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過払い金の性質は、不当利得返還請求権

債権譲渡と過払金債権の移転

ひとに請求するとき、法に根拠を求める。理由なく請求できません。
法(条文)は要件と効果を定めます。要件とは、その請求を正当化するための根拠付けです。要件を満たせば、請求権が成立し、発生する。要件を満たさなければ、成立しないので、違法あるいは不当な請求となる。
効果とは、債権が成立したら、その結果として、何が起こるか、何を請求できるかということです。損害賠償とか処罰とか。

さて不当利得返還請求権の要件とは何か。法(703条)は要件だけを定めますが、裁判により証明しようとすると、要件事実が必要となります。要件にあう事実を提示しなければならない。裁判による評価・判定ちは、要件事実が要件を満たすかということになる。

過払金返還請求権を成立させる要件は4つ。これを過払金の権利の発生を求め、請求する側がひとつひとつ証明しなければ、703条の権利は成立しない。
①XがYの行為により金銭的損失を被った事実
②YがXの支払いにより利益を受けた事実
③Xの損失とYの受益には法律上の原因がない事実
④Yの受益とXの損失には因果関係がある事実

ここでXは、過払い金を返還請求する側なので、unknown factorではない。Yは満たされるひとを決定することになる。ここで、Yを探す作業にする。Xの支払いを受けたひとをQとする。

③により、Xは、ローン契約の債権者であるQに支払った金銭には支払いの原因はないと主張する。なぜなら、引き直し計算により、XのQに対する債務は消滅していたから、原因のない支払いであった。(取引履歴にもとづく引き直し計算書)
①しかるにXがQに原因のなく支払ったことにより、Xは損失を被った。
②Xが知る限り、Qは、原因のない不当な利得を収受した。(証拠: 支払いの証明、取引履歴)
④ここで、X損失とQ利益との因果関係は、当然。

さて、703条は、不当利得の相手として、Xに損失を出させて、利得を得たものしか規定しない。Xが払い、YがXから受領しているケースでは単純な話となる。不当利得の返還を求めるのだから、受け取った事実がキーになる。誰が受け取ったか、その人が利得を得ていれば、返還請求できる。
703条は、過払い金返還請求権が債権でありながら、明文上、債権譲渡を議論しない。債権者が誰であるかどうかは、請求権成立の要件ではなく、利得を得たものということになる。

訴訟を起こすとき、手続き上、債権の帰属をメルクマールとしてあるいは債権の処分権を有するものに対して、請求すると誤りやすい誤解に陥ることがある。
不当利得の返還請求権では、債権の帰属も、処分権も問題にしていない。「誰が利得を収受した」(過去形)かということだ。

債権が譲渡されたから、譲受人Pに不当利得の返還責任があるというものではない。もし譲受人Pが利得を得たというのであれば、703条にあてはめ、Xの支払いにより、②譲受人Pが利得を得た事実、④因果関係を証明しなければならなくなる。債権譲渡というだけで、因果関係が満たされる事実なのか、評価を要することになるが、それは②が証明できれば、因果がより明確になる。

過払い金が債権譲渡前に発生していれば、誰が収受したかは、明らかである。譲受人PはXからの支払いを受け取っていないから、譲渡者が負わなければならない。すなわちXからみてYという不覚知の存在は、Xから支払いを受領したQという判定となる。

703条は債権譲渡を明示して、検討していないが、だからといって、Xから直接支払いを受けたQだけが利得を得たひととは考えていないことは、要件を見れば推測できる。②は、Yが、Xの支払い受けたものであるとはどこにも定めていない。①もYの行為により、損失を受けたとあるにすぎず、Yが不法の理由をX に示して、Xの損失発生とYへの利益の還流を誘導したようなケースを想定しうることになる。だから④の因果関係が問題になる。もしXから直接受領したQの責めだけを追求するなら、こういう要件論にはなっていない。
①XがYの行為により金銭的損失を被った事実
②YがXの支払いにより利益を受けた事実
③Xの損失とYの受益には法律上の原因がない事実
④Yの受益とXの損失には因果関係がある事実

そこで、債権譲渡に当てはめ、Y=Qなのか、Y=Pなのか、事実関係を探る。
譲受人Pは、債権プール全体を元本の半値で購入した。一部に過払い金債権(Pにとっては債務)が混じっていた。引き直し計算結果や、過払い金などの理由から、半値に割り引いて購入している。
Pは、Xからの引き直し請求が無い限り、引きなおされないままの元本を正当に請求し続けられる。過払い金が発生している債権についても、請求できる。
したがって譲渡者Qは、Xの過払い金の支払いを直接受領した事実を認め、争わないが、譲渡の時点で、Qは譲渡損失を出し、将来に向けて(譲渡損失額相当の)利得がPに移転されたという主張は説得力があるか。だからPは、原因のない請求をXにできる。

もしQとPに共謀があり、Pが利得を得るために、Qに過払い金を収受し、半値に割り引いて売却することを企てた場合はどうか。

しかしいずれにしても、703条要件は、利得を受けたと過去形しており、これから利益を得る機会を買ったからといって、未だ利益を実現できていなければ、P=Yとは判定しようがない。

それなら、元本の半値で買ったPが、それを100%の価格で転売したら、Qの損失で利益を得たPが、利得を得たことにならないか。④の因果関係があるといえるか。NOだろう。売却益が出たという結果論にすぎない。共謀があり、Xに損失を与えようとする共同の工作があれば、別だが。

したがって、Xから契約上の原因なく、金銭の受領を受けたQが、返還責任を負うものであり、それを譲受人に転嫁することは、容認されない。

 

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