲受人の権利義務関係、誰が権利者であるかをいいます。譲渡債権の実体の権利確定は、当事者の契約にしたがいます。
対外的関係は、対世的な意味で、SFCGの債権者や取引の第三者に対する権利関係で誰に権利が帰属し、債権の効力を主張できるかということで、ここにSFCGの管財人も含まれます。
借り手との関係とは、借り手に対して権利主張し、請求するための権利をいいます。
対外的関係は、債権譲渡の登記か債務者への確定日ある通知のいずれかの時間的先順位でもって確定されるます。借り手に権利主張し、借り手の異議に対して対抗するだけであれば、確定日付のない譲渡通知をすれば、足ります。
さらに借り手に対抗(有効な請求という意味)しようとすれば、譲渡通知を、権利を取得する譲受人が送付するのではなく、譲渡人SFCGが送付しなければ、効力を通知の生じない。権利を得たといって、偽装、詐欺通知の怖れがあるからです。また債権譲渡を第三者に対抗するためには、確定日ある譲渡通知(内容証明郵便)を、譲受人ではなく、譲渡人SFCGが借り手に送付しなければならない。

これが民法の基本的教科書理解です。
振興銀行は、銀行の開示説明から、借り手に対して調査し、新興以外には通知が着いているかを確認したにすぎません。しかし権利確定は、譲渡登記で決まるのもです。SFCGには2000年以前から、信託譲渡を大規模にしており、08年10月末の有価証券届出で4200億円の証券化譲渡があることがわかり、したがって金融のプロである振興銀行もその程度も調査しており、当然の知っているとする推論が働きます。しかも証券化の2重譲渡の有無監査は、証券化の資金調達のための債権譲渡直後及びその後は四半期ごとに、監査法人によってなされます。数千億円となっていますから、仮に10本の証券化があれば、年40回の監査を受けていることになりますから、定期的かつ頻繁に調査がありますから。、すぐに2重譲渡が発見され、指摘されます。治癒しない限り、契約義務違反、その部分の譲渡無効、2重譲渡の規模が大きければ、取引が債務不履行となり、全額償還を強制させられます。したがって、証券化信託銀行の登記の先順位は、確定的で落ち度がないといえます。
もう一点の証券化譲渡の特徴は、借り手に対して譲渡通知をださないで、回収は、譲受けた信託銀行がSFCGに専管委託するというもので、回収金は、毎月末、全部の口座の取引報告書とともに、送金されます。借り手は、譲渡があったことを知らずに、取引をしていますが、これは権利関係③の債権の譲渡を受け帰属ある真の債権者は、借り手に対して、対抗できないにすぎず、②の当事者の権利関係は移っており、①の対外的権利関係も登記で確定されている法定関係をいいます。 

新興銀行は、そういった事情を知りつつ、登記の順位ではなく、借り手の認識をもって権利を確定しようとしたという向こう見ずな不注意を侵したか故意によるものといえます。しかも公衆の面前で法の無知をさらけだしたのか、意図的かは知りませんが、権利についての法を知らずして、銀行を運営していると推論されてしまいます。

 すでに説明したように、権利確定には、相手と対抗するには、3種類のあり方がある。ひとつの方法を調査しただけで、自らが権利者だと裁判所も認めてくれません。
しかも譲渡通知は、SFCGが出したものであるかどうか、どこにも報道されていません。ただこれは容易にできます。振興銀行が印刷屋さんに、SFCGの社名のはいった、通常使われている封筒を印刷させ、譲渡通知を出せば、借り手からは区別がつきません。誤認識が生まれる手口となります。
また通常使われる方法は、はがきを利用し、連名で共同して通知を打つ方法があります。譲受人が勝手に印刷することができます。これだと、確定日付がありませんので、借り手に対してのみ有効な通知であっても、譲渡を第三者には対抗できません。
それでは借り手がSFCGが送付した確定日ある内容証明郵便を受け取っているかどうか。これもSFCGの実印なく、E-ネット郵便サービスですることができてしまいます。費用は誰の負担でもいい。そうすると、振興銀行は、この方法によって、通知した場合があるかもしれません。費用がかかるからしないとおもいますが。
となれば、はがきであれば、権利者では全くありません。

振興銀行の立場から攻撃防御すれば、以下となる。
債権の2重譲渡はなせ起こる。
どちらが真正な譲渡と認められるか。

債権の対外的効力を確定するためには、登記か確定日ある債務者への通知が法の定めた確認手段となる。
振興銀行の譲渡については、債務者に対する確定日のない譲渡通知をSFCGが債務者に出している。だから直接回収しているのはすでに説明したとおり。
登記の先順位で確定されるといっても、先順位の債権者とSFCGとの権利移転の有効な実体関係を先順位の債権者が契約で証明できなければ、先順位の登記は、実体権の裏づけのない登記となり、無効を確認されることもありえる。通常、譲渡契約の原因は売買契約あるいは担保契約となるが、合理的相当価格を欠いている場合、詐害的目的などであれば、無効となりうる。
振興銀行としては、重なって譲渡された登記された債権の譲渡が正当なものか、当事者でないので契約内容を知らず、現時点では判断できないと主張するのは尤もだ。
新興側として、先順位の譲渡を疑念をもってとらえる理由は、振興銀行とSFCGとの債権譲渡契約が現に存在し、すでに効力を生じていること、それを明かす証拠として、
a. 相当な売買代金を支払い、
b. 権利移転を受けるため、SFCGが譲渡通知を債務者に送付し、債務者に対抗できる利益状況であること、
c. 振興銀行がローン契約の原本の引渡しをSFCGからうけていること、
の法外観から、どうみても自分が権利者であることを主張する。
そもそも、重複債権者がいるとしても、どうして回収に必要となる権利者の証明のローン契約が新興の手元にあるのか。競合相手は、債務者に通知もしていないし、ローン契約を保有していないし、回収もできない状況にいる。そうした事実状況から、自分こそが債権者だとかんがえると、確認訴訟で争うだろう。
先順位の登記こそが、信じられないなんらかの共謀の可能性があると。
こうした主張をされたら、どう防御するのか。

そもそも証券化は、ローン契約原本を譲受人に引き渡さない。回収については、SFCGに委託するから、その必要もない。ここに、重複譲渡が起こりえる背景がある。登記にしても、登記時点で、2重譲渡登記を防止するシステムではないから、重複譲渡は日常茶飯で容易に起こりえる。実際に、金融実務では、毎月担保の中身を月末付けで洗い替えることは日常的な慣行で、抹消忘れなどもありえる。証券化で、過払い金で譲渡人に戻した債権の登記抹消をしていないケースもある。だから実体上は、戻し譲渡が効力を生じたのに、重複登記がなされることも多い。
そうすると、新興銀行としては、登記を信じない、先順位の実体上の権利関係は知らないとなれば、自分がそこに権利を証明するローン契約を持っている自分が強いと感じるだろう。(注意すればわかることであれば、過失がある認識と考えるが。しかし実体上の権利の得喪は当事者しか見えない。だから信じる他がないのだと主張する。)
これが言い分で、誰が重複譲渡jの正当な所持人か問われても、確認訴訟が確定されるまでは、不確定に置かれることになる。新興が争いをやめて譲歩して、自分の劣位性を認めない限り。
さて、債権は(重複だろうが)新興に譲渡され、通知も打たれ、債務者は振興が(SFCGから借り入れたローンの)新たな債権者だと過失なく認識しており、(真の債権者が誰だろうと)新興にさえ返済すれば、法律上それで免責される状況にあることを認識している。
そこで振興銀行は、SFCGからの借入金の返済という債務を消滅させるため、借り手に対して、自分がローンを出したとしよう。SFCGから借入れしているより、銀行からのほうがいいでしょうとか、金利は15%にしてあげますと誘って、返済に必要な資金を借入れさせ、そして譲渡された債権を弁済して消滅させる。ここで、返済金を受領するのは、そのための金を貸した振興銀行となるが、SFCGからの借入れの債務は消え、振興銀行からの借入れだけが残る。
新興銀行は譲渡債権に対して、債務者に対して対抗できるから、こうした工作が可能である。債権の地位の譲渡と同じ結果が得られることになる。地位の譲渡とは、元貸し手であるSFCGの地位に銀行がなることで、この場合には、債権自体は承継され、消滅せずに、貸し手が入れ替わる。借換ローンを出す場合は、新たなローンとなり、前の借入れの権利関係が債務者との関係で消滅してしまう。

さて、2重譲渡を争うSFCG管財人は、債権譲渡の無効を主張しようとしたら、債権が消滅してしまったという事態に直面することになる。債務者はすでに支払いを完了し、SFCGの債権が存在しないのだから、債務者から何も得られない。それ以前に債務者は振興銀行にさえ、返済していれば免責されたわけだから、振興銀行に対して、無効の確認が認められたら、不当利得返還請求しかできなくなってしまう結果となる。いずれの場合も。
皮肉という問題ではかたずかない債権譲渡の本質的欠陥がでたにすぎない。新聞がそれだけのことを理解して書かなければならないが、金融機関や法律家でない以上、誤報道となっても仕方がない程度の問題だろうか。
また現時点で、振興銀行の譲渡の正当性を争っている以上、無効と判断することはできない。振興銀行は、契約上の信義誠実条項にしたがい、あるいは表明保証条項に従い、2重譲渡がないという契約文言を信じたと主張し、信じたことに過失はないと主張するだろう。過失の相当性の議論となれば、登記を調べなかった不注意の責めを新興銀行が負うとするか、債権譲渡の登記の制度など、実体をはんえいしないことがあり、信頼できぬ点を主張し、契約上の誠実をとったといったとき、過失による有責を追求できるか。

振興銀行はなぜSFCGから2重譲渡を分かっていながらも、債権を譲り受けたのか。
振興銀行は、SFCGから債権譲渡により譲り受けたのち、借り手に対して、金利引き直し計算しない残高をそのまま借りかえるためのローンを懸命に勧誘しているという。
SFCGのローンの譲渡時の残高は、銀行借り換えローンを借りたところで、貸し手の違う新たな契約により、銀行からの借入れ金額として確定されてしまう。
借り換えローンにより、
銀行に譲渡されたSFCGが貸し手の借り手に対する債権は消滅する。と同時に、引き直し前の残高を全額支払うことで、債権が消滅する一方、過払い金を発生させる必然的結果となり、債務者はこれにより、過払い債権者となる。
過払い金を利得したのは振興銀行であり、その直接事実がある以上、不当利得の返還の訴えは譲受人に対してとなる。実際に誰が過払い金を収受したのが、譲渡前にSFCGが一部の超過金を受領しているかどうか、それが譲渡時に売買代価で考慮されて価格が決定されたかは、借り手には関係のない問題であり、譲渡契約の内部の求償関係として処理されるべきであろう。一部の過払い金がSFCGに対して、残りが譲受人に対して請求するというように、譲渡の結果、ふたりに過払い債務が分断されるのは、当事者の問題であって、借り手の問題ではない。そもそも 譲渡が当事者間で、金利引き直しされて代価が決まっておれば、借り手はそうした問題には影響をうけないだろう。

銀行の狙いは、借り換えさせてしまい、自身のローン資産として効力を生じさせることにある。
銀行が借換により、SFCGの譲渡債権を完済させてしまい過払い金が発生したときに、自らが債権を消滅させる行為をしたうえで、過払い金を発生させておき、債務引受がなかったから、契約解除して戻しますと主張することはあるか。その場合には原状に復帰することになるので、完済された回収金は振興銀行の不当利得により、SFCGに返還される義務を負うことになる。その資金をだしたのが、銀行ということになり、振興銀行は、戻し譲渡の売買代価の同時履行で受領できない金銭について、一般債権として破産届出することになる。


証券化資産の債務者への譲渡通知と信託財産に含まれる過払い金返金請求権をめぐる扱い

 アエル、民事再生会社と証券化財産に関する資産と信用状況 から続く。 

 
(a) 譲渡時、金利引きなおし計算前残高があるケース
債権譲渡は、債権が存在する債権についてしか、譲渡することができない。信託にかつて譲渡されてしまったけれども、そのまま金利引きなおしすることなく、完済された債権は、譲渡の要件を満たさない。(「貸金業債権の債権譲渡をめぐる債権の法的性質、要件事実と譲受人の帳簿保存、取引履歴開示義務
」参考)
金利引きなおし前に、1円でも債権が残存すれば、債権譲渡の対象になるので、譲渡通知が出される可能性がある。譲渡通知の判断は、当事者がするので、通知されるかどうかは不明だ。しかし、引き直し計算したら、すでに過払い金が発生しているから、この債権の譲渡は、実質的に、信託による債務引受を承認する行為になってしまう。過払い金請求は、譲受人=信託財産に対してすることになる。信託財産が債務超過になれば、旧信託法に従って、信託財産の法的主体者である受託者に対して責任を追及することなる。
譲渡は、通知された時点でなされたのではなく、数年前からなされていたので、信託が超過金利を収受していたことは、回収報告を見れば明らかなので、受託者あるいは譲渡者に、文書提出命令をだして、証拠とすることができる。したがって、信託は、債務引受をしたわけではなく、債務者に譲渡通知が送付された時点で、債務に転化していたにすぎない。
受託者は、超過金利は、譲渡者である劣後持分権者に対して配当し、譲渡者がその利益を給付されるよう仕組みができていたとの理由から、優先受益者も、受託者も利益を享受しておらず、不当利得に組していないと抗弁するだろう。信託の仕組み上、配当が誰にあるかの実質論を展開したところで、受託者は、自らの名で、形式上、超過金利を受領している事実があり、第三者である過払い債権者に対して、関係者の事前の合意で利益を分配してしまった、自分はその利益に与っていないことを理由に、責任免脱を主張することは認められないと考える。受託者は、信託財産からではないにしろ、劣後配当を受けた委託者から信託報酬の支払いを受けており、信託契約上、受託者報酬が支払われなかった場合には、信託財産から徴収する権利が認められている。したがって、受託者は重要な不当利得分配に与る権利がある。

 

(b)譲渡時、債務が消滅しているケース
信託に債権が移転されていたが、譲渡通知を送付する時点で、債務が消滅しているときには、譲渡があったことを通知する必要はない。譲渡通知は、債権譲渡により、債権の請求権を有する者を通知することから必要であり、すでに債務が消滅しておれば、その必要がない。
そうすると、1円でも債務があるケースでは、譲渡通知がだされ、権利移転の事実関係を知ることになるが、完済している場合には、譲渡契約が効力を生じ、実際に移転されており、超過金を信託が受領していた事実を知ることができない。

債権譲渡登記を調査すれば、あるいは貸金業法にもとづき、譲渡者の譲渡に関する帳簿閲覧を請求して、譲渡の事実を知ることができる。(注) この場合、受託者に対して、裁判上、不当利得返還を請求することが認められるだろう。受託者は不当利得返還請求権の発生を争ったり、返還を拒む正当な理由が見当たらないと考える。超過金の受領の事実は、回収報告書の文書開示命令による。

他方、過払い金に関しては、同じ東京地裁が管轄のクレディアの民事再生処理での扱いと、著しい違いが生じる。クレディアでは、証券化の債権譲渡について、通知が出されることがないばかりか、過払い債権者は、クレディアの債務として、債権届出するように求められた。
  過払い金返還が生じる債権は、信託契約上、デフォルト・トラップされ、実体上、委託者に戻されているからだ。しかし、いくら委託者に契約にしたがい、自動的に戻されていたとしても、信託が、超過金利を得ていた事実を争うことはできないのではないか。戻されるといっても、結果的に債権が戻されるのではなく、不当利得請求権の相手方、債務者の変更の効果を生じさせる法律関係の変容を意味する。不当利得については受領したかどうかであり、帰属の問題ではない。帰属がないことをもって、受託者に対して請求する根拠の障害事実とは、ならないのではないか。

クレディアでは、受託者に対する裁判は、提起されていないかったと聞く。これは、過払い金返金の届出さえすれば、満額回答を期待できると考える代理人の考えを反映するだろう。結果的に、再生計画提案で、分配のカット率が大きければ、計画案に反対するか、その上で、受託者に対して請求すればよい。届出したからといって、受託者に対する請求権が失権するわけではない。

信託に移転された債権で、すでに完済された債権に生じる過払い金返還の請求は、アエル民事再生手続きで、債権届出することになる。実際には、受託者に返金されて、完済されたにもかかわらず、アエルが譲渡通知を送付せず、届出を望んだからということになる。アエルは、すでに説明のように、重度のの債務超過にあるので、請求権者は、過払い金はカットされ、ほとんど返金がないかもしれないリスクに追い込まれる。

民事再生手続き前に信託譲渡され、受託者に対して、過払い金請求権を有するものは、手続き外の処理として、受託者に対して請求し、信託財産は、債務超過になっていないので、過払い金は満額返金されることになる。再生手続きに届出してカットされ、一部について配当を受けたからといって、債権の同質性が欠ければ、信託財産に対して返還請求は認められる。

 

II. 信用情報の共有の問題

譲渡を受けるのが、信託銀行である場合、全情連加盟していない場合には、履歴情報の共有はできなくなる。BUSが貸金業者となって、受託者から回収事務を受任される場合に、信用情報機関に取引履歴を登録をしようとすれば、債務者の同意が必要なことは、すでに論じた。(「増補版  貸金債権の債権譲渡にかかる信用情報の共有に関する利用権の扱い」参照) 

他方、債権の帰属は、BUSではなく、受託者にある。受託者が信用情報機関の加盟員でない場合、信用情報機関は、登録をうける資産について、サービサーの保有資産として扱うことになるのか、どのように識別されるかは、不明である。今後、こうしたケースが増えることを想定すれば、債権の帰属如何にかかわらず、登録、更新を認める方向に、向かうであろう。

債務者が同意した場合、債権譲渡により、譲渡者の貸付残高は、弁済による債権消滅ではないが、債務が完済同様にゼロとして扱われることは、譲渡者との間で、確認されなければならない。さもなくは、直接、信用情報機関に確認する必要が生じる。 

 

 

(注)  内閣府令(貸金業法19-2に関連して) 

改正貸金業法にかかる内閣府令16条3-5、17条の2、17条の3、23条の2 

2007年12月19日施行された改正貸金業により、債権譲渡が在る(存在する)場合には、貸金業者は、帳簿保存義務と閲覧請求に対する開示義務が定められた。民事再生債務者にあっても、譲渡の閲覧請求があれば、開示義務が求められる。

債権譲渡を受けた者も、帳簿保存義務と閲覧請求に対する開示義務があると考えられるが、「債権譲渡があった」債権とは、改正法の施行後に譲渡がなされたとも考えられるので、既譲渡債権については、遡及効がないと解釈されるかもしれない。

改正内閣府令では、残高のある債権だけ確認できるが、完済債権は、権利がないと読めるのでしょうか。たぶん。完済債権については、信託に、時効の10年間は、かかっていけるはずですが、確認ができないということになりますか。

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(帳簿の備付け) 第十六条   
法第十九条に規定する内閣府令で定める事項は、次に掲げる事項とする。
  一  法第十七条第一項第四号から第七号まで及び第九号に掲げる事項(第十三条第一項第一号イ、ホ、ト及びヨ(手形の割引及び売渡担保にあつてはイに限り、金銭の貸借の媒介にあつてはイ及びヨに限る。)に掲げる事項を除き、極度方式貸付けに係る契約にあつては次号に掲げる事項と同一の内容のものを除く。)
  二  法第十七条第二項第二号から第六号まで及び第八号に掲げる事項(第十三条第二項第一号イ、ホ、ト、カ及びヨ(手形の割引に
あつてはイに限り、売渡担保にあつてはイ及びヨに限り、金銭の貸借の媒介にあつてはイ、カ及びヨに限る。)並びに第二号ハに掲げる事項を除く。)
  
三  貸付けに係る契約について保証契約を締結したときは、法第十七条第三項に掲げる事項(第十二条の二第三項第七号及び第十二号に掲げる事項を除く。)
  
四〜六  (略)
  七  貸付けの契約に基づく債権に関する債務者等その他の者との交渉の経過の記録
  八  (略)
2   第十一条第四項の規定は、貸金業者が法第十九条の帳簿を作成する場合について準用する。
3 貸金業者は、法第十九条の帳簿を作成するときは、当該帳簿を保存すべき営業所等ごとに次の各号に掲げる書面の写しを保存することをもつて、当該各号に定める事項の記載に代えることができる。
  一  (略)
  二  法第十七条第二項の規定により交付すべき書面第一項第二号に掲げる事項
  三  法第十七条第三項の規定により交付すべき書面第一項第三号に掲げる事項
  四  法第十七条第六項に規定する内閣府令で定める書面第一項第一号に掲げる事項(当該書面に記載された一定期間に締結した極度方式貸付けに係る契約に係る部分に限る。)
  五  貸付けの契約に基づく債権の譲渡契約の書面(第一項第六号に掲げる事項を記載したものに限る。) 同号に掲げる事項
 
第十七条   
貸金業者は、法第十九条の帳簿を、貸付けの契約ごとに、当該契約に定められた最終の返済期日(当該契約に基づく債権が弁済その他の事由により消滅したときにあつては、当該債権の消滅した日)から少なくとも十年間保存しなければならない。ただし、極度方式基本契約を締結した場合には、当該極度方式基本契約及び当該極度方式基本契約に基づくすべての極度方式貸付けに係る契約について、当該極度方式基本契約の解除の日又はこれらの契約に定められた最終の返済期日のうち最後のもの(これらの契約に基づく債権のすべてが弁済その他の事由により消滅したときにあつては、その消滅した日)のうちいずれか遅い日から少なくとも十年間保存しなければならない。
2  貸金業者は、その営業所等が現金自動設備であるときは、帳簿の備付けを行うことを要しない。
 
(帳簿の閲覧等請求権者)第十七条の二
法第十九条の二に規定する内閣府令で定める者は、次に掲げる者とする。
一  債務者等又は債務者等であつた者の法定代理人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人
二  債務者等又は債務者等であつた者の相続人
三  債務者等若しくは債務者等であつた者のために又は債務者等若しくは債務者等であつた者に代わつて弁済をした者
四  債務者等若しくは債務者等であつた者又は前各号に掲げる者から法第十九条の二の請求について代理権を付与された者

(帳簿の閲覧方法) 第十七条の三
貸金業者は、法第十九条の規定に基づき、同条の帳簿をその営業所等ごとに備え置き、法第十九条の二に規定するときを除くほか、その営業時間内に、請求者の請求に応じて閲覧又は謄写をさせなければならない。
 
(債権譲渡後の受取証書の交付)  第二十三条(略)
 
(債権譲渡後の帳簿の備付け) 第二十三条の二
第十六条の規定は、債権を譲り受けた者が法第二十四条第二項において準用する法第十九条の帳簿を作成する場合について準用する。この場合において、第十六条第一項第二号中「第二号から」とあるのは「第四号から」と、同項第三号中「締結したとき」とあるのは「締結されているとき、又は締結したとき」と読み替えるものとする。
 
第二十三条の三 
貸金業者の貸付けに係る契約に基づく債権を譲り受けた者は、法第二十四条第二項において準用する法第十九条の帳簿を、譲り受けた債権に係る貸付けの契約ごとに、当該契約に定められた最終の返済期日(当該契約に基づく債権が弁済その他の事由により消滅したときにあつては、当該債権の消滅した日)から少なくとも十年間保存しなければならない。ただし、.........以下略

(債権譲渡後の帳簿の閲覧方法)  第二十三条の四 
 
(債権譲渡後の帳簿の閲覧等請求権者)  第二十三条の五
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