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債権譲渡により事実上消滅させられる過払金債権

通常、一件の借入しかない場合には、債権譲渡で過払金が発生していても、大きな障害にはならない。
しかし債権が複数ある場合には、状況は異なってくる。複数の債権とは、金利や満期の異なる債権というだけの意味ではない。契約の要素が違う場合であり、担保付、無担保、連帯保証人付きか否か、違いなどの場合を検討する。
たとえば保証人つき債権Aは、引き直し前100万円が残高があるが、過払金を超過金利払いを元本充当すれば、過払金200万円生じるとする。担保付債権Bは、引き直し計算前200万円、引き直しても100万円の残高がある。
両者は共に、譲渡された。債権譲渡の通知を受け、それを契機として、程なくして、みなし弁済無効を主張して、引き直し計算した。債権Aは、過払金が発生したので、譲渡債権は譲渡前にすでに消滅していたことになり、譲渡無効かさもなくは譲受人は有効に成立した債権譲渡契約を解除した。引き直し後の債権Bの 50万円だけ、債務が残ることになる。

仮に譲渡前に充当計算して譲渡されたらどうなっていただろうか。2件のローンは合算して一括清算されたら、過払金が100万円(200-100)生じたはずである。しかし債権譲渡により、過払金債権は譲渡無効あるいは解除により、譲渡者に残り、残債務がある債権だけが有効に移転される。

過払金債権が内在した債権では、過払金債権とローン債務が随時相殺(法律構成としては相殺ではないが類似する減額請求権が留保されたローン債権)されていないので、債権譲渡が、こうした異なった結果を招くことになる。過払金債権は、譲渡者が破産すれば、債権届出して配当に与るしかない。

債権の譲受人は、金融期間であれば、こうした結果が起こることを合理的に予見できる能力があり、過払金債権者の権利を侵害する結果を回避する注意義務を怠ったというより、故意に損害を与える結果となった。債権譲渡に両当事者に共謀がなくても、客観的共同があり、ふたりの行為があわさって、過払金を減額させる損害が引き起こされたので、共同不法行為により連帯責任を負うと考えられるか。

債権譲渡により、こうした認めがたい状況の発生が予期できるのであれば、譲渡者と譲受人は、譲渡にあたり、事前に引きなおし計算すべき注意義務を負うと考える。少なくとも引き直しなく譲渡されることで承諾されるかの確認を要しよう。なぜなら、過払金債権者は借り手であり、その回収を著しく困難かつ不可能にする債権侵害の結果を招く譲渡を応諾するかどうかの意思を確認すべき注意義務が怠ってはならないと考える。

共同不法行為法理適用は、譲渡者に対して、過払金返還請求できない状況にあり、損害賠償に転化し、並存して請求するというにすぎない。管財人を必要的共同訴訟に引き込むことが利口でないとしたら、実際に譲渡人が破産していれば信用力がないのだから、不法行為でも経済的には同じ結果になる。

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複雑なSFCG債権
追加で融資受けた債務者も多いと思う!たとえば、
一回目200万5年で完済。(その債権は現状存在をしていない)
二回目250万5年経過(残高250万だが、50万の過払い発生)
三回目250万3年経過(残高250万、引き直しても100万の残あり)
この様な場合、SFが健在であれば全てを一連で引き直して不存在を訴えられる。
しかし、現状破産手続きとなれば一回目は当然過払いあるが戻る見込みなし。
二回目は振興に譲渡されていて50万の主張すればSFに戻される。三回目は債務が
消滅するまで振興に払うとしても過払い分の返還は見込めないとなれば、一連で
引き直し、振興に不存在を訴えて支払いを止められないものか?
(注 一回目は元利均等 二回目三回目は期限付き利息のみ)

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過払債権が移転される法律構成を考察してみる。
①過払債権の債権者が借主でと元のローンの債権者がSFCGゆえ、請求原因を異にし、過払債権を借主が銀行に譲渡し、応諾されていなければ、法構造上、移転の事実は証明できない。
②またSFCGと銀行の契約が、地位の譲渡、債務引受を随伴する契約でない限り、過払い金の移転を証明できない。
したがってローン債権だけが譲渡されたことになる。
ここで奇妙な話になってくる。
譲渡されない場合には、借入債務と過払債権は分離不能な不可分一体の債権として処理される。過払金が発生したり、新たな借入に充当され、消滅したりして、発生・消滅を繰り返しうると認識されて引きなおし計算されるのが実務慣行である。

債権とは、借り手には影響を与えず、債権をそのまま譲渡することことであるが、①説に従えば、過払債権が付着しているから、一方が移転されることで債権と債務が分離されてしまう結果となる。こうした法的不整合な結末は、譲渡者と譲受者が相当の注意をすれば、認識しえたことであり、むしろ双方が金融のプロである以上、当然にそのように認識して、そうした結末を意図して、取引がなされたと考えるのが、妥当である。たまたまの不注意、過失であるとはいえない。

①説法律構造をとったときには、全体がひとつの取引から生まれた債権債務関係であり、過払債権が派生的な性格の債権とすれば、譲渡がなかった場合と比べ、不当かつ権衡を欠く結果をもたらす。しかし債務者の立場では、現状の法律構成では、過払金の移転を伴わない債権だけの譲渡無効を主張できない。
②説は、銀行とSFCGの契約に、銀行から明白に地位承継の拒絶がある以上、当事者の意思を無視し、債務引受、地位譲渡を推論することは、認められない。

さらに事実関係を考察してみる。
上記分析は、1本目のローンの完済があったのが、今から10年以前で、2本目のローン実行とは、数ヶ月の間がある場合と考えられる。もし10年以内に債権が消滅しておれば、1本目と2本目は継続した一連の取引とみなされ、過払金と貸付金が計算上充当され、現時点の残高が計算される。
もし2本目の債権譲渡は、引きなおし計算請求により、譲渡時に遡り、残高がゼロだったことになり、過払金は不当利得を得たものに対して、請求することになる。

そこで、③説として、債権債務が混然と一体化する性質の債権であるので、譲渡時点で、債権債務関係を全てを清算して、譲渡される義務があったと構成はできないか。この場合、過払債権による自動相殺という新たな権利を借り手に認めることになる。すなわち、譲渡時点で、譲渡を知らされていたら 過払金債債権と借入務を相殺する(金利引きなおし計算の)意思表示をしたのであって、その権利を侵害されたとする。
しかし権利侵害の損害賠償が破産会社に向かうのでは、法的救済がはかられても、実際の補償がえらえない。となれば、そうした状況は相当の注意をすれば合理的に予測できたにも関わらず、金融機関でありながら、注意を欠き予防しなかった義務違反により、過払相殺分の減額請求を求めたらどうか。
譲渡の取引から、主観的共謀の事実を証明できなくても、客観的共同があれば、裁判所がそれを認め、連帯的債務として扱われることが望ましい。裁判で、証拠として譲渡契約の提出を求め、実体分析が必要となる。

 

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債権譲渡とは、ある契約にもとづく原因から生じる債権を譲渡すること
債権譲渡 民467条の成立要件requirements 1 は, 債権が存在しなければ、譲渡できる。債権が存在すること。
売主は、表明保証representations and warrantiesをして、①有効かつ正当に発生し、②現在なお存在し、消滅していないと証明する。
存在していない債権は、したがって譲渡できない。
買ったほうは、あったと勘違い(誤解)させられて買ったことになり、無効になる。
ただ引き直し計算すれば過払金の発生する債権が消滅した債権であることを知って買ったわけだから、債権がなければ、譲渡することができないに過ぎない。
 
成立要件(訴訟になったら、裁判で証明する。請求者と被請求者はどれかの要件の成立で、逆の主張にする。)
①不法な原因(詐欺、賭博、売春など公序に反する場合ほか)によらず、債権が合法的に正当に発生している。(発生原因の証明)
②消滅とは、金銭債権では、通常、弁済、代物弁済、相殺などにより、消滅するが、そうした事実がないことの証明。
③債権者が譲渡の申し出をし、譲受人が譲渡の応諾をする。
 
④ 効果のひとつとして、債権譲渡は、債権者と譲受人の合意で成立する。債務者(借り手)の合意あるいは同意は不要であるが、債権はそのまま譲渡されるだけで、債務者に影響を与えてはならない。
債務者に通知があれば、ただ債務者に譲渡の事実を対抗できるにすぎない。すなわち、直接譲受人が借り手から回収できる。譲渡登記や確定日付き譲渡通知を譲渡者(権利喪失者)が債務者に送付した場合あるいは債務者の承諾ある場合には、対外的に権利関係が確定し、譲受人は譲渡人の債権者他、誰にも権利を対抗できる。
 
ここで、過払金債権とは、一般の債権である。過払金返還請求権者は借り手であり、過払金返還義務者は貸し手である。ししたがって、過払債権の譲渡があったとすれば、要件事実が成立していたことの証明が必要となる。債権者が譲渡の申し出をして、譲受人から応諾者があった譲渡契約が成立していたか。過払債権の譲渡が有効に成立したかどうかを争うという状況では、当然その点が争いになる。過払債権の譲渡があったと主張する側が、証明責任を負い、抗弁する側は、譲渡の事実がなかったという事実を提示する。
さらにここで、過払債権は、過払債務者が、過払債権者に合意を取らず内密に譲受人(債務引受人)に譲渡できるものではないし、そういう譲渡は要件を満たさず成立しない。それでは過払債務者は、過払債権者から、譲渡行為について、法律行為を代理する委任を得ていたか。否 
 
過払債権者は、したがって、自分の有する貸し手に対する不当利得返還請求権を譲渡しただろうか。否。
 
こうして債権が譲渡されたからといって、ローン債権者の債務までもが同時には譲渡されない。また譲受人には債務引受の意思を表示したわけでもないから、表示意思とは異なるから、当事者の意に反して権利が成立しまったことになる矛盾が生じる。また債務承継契約でも、買収などのような貸し手の地位の承継(貸し手の立場が置き換わる)を伴う取引でもない。
 
ここで奇妙な話に浮き上がってくる。
過払債権者が譲渡する対象物としての債権が、譲受人に譲渡される前に既に発生していなければならないのは当然であるが、過払債権は、借り手が自らの損失を負担することで、貸し手が受益を受けたという権利状態がすでに発生しているという点である。
つまり、借り手と譲受人との間で過払債権が発生しているというのではなく、貸し手との間で過払債権が発生しているという事実があり、債権譲渡に伴い、過払債権も移転するという法律構成をとりたいという意味での請求である。
 
 
論点2
 
過払金返還請求権とは、不当利得返還請求権を意味し、その成立要件4つを、民703条が規定する。
①Aに受益があった
②Bに損害が発生した
③Aの利得は、原因なき(受益する正当な理由がない)受益だった。
④AとBには因果関係がある。
 
単純なケースとして、
Bは(AとBとの間のローン債権があると信じて、あるいは信じさせられて、実は債権は消滅していたが)Aに支払いをした。
4つの要件を満たす。Bに発生した損失について(請求側の直接事実の証明責任)、Aがそれにより受益を受けたこと(請求側の直接事実の証明責任)、その支払いには理由がなかった(請求側の直接事実の証明責任)。
保証人の場合に保証行為の履行があって、損害が発生しても、わかりやすい。
 
振興銀行にはどういう意味で受益したhas obtained 事実があるのか。これから請求できる権利というのではだめ。
Aに利得があったか、なかったかから始まり、それが法律上の原因なき、不当かどうかが争点(互いが見解相違で争う)になる。
振興銀行は、債権譲渡が成立する前に、借り手との契約関係が存在しておらず、借り手の損害において、なんら不当な利得を得ていなかった。
 
 
ここで、過払債権が移転によって移ったという主張しかできなくなる。しかし、論点1から、債権譲渡の対象がローン債権から発生する権利であり、請求原因を異にする過払債権ではなく、それが譲渡に随伴したり、譲渡に含まれるわけではない。
 
トライトでは、地位の譲渡が認められたケースで、取引が買収の性質を帯びていたか地位の承継、債務の引き受けの応諾を契約上でしていたと認められた。

論点3
 
譲り受けた債権が、譲渡前に弁済があったことが譲渡後に判明し、譲渡時には、遡及的に債権が消滅し、存在していなかった債権譲渡の効力
 
債権譲渡の要件を議論しているが、これはそういう問題ではなさそうである。
譲渡契約成立時に、債権は存在したかしなかったのか。存在したのであれば、その要件は満たされ、議論の余地はない。
譲渡契約成立時点では、借り手がみなし弁済無効の主張をしていなければ、債権は有効に存在するという性質の債権なのか、それとも借り手の意思表示にかかわらず、引き直し計算すれば、理由のない弁済になるだけなので、債権は存在していなかったといえるか。
意思表示必要説は、時効の援用の起算日判例から、意思表示がなければ、みなし弁済が無効にされる理由がなさそうである。債権残高は援用があってから、遡及的に変更されるかに解される。
意思表示不要説は、ありえるだろうか。地方自治体の税金や国保など健康保険の未払い金の回収のため、債権者による代位権行使が可能な債権で、借り手の意思表示を待たずして、すでに権利関係(過払い金の発生)が成立していると考えられるか。この場合は、借り手が支払不能、債務超過にあって、経済的行為に関しては、意思表示不能な状況におかれており、債権者が借り手の地位に代位したと考えれば、訴えを提起した時点で、意思表示の推定が働くとも考えられる。
 
そのように考えられれば、債権は譲渡時に確かに存在しており、譲渡者はその事実を契約上表明保証し、買い手は、それを確認した。注意義務として、数千を超える小額の債権譲渡では、借り手まで任意弁済でしたかと確認する作業が求められるものではないだろう。
 
そうすると、譲渡者も譲受者にも落ち度がなかっし、騙そうとする悪意もなかった。経済取引には、故意や過失がなかったとし、債権譲渡はこの段階で、有効に成立し、効力を生じ、権利の移転(必要であれば登記や対抗要件具備行為)と代金の支払いが遅滞なく行われ、譲渡が完了した。
 
それを後になって、債権が実は遡及的に存在していないことになってしまったというとき、譲受人は、いったん有効に成立した法律関係について、譲渡の無効を主張しうるか。買い手は債権がいつ何時、借り手の意思表示で、債権額が変動する恐れのある性質をもった債権であることを認識して購入しており、譲渡者もそれを認識して、価格を決定して譲渡した。
したがって、譲渡契約の意思形成過程において、なんら瑕疵は見当たらず、無効原因はない。
 
そこで、予想しうる所定の後発的事象が起こった場合に、譲受人が契約を解除しようという解除権行使の契約上の合意の効力を範囲が問題になりうる。不当な行使であるか否か。
しかし解除の結果は、単に遡及的に存在していなかった事実を追認するだけのことであり、買い手はその損害の危険発生を引き受けていたに過ぎない。解除権が原状に復帰させ、取引がなかった状況にもどす効果をもたらとはいえ、相手に譲渡代金の返還請求を求める権利があるだろうか。買い手は譲渡時、債権額が借り手の意思により一部あるいは全部減額される恐れのある性質の債権であることを認識し、注意して、譲り受けたのであるから、譲渡者に対して、原状復帰の効果として返還請求や損害賠償まで求めることは、不当であろう。
特に、譲渡時点から借り手に数回の支払いがあったあとであれば、なおさらだろう。
 
また引き直し計算で元本の一部が減額されただけで、過払い金が発生していない場合には、特に定めがない限り、そのリスクを譲受人が負担することになるので、そのアナロジーで考えれば、過払い金発生の時だけ、譲渡無効と同様に、代金を返せというのは、解除の権利濫用ではないか。ただ譲渡後3ヶ月以内について、引き直し計算があった場合に減額された金額を補償するという譲渡者特約があれば、それは有効だろうが、譲渡後1年まで、借り手が12回の支払いを履行した後までも補償する経済行為が合理的かどうか(他に何か意図がないか)ありえるのか、疑問が残る。
 
そうすると、譲受人の解除権行使で債権が譲渡者に戻された場合の代金返金が発生しないとすれば、SFCGの債権届出において、債権として保護に値し、一般債権として認識し、届出を認めるかについては、管財人が争うべき債権だろう。
 
遡及的に譲渡債権が一部あるいは全部存在しなかったという危険は、譲受人が負担し、特約があればそれに従うとしても、過払い金が発生する債権についてはどうか。
ここで、債権譲渡や解除権から、不当利得が譲受人にあったかなかったかという要件論に争点に移ってしまい、譲渡時点では(なんら共謀もなく)譲受人は不当に利得できるような状況にないことが明らかであれば、責任を負担しなければならない正当な理由がない。
 
したがって、譲渡時において遡及的に債権の不存在が確認された債権の過払い金返還請求権は、譲渡者に対してのみ請求できる。ただ譲受人によって借り手の権利に侵害がある(共同)不法行為による損害賠償請求は、請求原因を別にする債権である。

過払い金の性質は、不当利得返還請求権

債権譲渡と過払金債権の移転

ひとに請求するとき、法に根拠を求める。理由なく請求できません。
法(条文)は要件と効果を定めます。要件とは、その請求を正当化するための根拠付けです。要件を満たせば、請求権が成立し、発生する。要件を満たさなければ、成立しないので、違法あるいは不当な請求となる。
効果とは、債権が成立したら、その結果として、何が起こるか、何を請求できるかということです。損害賠償とか処罰とか。

さて不当利得返還請求権の要件とは何か。法(703条)は要件だけを定めますが、裁判により証明しようとすると、要件事実が必要となります。要件にあう事実を提示しなければならない。裁判による評価・判定ちは、要件事実が要件を満たすかということになる。

過払金返還請求権を成立させる要件は4つ。これを過払金の権利の発生を求め、請求する側がひとつひとつ証明しなければ、703条の権利は成立しない。
①XがYの行為により金銭的損失を被った事実
②YがXの支払いにより利益を受けた事実
③Xの損失とYの受益には法律上の原因がない事実
④Yの受益とXの損失には因果関係がある事実

ここでXは、過払い金を返還請求する側なので、unknown factorではない。Yは満たされるひとを決定することになる。ここで、Yを探す作業にする。Xの支払いを受けたひとをQとする。

③により、Xは、ローン契約の債権者であるQに支払った金銭には支払いの原因はないと主張する。なぜなら、引き直し計算により、XのQに対する債務は消滅していたから、原因のない支払いであった。(取引履歴にもとづく引き直し計算書)
①しかるにXがQに原因のなく支払ったことにより、Xは損失を被った。
②Xが知る限り、Qは、原因のない不当な利得を収受した。(証拠: 支払いの証明、取引履歴)
④ここで、X損失とQ利益との因果関係は、当然。

さて、703条は、不当利得の相手として、Xに損失を出させて、利得を得たものしか規定しない。Xが払い、YがXから受領しているケースでは単純な話となる。不当利得の返還を求めるのだから、受け取った事実がキーになる。誰が受け取ったか、その人が利得を得ていれば、返還請求できる。
703条は、過払い金返還請求権が債権でありながら、明文上、債権譲渡を議論しない。債権者が誰であるかどうかは、請求権成立の要件ではなく、利得を得たものということになる。

訴訟を起こすとき、手続き上、債権の帰属をメルクマールとしてあるいは債権の処分権を有するものに対して、請求すると誤りやすい誤解に陥ることがある。
不当利得の返還請求権では、債権の帰属も、処分権も問題にしていない。「誰が利得を収受した」(過去形)かということだ。

債権が譲渡されたから、譲受人Pに不当利得の返還責任があるというものではない。もし譲受人Pが利得を得たというのであれば、703条にあてはめ、Xの支払いにより、②譲受人Pが利得を得た事実、④因果関係を証明しなければならなくなる。債権譲渡というだけで、因果関係が満たされる事実なのか、評価を要することになるが、それは②が証明できれば、因果がより明確になる。

過払い金が債権譲渡前に発生していれば、誰が収受したかは、明らかである。譲受人PはXからの支払いを受け取っていないから、譲渡者が負わなければならない。すなわちXからみてYという不覚知の存在は、Xから支払いを受領したQという判定となる。

703条は債権譲渡を明示して、検討していないが、だからといって、Xから直接支払いを受けたQだけが利得を得たひととは考えていないことは、要件を見れば推測できる。②は、Yが、Xの支払い受けたものであるとはどこにも定めていない。①もYの行為により、損失を受けたとあるにすぎず、Yが不法の理由をX に示して、Xの損失発生とYへの利益の還流を誘導したようなケースを想定しうることになる。だから④の因果関係が問題になる。もしXから直接受領したQの責めだけを追求するなら、こういう要件論にはなっていない。
①XがYの行為により金銭的損失を被った事実
②YがXの支払いにより利益を受けた事実
③Xの損失とYの受益には法律上の原因がない事実
④Yの受益とXの損失には因果関係がある事実

そこで、債権譲渡に当てはめ、Y=Qなのか、Y=Pなのか、事実関係を探る。
譲受人Pは、債権プール全体を元本の半値で購入した。一部に過払い金債権(Pにとっては債務)が混じっていた。引き直し計算結果や、過払い金などの理由から、半値に割り引いて購入している。
Pは、Xからの引き直し請求が無い限り、引きなおされないままの元本を正当に請求し続けられる。過払い金が発生している債権についても、請求できる。
したがって譲渡者Qは、Xの過払い金の支払いを直接受領した事実を認め、争わないが、譲渡の時点で、Qは譲渡損失を出し、将来に向けて(譲渡損失額相当の)利得がPに移転されたという主張は説得力があるか。だからPは、原因のない請求をXにできる。

もしQとPに共謀があり、Pが利得を得るために、Qに過払い金を収受し、半値に割り引いて売却することを企てた場合はどうか。

しかしいずれにしても、703条要件は、利得を受けたと過去形しており、これから利益を得る機会を買ったからといって、未だ利益を実現できていなければ、P=Yとは判定しようがない。

それなら、元本の半値で買ったPが、それを100%の価格で転売したら、Qの損失で利益を得たPが、利得を得たことにならないか。④の因果関係があるといえるか。NOだろう。売却益が出たという結果論にすぎない。共謀があり、Xに損失を与えようとする共同の工作があれば、別だが。

したがって、Xから契約上の原因なく、金銭の受領を受けたQが、返還責任を負うものであり、それを譲受人に転嫁することは、容認されない。

 

 
証券化投資家の注意義務fiduciary責任の範囲
証券化で運用する担当者の債権譲渡についての注意義務
 
 
資金委託者からして、資金受託者の証券化の運用責任はどの範囲で免責されうるだろうか。
わが国法では、fiduciary責任法理の適用を請求原因の根拠としてあてにできないとしても、有償の運用委託を受ける職業人としての通常人の相当の注意義務が問われる。
市場の全員に違反があっても、通常人が全員注意を怠ったから、自分が免責される理由になるとは考えられない。
 
証券化に投資する以上、債権譲渡の登記がどのようなものかは必須として知らなければならない。格付けに依存したとして、注意義務を免責できるものではない。
登記実態を知らないで投資することは、何が起こりえるかについて予見することができない。結果回避できるための予見に必要な知識は、投資家として必須であり、市場全員が知らなかったとしても、勉強を怠った結果、損失を招いたとすれば、免責理由にはならない。重大な注意義務違法であり、結果回避を怠る原因を自らが招いた。したがって、違法性がある過失責任をともなう。
損失は、もし債権登記の性質を知っていて、なおかつ注意して投資していれば、回避できたかもしれないし、知識だけでは防げなかったかもしれない。しかし知っていて、損失発生の恐れの結果を予見しつつ、回避しようとした心的状況があるのと、知識を身につけようともしなかった失当とは明らかに違いがあり、注意をして知識を得たが結果予防ができなかった場合には、違法性が阻却される防御が認められうる。
 
さて、証券化投資家であれば、全員が知らなければならない(そうでなければ損害賠償請求を負う)登記の実態とは何か。
 
以下に回答しなければならない。(Yes/No)
1. 債権譲渡で譲り受けた債権者は、譲渡債権を識別するために必要な情報は保持しないと、万一のとき、請求することができなくなってしまう。登記は目的のためにある。したがって、譲渡の年月日のほか、債務者の識別情報として氏名、生年月日、住所、債権の識別情報として、債権額、支払期日、満期、与信枠、金利その他重要な条件があれば、その他項目として、登記される。
2. 登記の譲渡債権の債権額は、譲渡契約時の現存債権残高が記載される。
3. 登記の譲渡債権の満期は、債権の満期日(分割弁済であれば最終支払い日)が記載される。
4. 債権額は毎月返済(場合により追加貸付ある場合にはその取引)により変動する。
債権の識別をするためには、債務者名と債権額は必須であり、また回収のためにも必須の情報となる。債権額は、元本返済があれば、それだけの金額相当額、債務者は弁済を免責され、債権はその分消滅している。登記の金額は、それを反映して、債権識別ができるように、債権額変動の登記をしなければならない。抹消を怠れば、単に不正登記となるにすぎない。
5. 譲渡債権が期限前に完済されたとき、債権は消滅し、不存在になるので、抹消登記しなければならない。
 
発展的質問
6. 債権譲渡法理は、請求原因の一部発生している場合には、将来債権譲渡を認めている。たとえば、今後10年間の診療報酬請求権。(債務者である保険機関と債権者病院の契約関係は成立しているが、患者がこなければ、債権は発生しない) したがって、登記においても、将来債権の譲渡の登記を認めている。
この場合、将来債権の譲渡債権額の金額は、将来債権譲渡契約に記載された最大額を記載する。
 
7. 将来債権が既発生になった時点で、速やかに現存債権として、登記しなおさなければならない。そのとき、将来債権登記は、その分の金額を減額修正登記をしなければならない。
 
8. 現存債権と将来債権が混成する債権(リボ式借り入れ可能なローンなど含む)の譲渡登記では、発生済みの現存債権額と未発生の将来債権額は、別々に記載項目があり、登記される。未発生の債権を登記で保護する必要がないからである。
 
9. 将来債権の2重譲渡を防ぐため、同じ条件の債権であれば、譲渡者、譲受人、債務者が合致すれば、ブロック(禁止)される。
 
 
答え
1. 譲渡登記では、債権の識別はできません。譲渡者、譲受人、債務者、金額だけ
2 残存額を記入するか、以下将来債権額を含んだ金額にするか、空欄にするか。
3. 信託譲渡であれば、信託期間の終了日+1年などとして、債権の期日とは無関係
4. 最初の登記の日の残高を登記すれば、そのまま。将来債権登記であれば、それもそのまま。
5. 同上
6. 残高はいくらでもかまわない。
7. その必要がないし、法的な義務もない。
8. 混成登記は、金額は、好きな金額を記入。登記期限を10年とすれば、残高、与信枠の10倍の取引があるかもしれないので、100万円の与信枠があり、現在80万円の既発生債権残があれば、1000万円と登記されることも認められる。
したがって、証券化で数万件ローン・プールで100億円の残高がある債権の登記金額が、現存額、空欄、1000億円という場合もある。
9. そんなブロックはかからない。
 
したがって、債権譲渡の登記は、不動産と違い、識別すらできないし、金額も不明な登記で、債権者、債務者、譲受人、移転の原因しかわからない。
 
譲渡者の不正譲渡があれば、登記の点から、防ぎようがない。
 
 
以上の質問に正しく回答できなかった投資家は、結果(リスク)予防できない状況に自らを放置していたので、組織として、注意義務を怠っており、知識がなかった投資判断により、証券化で損失が発生した場合には、資金委託者から、賠償請求に応じなければならない。
 
なお格付け事務所は、上記の実態を知りつつAAA格付に値するとして、格付けしている。譲渡者に嘘はないというのが、格付けの前提であり、嘘をつかれたら、想定できない格付け外のリスクであり、投資家責任となる。
 
SFCGの債権譲渡、過払い債権、信託譲渡、証券化のもつれた関係の解明と責任負担

振興銀行は債権譲渡で、貸金業法24条が求める譲受人の債務者通知をしており、譲渡時に金利も利息制限法適用範囲の15%に下げたという
それに対して信託譲渡を受けた証券化の受託銀行は、貸金業法の適用のある貸金債権を譲り受けながら、貸金業法24条が求める借り手への直ちにすべき譲渡通知を故意に怠ってきた。そして債務者との関係を譲渡前通りのままにするため、信託契約により譲渡者に回収事務を委託をして、借り手には譲渡がないような外観を装い続けた。
その理由はどこにあるだろうか。なぜ貸金業法は、グレーゾーン金利請求と受領を容認する貸金債権について譲受人に譲渡通知の送付を義務付けたのかの立法意思を考えて見る必要がある。

譲渡通知を出してしまえば、債務者は譲渡があり、債権者が金融機関であることを知る。金融機関は、貸金業法を適用による有効なみなし弁済を求めるよりも、利息制限法を超える金利を請求して、利息制限法に正面から反することに躊躇する。実際に、振興銀行が譲渡後の金利を下げたのは、そういう理由からだろうと憶測される。
経済的受益者にとって重要なのは、利得の幅であり、債務者対抗ができるかという問題ではない。債権の権利関係は、譲渡者倒産手続きでの管財人や譲渡者の債権者を含む第三者に対する優先的な対外的効力さえ確定できればよい。対外的な権利の主体、帰属の変更は、譲渡登記だけで完了する。  
譲渡により金利を利息制限法の範囲に下げるよりも、27%の回収金がそのまま回収され、回収期間中(通常は隔週とか一月間)の全口座の取引の履歴を含む譲渡債権の回収報告書と共に、回収額全額が送金されることを望む。
譲渡通知の故意による不通知と回収事務委託は、それを可能にし、債権譲渡により債権者になりながら、グレーゾーン金利を継続してとり続けられることに最大のインセンティブがある。
こうして27%そのままの違法に経済的利益を収受した。譲渡者の譲渡通知についていえば、領収書に記せば容易にできることから、なぜ法違反を続けていたかは、それ以外に理由は考えられようがない。

したがって、故意に貸金業法義務違反を続け、信託は不当に利得し続けたのである。
そして過払い債権が発生したら、信託を一部解約し、遡及効を伴わずに、それまで得た不当な利得を返還することなく、譲渡者に抜け殻だけ戻して責任を負わせている。その点で契約の解除とは大きな違いが生じる。その結果、SFCGにあっては、過払い金は2000年前後から信託が取り続け、SFCGに過払金債務を戻して、不当利得を返還することもしなかった。受領した不当利得は、毎月の信託決算で、毎月投資家に分配してしまい、信託には受領した利得は残っていない。もはや受益者に配当した利益は取り戻せないという。
他方、信託受託者は信託財産の2割程度にあたる劣後受益権を譲渡者であるSFCGが保有していたから、劣後受益権の配当で過払い金債権相当額を実質的に返還していたというかもしれない。しかしながら、戻される債権の超過金利の元本充当の引き直し前の残高は、劣後配当からネッティング(控除されて)配当額が決定され、譲渡者からの利益移転が計られている。すなわち劣後配当には、過払債権が不当に利得してきた金額の返金が含まれていない。
また信託財産は、超過金利支払いの元本充当引き直しや過払い金の発生で絶えず減少する。必要な信託財産を維持しなければならないので、必要維持額を下回ることのないよう、委託者には別の債権で差し替え義務が生じる。
数字を挙げて説明すれば、信託財産を金利引き直し前の債権残高で1000とし、優先受益権の金額を800、劣後受益権を200とする。信託財産の債権金利を年27%、優先受益権(投資家)の金利を3%、信託事務関連手数料や証券化の手数料などの総額を仮に年1%、過払い金債権(引き直し前残高)を4%、引き直し計算で元本の減少するなどを含む回収不能な債務不履行債権を4%とすると
月の信託財産に生じる金利収入 270÷12=22.5
月の優先受益権配当額     800x3%÷12=2.0
月の信託事務関連手数料    1000x1%÷12=0.833
月の過払い金債権          1000x4%÷12 = 3.333
月の債務不履行債権         1000x4%÷12 = 3.333
劣後配当計算前の月の費用合計    9.5 (=2+0.8333+3.333+3.333)  
劣後配当額                     22.5-9.5 =13   

こうして不当利得の経済的な受益はは信託により収受されており、投資家に分配されており、SFCGが利得を得たわけではない。他方、借り手には未だ通知が出されていない。借り手は誰が真の保有者かも知らされていないから、過払金請求あるいは賠償請求したくても、訴えさえ出せない状況におかれている。

仮にSFCG破産手続きで、過払債権者は、SFCGの一般債権者として債権届出し、SFCGの残った破産財団だけを引き当て原資に限られた配当しか受けられないというのか。SFCGは、長年にわたり、過払い債務だけ負担させられ、不当利得の返金を受けておらず、利得を受けたのが信託であるにもかかわらず追求権を妨げられるとすれば、公平を欠いて扱われる結果となる。そうした計略された権利侵害が意図された結果をもたらす。そうした状況は当初から予見しうる範囲であるが、結果回避行動は受託者により何もとられていなかった。過払い金はSFCGに届け出るとして、過払い金相当額を信託に対して、共同不法行為につき、損害賠償請求を提起することはできるだろう。
SFCG管財人は、もし過払い金請求を信託財産に対して訴求できないというのであれば、受託者に対して、債権者に代わってあるいは利益代表として、返還請求を求めなければならない立場にあり、注意義務を負うのではないかと考える。
グレーゾーン金利と有効なみなし弁済にもとづく貸金債権は、ローン債権とそのなかに超過金利支払いによる元本充当によるローン債権額の減額請求権を内在した債権・債務が混在する性質の債権である。ローン債務者の意思表示により、ローン残高は相殺権の行使により随時ネッティングされる債権であり、相殺額(超過金利支払額)がローン残高を上回るとき、債権はすでに消滅してしまい、さらに過払い金が生じてしまう。結果、ローン債権の債権者は、過払い債務者となり、ローンの借り手は過払い債権者となる。ローンの債務者は、事実上、相殺適状にある相殺権を有しているとアナロジーされるような眠っているだけの形成権を有している。

債権譲渡は制限されていない。しかしこうした債権債務が一体化して分断できない不可分一体の性質の債権では、債権額が不確定であり、債権譲渡する場合には、両当事者はローンの債務者の権利を侵害しないよう金融機関としての最善の注意を要する。債権が消滅しておらず、存在するかの確認行為は、紛争を避けるためにも金融機関であれば必須の注意義務であり、過払い金が発生するような場合には、債権が存在していないのであり、譲渡不能の恐れが高い。譲受人は、債権者がどちらになるかわからないまま譲渡を受けて、コインの表がでたら譲渡が有効とし続け、裏がでたら、解除して戻せばいいというのは、債権者が消滅したローンの元債務者でその譲渡行為がなければ譲渡できないという法構造を利用して、過払債務だけを残したままに負けのないゲームをする場合には、債権譲渡によって、変動を受けて発生した損害については、客観的共同があって、連帯した賠償責任を提起することになるだろう。


債権譲渡と取引履歴保管義務
現実と合わない建てつけの法律か、法はそれを望んだのか。

信託銀行も振興銀行の債権譲渡時前の取引履歴を自分の事務所内で保管していないという。
これは、債権譲受人も取引履歴を含め帳簿備え付けを求める貸金業法に違反するか。
債権残高確認するには、履歴が必須であり、なければ引き直し後残高が不明であれば、債務者を害してしまうから、当然の法律だろう。

業者の言い訳を考えてみよう。
取引履歴は法律上、保有しておりますが、譲渡者に保管を業務委託しております。また計算事務業務についても譲渡者に委託しています。
確かに取引履歴や帳簿とはコンピューター・テープのこと。
もしこの業務委託が、譲受人の手元をまったく通じず、譲渡者から直接にIBM何がし株式会社に移管され、業務委託されていたら、確かに保持していることになるとされるだろう。
だから、保管義務違反していないというだろう。
立法意思がそうだったら、それで合法的処理だろう。しかし立法意思が、そうした法の潜脱を防ぐ目的で定められたとしたら、法の機能をまことに果たしていない。脱法を合法化してしまう。
何のための法だったか。
それとも、06年12月に法改正がなされ、それに伴い取引履歴保管義務が設けられた時点で、こうした事態は証券化の信託譲渡では起こっていたのだから、明確な対応(合法か、違法か)の基準を明らかにされたと考えるべきだろう。
にもかかわらず、現行法では、法違反を問えないかもしれない。要件事実の評価方法問題であり、立法意思に照らすことになって、やはり法違反が問えない。
日本振興銀行のSFCGからの債権譲渡の意図と重複譲渡債権の権利者の確定

3月25日、日本振興銀行は、SFCGから買い取っていた貸出債権に関し、1カ月余り広範かつ詳細な調査を行ったが、ただの1件も二重譲渡の事実は確認されなかったとの調査結果を明らかにした。二重譲渡疑惑に関しては、朝日新聞が3月23日に朝刊一面で報じている。それによれば、信託銀行などに約500億円二重譲渡している可能性があるという。一方、日本振興がSFCGから購入した貸出債権残高は約1025億円。日本振興の主張が事実なら、朝日の報道は誤報となり、日本振興の信用をも大きく棄損することになるはずだが....

世間に通用しない自分だけの子供騙しの法の理屈は、通りません。
それでは裏にはどういう意図があるのかとうがってしまう。

SFCGの保全管理人(破産手続きでは管財人)は2重譲渡があることを認めています。 相手は、信託銀行です。銀行は一件もない。これはどういう状況でしょうか。

ローン債権の権利関係は、①対外的な権利関係と②対内的権利関係、そして③借り手に対する関係があります。対内的関係とは、譲渡者と譲受人の権利義務関係、誰が権利者であるかをいいます。譲渡債権の実体の権利確定は、当事者の契約にしたがいます。
対外的関係は、対世的な意味で、SFCGの債権者や取引の第三者に対する権利関係で誰に権利が帰属し、債権の効力を主張できるかということで、ここにSFCGの管財人も含まれます。
借り手との関係とは、借り手に対して権利主張し、請求するための権利をいいます。
対外的関係は、債権譲渡の登記か債務者への確定日ある通知のいずれかの時間的先順位でもって確定されるます。借り手に権利主張し、借り手の異議に対して対抗するだけであれば、確定日付のない譲渡通知をすれば、足ります。
さらに借り手に対抗(有効な請求という意味)しようとすれば、譲渡通知を、権利を取得する譲受人が送付するのではなく、譲渡人SFCGが送付しなければ、効力を通知の生じない。権利を得たといって、偽装、詐欺通知の怖れがあるからです。また債権譲渡を第三者に対抗するためには、確定日ある譲渡通知(内容証明郵便)を、譲受人ではなく、譲渡人SFCGが借り手に送付しなければならない。

これが民法の基本的教科書理解です。
振興銀行は、銀行の開示説明から、借り手に対して調査し、新興以外には通知が着いているかを確認したにすぎません。しかし権利確定は、譲渡登記で決まるのもです。SFCGには2000年以前から、信託譲渡を大規模にしており、08年10月末の有価証券届出で4200億円の証券化譲渡があることがわかり、したがって金融のプロである振興銀行もその程度も調査しており、当然の知っているとする推論が働きます。しかも証券化の2重譲渡の有無監査は、証券化の資金調達のための債権譲渡直後及びその後は四半期ごとに、監査法人によってなされます。数千億円となっていますから、仮に10本の証券化があれば、年40回の監査を受けていることになりますから、定期的かつ頻繁に調査がありますから。、すぐに2重譲渡が発見され、指摘されます。治癒しない限り、契約義務違反、その部分の譲渡無効、2重譲渡の規模が大きければ、取引が債務不履行となり、全額償還を強制させられます。したがって、証券化信託銀行の登記の先順位は、確定的で落ち度がないといえます。
もう一点の証券化譲渡の特徴は、借り手に対して譲渡通知をださないで、回収は、譲受けた信託銀行がSFCGに専管委託するというもので、回収金は、毎月末、全部の口座の取引報告書とともに、送金されます。借り手は、譲渡があったことを知らずに、取引をしていますが、これは権利関係③の債権の譲渡を受け帰属ある真の債権者は、借り手に対して、対抗できないにすぎず、②の当事者の権利関係は移っており、①の対外的権利関係も登記で確定されている法定関係をいいます。 

新興銀行は、そういった事情を知りつつ、登記の順位ではなく、借り手の認識をもって権利を確定しようとしたという向こう見ずな不注意を侵したか故意によるものといえます。しかも公衆の面前で法の無知をさらけだしたのか、意図的かは知りませんが、権利についての法を知らずして、銀行を運営していると推論されてしまいます。

 すでに説明したように、権利確定には、相手と対抗するには、3種類のあり方がある。ひとつの方法を調査しただけで、自らが権利者だと裁判所も認めてくれません。
しかも譲渡通知は、SFCGが出したものであるかどうか、どこにも報道されていません。ただこれは容易にできます。振興銀行が印刷屋さんに、SFCGの社名のはいった、通常使われている封筒を印刷させ、譲渡通知を出せば、借り手からは区別がつきません。誤認識が生まれる手口となります。
また通常使われる方法は、はがきを利用し、連名で共同して通知を打つ方法があります。譲受人が勝手に印刷することができます。これだと、確定日付がありませんので、借り手に対してのみ有効な通知であっても、譲渡を第三者には対抗できません。
それでは借り手がSFCGが送付した確定日ある内容証明郵便を受け取っているかどうか。これもSFCGの実印なく、E-ネット郵便サービスですることができてしまいます。費用は誰の負担でもいい。そうすると、振興銀行は、この方法によって、通知した場合があるかもしれません。費用がかかるからしないとおもいますが。
となれば、はがきであれば、権利者では全くありません。

振興銀行の立場から攻撃防御すれば、以下となる。
債権の2重譲渡はなせ起こる。
どちらが真正な譲渡と認められるか。

債権の対外的効力を確定するためには、登記か確定日ある債務者への通知が法の定めた確認手段となる。
振興銀行の譲渡については、債務者に対する確定日のない譲渡通知をSFCGが債務者に出している。だから直接回収しているのはすでに説明したとおり。
登記の先順位で確定されるといっても、先順位の債権者とSFCGとの権利移転の有効な実体関係を先順位の債権者が契約で証明できなければ、先順位の登記は、実体権の裏づけのない登記となり、無効を確認されることもありえる。通常、譲渡契約の原因は売買契約あるいは担保契約となるが、合理的相当価格を欠いている場合、詐害的目的などであれば、無効となりうる。
振興銀行としては、重なって譲渡された登記された債権の譲渡が正当なものか、当事者でないので契約内容を知らず、現時点では判断できないと主張するのは尤もだ。
新興側として、先順位の譲渡を疑念をもってとらえる理由は、振興銀行とSFCGとの債権譲渡契約が現に存在し、すでに効力を生じていること、それを明かす証拠として、
a. 相当な売買代金を支払い、
b. 権利移転を受けるため、SFCGが譲渡通知を債務者に送付し、債務者に対抗できる利益状況であること、
c. 振興銀行がローン契約の原本の引渡しをSFCGからうけていること、
の法外観から、どうみても自分が権利者であることを主張する。
そもそも、重複債権者がいるとしても、どうして回収に必要となる権利者の証明のローン契約が新興の手元にあるのか。競合相手は、債務者に通知もしていないし、ローン契約を保有していないし、回収もできない状況にいる。そうした事実状況から、自分こそが債権者だとかんがえると、確認訴訟で争うだろう。
先順位の登記こそが、信じられないなんらかの共謀の可能性があると。
こうした主張をされたら、どう防御するのか。

そもそも証券化は、ローン契約原本を譲受人に引き渡さない。回収については、SFCGに委託するから、その必要もない。ここに、重複譲渡が起こりえる背景がある。登記にしても、登記時点で、2重譲渡登記を防止するシステムではないから、重複譲渡は日常茶飯で容易に起こりえる。実際に、金融実務では、毎月担保の中身を月末付けで洗い替えることは日常的な慣行で、抹消忘れなどもありえる。証券化で、過払い金で譲渡人に戻した債権の登記抹消をしていないケースもある。だから実体上は、戻し譲渡が効力を生じたのに、重複登記がなされることも多い。
そうすると、新興銀行としては、登記を信じない、先順位の実体上の権利関係は知らないとなれば、自分がそこに権利を証明するローン契約を持っている自分が強いと感じるだろう。(注意すればわかることであれば、過失がある認識と考えるが。しかし実体上の権利の得喪は当事者しか見えない。だから信じる他がないのだと主張する。)
これが言い分で、誰が重複譲渡jの正当な所持人か問われても、確認訴訟が確定されるまでは、不確定に置かれることになる。新興が争いをやめて譲歩して、自分の劣位性を認めない限り。
さて、債権は(重複だろうが)新興に譲渡され、通知も打たれ、債務者は振興が(SFCGから借り入れたローンの)新たな債権者だと過失なく認識しており、(真の債権者が誰だろうと)新興にさえ返済すれば、法律上それで免責される状況にあることを認識している。
そこで振興銀行は、SFCGからの借入金の返済という債務を消滅させるため、借り手に対して、自分がローンを出したとしよう。SFCGから借入れしているより、銀行からのほうがいいでしょうとか、金利は15%にしてあげますと誘って、返済に必要な資金を借入れさせ、そして譲渡された債権を弁済して消滅させる。ここで、返済金を受領するのは、そのための金を貸した振興銀行となるが、SFCGからの借入れの債務は消え、振興銀行からの借入れだけが残る。
新興銀行は譲渡債権に対して、債務者に対して対抗できるから、こうした工作が可能である。債権の地位の譲渡と同じ結果が得られることになる。地位の譲渡とは、元貸し手であるSFCGの地位に銀行がなることで、この場合には、債権自体は承継され、消滅せずに、貸し手が入れ替わる。借換ローンを出す場合は、新たなローンとなり、前の借入れの権利関係が債務者との関係で消滅してしまう。

さて、2重譲渡を争うSFCG管財人は、債権譲渡の無効を主張しようとしたら、債権が消滅してしまったという事態に直面することになる。債務者はすでに支払いを完了し、SFCGの債権が存在しないのだから、債務者から何も得られない。それ以前に債務者は振興銀行にさえ、返済していれば免責されたわけだから、振興銀行に対して、無効の確認が認められたら、不当利得返還請求しかできなくなってしまう結果となる。いずれの場合も。
皮肉という問題ではかたずかない債権譲渡の本質的欠陥がでたにすぎない。新聞がそれだけのことを理解して書かなければならないが、金融機関や法律家でない以上、誤報道となっても仕方がない程度の問題だろうか。
また現時点で、振興銀行の譲渡の正当性を争っている以上、無効と判断することはできない。振興銀行は、契約上の信義誠実条項にしたがい、あるいは表明保証条項に従い、2重譲渡がないという契約文言を信じたと主張し、信じたことに過失はないと主張するだろう。過失の相当性の議論となれば、登記を調べなかった不注意の責めを新興銀行が負うとするか、債権譲渡の登記の制度など、実体をはんえいしないことがあり、信頼できぬ点を主張し、契約上の誠実をとったといったとき、過失による有責を追求できるか。

振興銀行はなぜSFCGから2重譲渡を分かっていながらも、債権を譲り受けたのか。
振興銀行は、SFCGから債権譲渡により譲り受けたのち、借り手に対して、金利引き直し計算しない残高をそのまま借りかえるためのローンを懸命に勧誘しているという。
SFCGのローンの譲渡時の残高は、銀行借り換えローンを借りたところで、貸し手の違う新たな契約により、銀行からの借入れ金額として確定されてしまう。
借り換えローンにより、
銀行に譲渡されたSFCGが貸し手の借り手に対する債権は消滅する。と同時に、引き直し前の残高を全額支払うことで、債権が消滅する一方、過払い金を発生させる必然的結果となり、債務者はこれにより、過払い債権者となる。
過払い金を利得したのは振興銀行であり、その直接事実がある以上、不当利得の返還の訴えは譲受人に対してとなる。実際に誰が過払い金を収受したのが、譲渡前にSFCGが一部の超過金を受領しているかどうか、それが譲渡時に売買代価で考慮されて価格が決定されたかは、借り手には関係のない問題であり、譲渡契約の内部の求償関係として処理されるべきであろう。一部の過払い金がSFCGに対して、残りが譲受人に対して請求するというように、譲渡の結果、ふたりに過払い債務が分断されるのは、当事者の問題であって、借り手の問題ではない。そもそも 譲渡が当事者間で、金利引き直しされて代価が決まっておれば、借り手はそうした問題には影響をうけないだろう。

銀行の狙いは、借り換えさせてしまい、自身のローン資産として効力を生じさせることにある。
銀行が借換により、SFCGの譲渡債権を完済させてしまい過払い金が発生したときに、自らが債権を消滅させる行為をしたうえで、過払い金を発生させておき、債務引受がなかったから、契約解除して戻しますと主張することはあるか。その場合には原状に復帰することになるので、完済された回収金は振興銀行の不当利得により、SFCGに返還される義務を負うことになる。その資金をだしたのが、銀行ということになり、振興銀行は、戻し譲渡の売買代価の同時履行で受領できない金銭について、一般債権として破産届出することになる。


破産法モーゲージ・クラムダウン禁止特例条項1322(b)(2)限定撤廃法と住宅差押、サービシング、証券化、住宅ローン価値への影響



住宅担保付ローンに、他の担保債権と同様に、契約内容のmodificationを認め、元本の住宅価値までの減額、金利カット、満期延長、支払額減額の権限を破産裁判所裁判官に容認する法案HR1106が3/5/09に下院を可決された。
78年破産法・下院改正案は、破産裁判所にmodificationの権利を認めようとしたが、公聴会のうやむやのなかで、居住用の主たる住宅だけは、担保権を消滅が容認されず、金融機関の特別優遇策として、特例免除を受けた。secured claim, claimなど条文上の用語のあいまいさ、特例としての定めとしては、通常ではないこと(権利変更できる other than 住宅担保債権)など、
裁判所は、条文の法解釈上、立法の理由と背景から議会意思を探ろうとするが、その点につい議会記録が抜け落ちていることから、裁判所も迷走しつづけていた。

アメリカ個人民事再生手続法1322(b)(2), (5), (c)\(1) 立法史概説 
78年破産法改正で、住宅担保付債権のmodification 禁止特例はどのように盛り込まれたか。
93年Nobelman判例にて、second lienのmodification、担保権債権のクラムダウンが容認されなくなる。自動車やクレジットカードからhome equity loan of creditにシフトが急増し、サブプライムが勃興する契機となる。
94年改正にて、mobil homeが禁止特例に加わる。baloon payment, 短期ローンの特例排除
05年改正にて、自動車購入担保権つき債権が禁止特例に加わる。
07年以降、クラムダウン禁止特例廃止を求める法案の提案が続く。

second lienを消滅させられないと、借り換えを誘導できない。差押防止が機能しない。
second lienを消滅させ、modificationを認めることになると、借り換えによる旧ローン弁済の損失だけでなく、銀行保有のHELOCや証券化にさらに大きな損失が生じる。



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本文 序から
米下院、破産法クラムダウン禁止特例条項廃止法案を可決
――住宅差押防止法案によるサービサーの損害賠償免責と証券化への打撃

(NBL 902号より抜粋)  ............... そんな金融環境のなかで、78年改正は、破産裁判所裁判官に、住宅担保ローンについての契約変更権限を与えなかった。11 USC§1322(b)(2)は、住宅市場への資金供給の促進を目的とする特別優遇策として、所有者居住の主たる住宅を担保とする貸付に限定して減免や権利変更を禁じるanti-modification特例条項を定め、その後幾度の改正を乗り越え、現在も債権の免責、金利変更、期限の延長を認めていない。債務者はChapter 7によらなければ、住宅担保権の消滅が許されない。仮にクラムダウンが認められたとしても、残債務をたった5年の期間1325(b)(4)(B)で返済計画を立てるとなれば、多くの場合に破綻は目に見える。クラムダウンとは住宅モーゲージ(あるいは債務を担保するdeed)の担保権者の地位を住宅価値に縮減することをいう。..............

 

<脚注>
1 S. 2226, H.R. 8200

2  Bankruptcy Reform Act of 1978のための上院司法委員会司法機構改良分科会の公聴会(1977年11月28-12月1日)での金融機関関係者の証言参照。78年破産法改正の議会公聴会資料は、S. 2226とH.R. 8200法案全文の比較を含め1328ページに及ぶ。pp.652-53(Nat’l Consumer Fin. Ass証言); 703, 707, 714-15 (貯蓄貸付機関の貸付意欲をそぐ結果となる); 719-21 (Nat’l Ass. of Real Estate Investment Trusts証言).Grubbs v. Houston First Am. Sav. Assn., 730 F.2d 236, 245, n.13 (5th Cir. 1984). 1975年の同じ司法委員会分科会でも同様の発言があった。124-38 (Am. Bankers Ass.証言), 139-84 (Nat’l Consumer Fin. Ass証言) 

3  Nobelman v. Am. Sav. Bank, 508 U.S. 324, 332 (1993)の理由補足意見(Stevens判事)は、Grubbs v. Houston First Am. Sav. Assn., 730 F.2d 236, 245 (CA5 1984)を引き、立法史として説明する。裁判所が連邦法を解釈する必要のさい、まず法にあたり、条文上の用語が不明確である場合には、議会意思を確認する作業をしなければならない。Blum v. Stenson, 465 U.S. 886, 896, 104 S.Ct. 1541, 1547, 79 L.Ed.2d 891 (1984). 連邦破産法1322(b)(2)条項には、同法のなかで定義のない用語やあいまいな点があるため、裁判所はその法解釈のため、議会意思を検討する。多くの下級審では、立法経緯についてNobelmanを引用し、Grubbsまで言及していない。

4  Nat’l Cons. L. Cent., Nat’ l Ass. of Cons. Bankr. Att., Cons. Fed. of Am., Nat’l Ass. of Cons. Adv., Cent. for Resp. Lend.によるクラムダウン法改正共同提案(4.27.2007)、John Rao, Nat’ l Ass. of Cons. Bankr. Att .(下院司法委員会公聴会9.25.2007)。

5  2007年9月、クラムダウン法を強力に推進するBrad Miller下院議員(金融サービス委員会メンバー)提案のH.R.3609エマージェンシー住宅所有・モーゲージ・エクィティ保護法(he Emergency Home Ownership and Mortgage Equity Protection Act)は、住宅価値への担保権のクラムダウンの適用となるローンを、法の制定から7年間に制限して、差押通知を受領している債務者に限り、当初期間は金利支払いだけで元本払いのない金利金利調整のある非従来型ローンやサブプライムの性格のあるローンに限定した上で、30年間の払いや繰上げ弁済損害金の債権者の放棄を認めるなどローン契約変更を許可し、Chapter 13の住宅モーゲージ優遇取扱いを取りやめようとした。 債務者は大部分のケースでは、Chapter 13申請前に、破産法の要求するクレジット・カウンセリングを受けなければならないので破産申請が遅れてしまうという問題が生じている。差押を受けており、差押から住宅を守ろうとChapter 13の適用を求める債務者にとって、その遅れは重大な障害となるので、どの法案もその問題対策を検討し、特定の状況ではクレジット・カウンセリングの先行条件の完成の延長あるいは例外を認めている。H.R.3609は、カウンセリング要件を満たすため、申請後最大45日間の延長を認める。H.R. 3609, § 3. 2007年10月、S. 2133とH.R. 3778住宅所有者モーゲージならびにエクイティ救助法(the Home Owners Mortgage and Equity Savings Act)はほぼ同じで、州の中間世帯所得基準を満たした債務者に限定し、期限前支払い損害金の放棄、破産申請後までのカウンセリングの遅延の容認の定めはあったが、裁判上、両契約当事者の債権減殺合意を条件(上院案が文書によるクラムダウン同意、下院案が文書不要)としたので、担保債権者の同意なしのクラムダウンというものではなかった。債権者がどのくらいの期間、減殺金額に対して担保権を保持し続けられるかについて、あいまいさが残った。S. 2133, § 2 2007年10月、S. 2136破産法による家族の住宅保護支援法 (the Helping Families Save Their Homes in Bankruptcy Act of 2007)は、取得と収支テストを満たし、債務不履行を治癒するに不十分な所得の債務者に限定し、クラムダウンを認め、期限前弁済損害金を放棄できる。差押による処分期日が予定されている場合には、クレジット・カウンセリングの免除を認める。 2008年2月、S.2636 Title IV住宅差押防止法(the Foreclosure Prevention Act of 2008)は、それ以外のタイトルは破産法に関係しない。

6  Housing and Economic Recovery Act of 2008 (Pub.L. 110-289, 122 Stat. 2654)

7  2008年11月に提案された住宅所有者援助並びに納税者保護法H.R.7307(Homeowner Assistance and Taxpayer Protection Act)は、緊急経済安定化法(Emergency Economic Stabilization Act of 2008)にもとづき財務長官の取得したモーゲージについて、サービサーに差押防止と管理に関して要求することを定めた緊急経済安定化法の修正法案で、立法化されなかった。

8  オバマ大統領は、2009年2月18日、フェニックスDobson High Schoolで、クラムダウンを破産裁判所裁判官に認めるプランを含むモーゲージ救済プランを発表した。財務省が住宅所有者安定化イニシアティブのため750億ドルの予算を準備し、差押防止のため900万世帯(全米で5200万世帯ある)に借換あるいはローンのリスケを支援する。住宅価値よりもローンが高額になり借り換え不能となったローンについて、FNMAとFHLMCの政府管理下にある住宅金融機関が保有あるいは保証するローンであれば、両機関の融資掛け目8割を超えるローンの借換禁止制限を撤廃する。救済適用には延滞を条件にはしない。借り換えの与信基準を緩め、通常住宅価格の8割の融資掛け目を105%までとする。105%以上のローンは一部元本を貸倒償却が必要となり、貸し手の任意とされる。収益が減るFNMAとFHLMCに対しては、それぞれ2000億ドルの損失を吸収できるように追加資本注入を認め、モーゲージ証券の購入を促す。
財務省とFRBは、FNMA,FHLMCからモーゲージ証券を買取りを続け、市場に安定性を保証する。
差押危機に直面する300~400万の住宅所有者を対象にして、ローン支払を支払可能な水準にして維持できるようにする。貸し手は、所得のある債務者に対して(失業者は不適格)、金利を2%にまで引き下げ、返済期限を最長40年まで延長し、5年間は月次モーゲージ支払額を収入の最大38%にまで減額するに必要なローン残高を減額して損失を出して債務免除するか支払い猶予を求められる。財務省はそこから所得の31%にまで減額するに必要な費用を負担する。財務省は、予算からローン条件の変更に協力するサービサーに報酬として支払い、不足分の補助金とする。
また2008年10月制定された金融機関救済法で承認された予算7000億ドルから住宅モーゲージ購入資金として2000億ドルを準備する。
救済プランは3月4日に規則が発布されて即時施行される。Obama unveils $75 billion mortgage relief plan, Associated Press, Feb. 18, 2009; John W. Schoen, No ‘magic bullet’ in Obama housing relief plan, msnbc.com, Feb.19, 2009など

9  前掲Nobelman at 329 

10  In re Pamela Tanner, 217 F.3d 1357 (11th Cir. 2000)

11  Norton Bankruptcy Law and Practice 2d § 121:5, nn. 57 & 57.5 (2000). 8 Collier on BankruptcyとLundin, Chapter 14 Bankruptcyの見解が対立する。

12  権利変更禁止特例により保護されないとするのは第1、2、3、5、9、11の各巡回区裁判所と上訴合議体。In re McDonald, 205 F.3d 606 (3rd Cir.); In re Mann, 249 B.R. 831 (B.A.P. 1st Cir. 2000); In re Bartee, 212 F.3d 277 (5th Cir. 2000); In re Tanne, 217 F.3d 1357 (11th Cir. 2000); In re Lam, 211 B.R. 36 (B.A.P. 9th Cir. 1997); In re Pond, 252 F.3d 122 (2nd Cir. 2001). 8 Collier on Bankruptcy §1322.06 (Lawrence P. King ed., 15th ed. 2000)は、この説を支持する。 

13  クラムダウン禁止を支持する裁判所とテキストは、前掲In re McDonald, n.3参照。Keith M. Lundin, Chapter 14 Bankruptcy, § 4.46 (2d ed. 1994)が支持する説。

14   Bankruptcy Reform Act of 1994, Pub. L. No. 103-394, § 301, 108 Stat. 4106, 4131 (codified at 11 U.S.C. § 1322(c)(1) (2000)).

15  94年破産法改正のきっかけとなったのは、In re Roach, 824 F. 2d 1370 (3rd Cir. 1987),判決が破産により債務者に再スタートをきることを容認する破産法の基本原則に沿わないとの批判が激しかったことから、立法解決を目的としたとされる。議会は、同判例を覆すため、破産法に1322(c)(1)を追加した。140 Cong. Rec. 27,696 (1994), Colon v. Option One Mortgage Corp., 319 F.3d 912, 917 (7th Cir. 2003)参照。下院議会レポートは会員司法委員会メンバーの目を通して公式に提出され、法案審議中の発言としてその全体が議会記録となるので、どの形式の立法史よりも信頼性があるが、間違いがまったくない完全なものとはいえない。Reed Dickerson, The Interpretation and Application of Statutes 158-59 (Little Brown 1975).

Chapter 13のケースでは、差押手続きを自動停止11 U.S.C. § 362(a)させるために破産申請が使われ、債務者は連邦破産法に基づく債務不履行を治癒する権利を課される。その制度により債務者は、モーゲージ債務不履行を治癒する目的で、住居を占有し続けることが許される。債務者が使えるもうひとつの別の法的手段として、競売購入者が物件を購入した後、抵当権設定者は州法上の受戻権を有し、競売価額に相当する金額全額の支払いを求められるが、一定期間(半年から2年で管轄権による)の猶予が与えられる。州法受戻権は、破産法を超え、それに服さない。Commercial Fed. Mortgage Corp. v. Smith (In re Smith), 85 F.3d 1555, 1560 (11th Cir. 1996); Fed. Land Bank v. Glenn (In re Glenn), 760 F.2d 1428, 1442 (6th Cir. 1985).

法は、モーゲージ債務不履行を治癒する債務者の権利がいつ終了するかのタイミングを定めておらず、判断を裁判所に委ねる。11 U.S.C. § 1322(b). 破産裁判所の間では、期限の利益喪失前であれば、債務者がモーゲージの債務不履行を治癒する権利を有しているとの見解では一般的に一致していたが、州法の受戻権喪失後では公平を欠く。In re Glenn, 760 F.2d 1428, 1432 (6th Cir. 1985). モーゲージの債務不履行がいつ終了するかというタイミングは、差押手続きの最初か終わりの2つの事由の間となるが、差押判決と執行による売却処分の間は、州法の執行手続き方法の違いから3~9ヶ月ある。Option One Mortgage, at 914. 抵当権者の売却権資格power of sale合意条項をmortgageまたはDeed of Trustが含み、受託者として行為する第三者に売却権限が委ねられる合、裁判所の関与が必要最小限に限られる差押処分では、売却までには時間を要しない。power of sale差押執行を認める州は30を越える。いくつかの州では、厳格差押制度を採っているが標準的ではない。その場合、債務不履行により、抵当権者が差押による公の執行処分なしに物件を占有、所有権を取得し、売却処分によって実現される超過利得があっても、抵当権設定者に返還する義務を負わず、住宅を単独で売却でき、抵当権設定者は、住宅の残存エクイティを完全に喪失する結果となる。Schinck v. Stephens (In re. Stephens), 221 B.R. 290, 297 (Bankr. D. Me. 1998). モーゲージ差押制度については、1 Grant S. Nelson & Dale A. Whitman, Real Estate Finance Law § 1.4, 7.6-7, 7.9-11, 7.19 (4th ed. 2002).

終了タイミングをどの時点とするかの結果だけでなく、推論の方法について、巡回区裁判所の間で激しい争訟になってきた。第6巡回区は、差押による売却処分の時点で治癒権限が終了すると認識したが、その根拠として政策やエクリティを思慮すべきと考え、In re Glenn, at 1435. 第7巡回区裁判所は、同じ結果を導いたが、理由はモーゲージに関する適用州法に委ね、裁判管轄により異なる結果の可能性を残した。In re Clark, 738 F.2d 869, 874 (7th Cir. 1984)は、ウイスコンシン州法だけが担保権金額を決定し、債務者は同州モーゲージ担保法理に従い債務者の担保権が継続するという理由から、差押判決以降に債務不履行を治癒する権限を有するとした。

議会は、In re Roachまで、この争訟には特に関心を示さなかったが、同裁判所が治癒権限の終了を差押判決としたため、法改正が促された。
貸し手はローンの債務不履行の発生により、期限の利益喪失かを決定しなければならないが、貸し手の任意で必ずしもそう判断されるかは限らない。裁判所関与の差押のもとでは、期限の利益喪失後、債権者は差押申立を訴え、差押判決を得ると、差押売却処分予定が出される。Power of sale合意のもとでは、差押申立は必ずしも必要とされない。いずれの抵当権者の場合も、その利益のための受託者あるいはその他の第三者、多くが保安官が裁判所の介入なく物件を売却する。モーゲージ制度については、上記Nelson & Whitman参照。

1322(c)(1)改正の立法史をめぐる分析については、George Bourguignon, Interpretation of Bankruptcy Code §1322(C)(1), 7 U.C. Davis Bus. L.J. 461 (2007)が詳しい。

16  In re Peggy Cheatham, 01-41977 (Bankr. S.D. Ill. 2002), op.

17  8 Collier on Bankruptcy, 1322.16, (Lawrence P. King ed., 15th ed. 2000)

18 11 USC§1322(b)(11)の追加修正(H.R.1106 §103)。§1322(g)修正は、担保債権許可額を住宅の公正市場価値とする(H.R.1106 §103)。裁判所の元本減免でなく金利引下げの変更の承認の修正は、§1325(d)(H.R.1106 §105)

19 11 USC§101(43)の後に(43A)を追加(H.R.1106 §100)

20 借り手あるいはサービサーにより提案される適格契約変更の審査は、§1322(b)(H.R.1106 §103) 

21  11 USC§1325(a) (H.R.1106 §105)

22 債務者は、Chapter 13申立後30日以内に差押売却処分が予定されていない限り、申立の少なくとも15日前までに、貸し手あるいはサービサーと契約変更について話し合いを試みたことを証明しなければならない。11 USC§1322(b)(H.R.1106 §103)

23  オバマ政権の住宅差押防止対策の一環として、3月4日、ガイトナー財務長官は住宅モーゲージ債務者救済のため、750億㌦もの与信基準の緩い借換と即時のローン契約変更を認める「住宅所有者の収支にあわせた支払いと安定化プラン」を発表した。Homeowner Affordability and Stability Plan. 破産者も除外はせず、差押の執行の一時差止を認める。サービサーとモーゲージ支払削減の費用を共同負担し、サービサーが金額ベースの月次支払いを指針に従い所得の31%に減額した場合、サービサーは各契約変更につき1000㌦の着手金と各債務者につき年1000㌦で3年の維持費を受け取る。延滞していないがその危機にある債務者の貸し手あるいは投資家は、損失の実現費用の負担のため、1500㌦を、サービサーは500㌦を受け取る。前掲注参照。

24 担保付債務について、担保価値が債務を下回る場合には、Chapter 13の§109債務者適格テストには含まれない。

25 Greenwich Fin. Serv. Distr. Mort. Fund 3 v. Countrywide Fin. Corp., et al., No.650474 (Sup. N.Y. Dec.1, 2008)で、371件のサービシング違法の証券化をリストした。契約変更により84億㌦の支払いが減じられた。原告投資家は、州裁判所に対して、ローン契約変更における投資家の権利に関する争訟は、法律問題であるとして、(事実認定審でなく)元本額での契約変更ローン全部の買取を認める宣言的判決を求めた。

26  Countrywide Home Loan証券化CWABS 2007-8発行目論見書参照。 

27  2007年10月30日、前掲H.R.3609審議の下院司法委員会公聴会にて、Mortgage Bankers Association(以下「MBA」)会長David Kittleは、破産法改正により公正市場価値へのクラムダウンをChapter 13破産手続の裁判官に認めれば、1.5~2%のモーゲージ金利上昇が見込まれ、市場へ資金フローが途絶えると証言した。H.R.1106審議中の2月23日、MBAは、ガイトナー財務長官とドノバン住宅都市開発長官に、クラムダウン反対の業界の切なる思いを綴った書簡を送った。http://mortgagebankers.org/files/News/InternalResource/67884_MBALettertoGeithnerandDonovanreHASP.pdf

28  反対理由は、法案成立は以下の結果を招くとして法案を批判する。①クラムダウンで、金融機関の収入が減って、納税者の税金投入が増える。 ②投資できない証券化商品となり、証券化市場から投資家が遠ざかる。③ 金融機関の損失が計り知れない。④国民は、投信や年金を通じてMBS投資家であるが、証券の価値が下がる。⑤GSEの損失が増え、連邦政府歳入に損失が生じる。⑥これは政府が進めるローンの債務者救済ワークアウトではなく、ただ破産を増やすだけで、救済手続きを遅らせるだけとなるなど。http://rpc.senate.gov/public/_files/031009Cramdown.pdf

29  クラムダウン法推進者Richard Durbin上院議員の提案

 

金融界により隠された薄汚れた立法の裏側
サブプライムの蒔かれた種-2

1978年連邦破産法に住宅モーゲージのクラムダウン禁止条項が組み込まれた立法史」の一部から
サブプライムの蒔かれた種-1は「DIDMCA制定の経済金融背景と立法史



1978年破産法改正は、それまでの40年間で初めて包括的な大改正となった。1898年破産法は1938年以来、改正がなかった。当時まだ消費者信用は産業として存在しておらず[1]、したがって消費者破産も多くはなく、統一商法典UCCの法典化の必要もなかった。70年当時まで、破産裁判所は、エクィティ裁判所として、破産裁判所に救済を申し立てる企業の死を免れるための権限を有すると考えていた[2]。そのよりどころは、破産裁判所は破産法規定を実践するために必要となる決定をすることができると定める§2(a)(15) (1970)(78年改正法§105(a)の前の規定)に求められた。学者はその状況を以下のように形容した[3]。

破産裁判所は、状況において必要なあるいは適当とみられる救済は何でも債務者に与えられるために必要なすべての権限を有している。そうした権限の行使は全部一体として裁量的で、裁判所はますます債務者の利益ために権限を行使するようになる。    

その結果、破産法としての統一のある制度は否応なく欠け、死を避けられるかどうかは、法定地の法選択や破産裁判官の考え方にかかっていた。

そうしたさまざまな破産制度上の問題や連邦法としての統一性を欠いているなどの理由に加え、第2次世界大戦以降、消費者破産が増加によって債権者・債務者の関係を扱う破産制度は厳しい緊張にさらされた結果[4]、議会は70年に破産法委員会を設立し[5]、9人のメンバーが任命され、破産法と手続き制度の総点検と包括的な法改正の提案を行わせた。委員会が特に焦点をあてたのは、破産裁判所の会社更生権限の適切な行使について裁判所間の矛盾ある扱いだった。委員会は、73年、裁判所が破綻企業の救済のために必要なことはなんでもすることが認められるという概念を捨て[6]、裁判所の権限行使のよりどころにする条件をあげて成文化するよう議会に提案し[7]、報告書を提出した[8]。報告書は、発見と提案の説明のpart 1と新破産法試案のpart 2の2部で構成され、12章の注解書を含んでいた[9]。

全米破産裁判官協議会は代替案を提出した。75年5月から一年にわたり、94回議会で、両院司法委員会は、両法案に関する公聴会を開き[10]、両院は78年改正法の再起草に取り組んだ[11]。

8年間の検討の成果となった78年新破産で特に重要な改正点は、Chapter 13での担保債権者の契約上の権利の変更を認めるところにみられ、既存の法を改正することを目指した[12]。債務者は清算に怯えることなく資産を保有し、破産による保護を享受できるようにし、債権者にとっても、より大きな利益が期待できると考えた。

破産法委員会の立法提案§6-201(2)では、破産計画は、個人資産により別々に担保された債権を扱う規定を含み、合理的時間内の債務不履行事由の治癒かさもなくはそうした債権の保有者の権利の修正あるいは変更条項を備える。6-201 (4)では、破産計画は、合理的時間内での債務不履行事由の治癒の条項と最終支払い期限が計画にもとづく全ての支払い完了後に到来する債務者の住宅担保により担保された債権及び個人資産により担保された債権あるいは無担保債権について紛争が係属している場合の支払い維持の条項を含む[13]。委員会は、§6-201(2)の変更権限とは、担保債権者の契約条項の修正あるいは変更だけでなく、分割支払い金額、期限を変更する権限を含み、§6-201(4)により、住宅モーゲージにより担保された債権と破産計画では完済されない長期の債権を扱う限定的権限が与えられることを意図したと注釈している[14]。とはいえ、この条項が、分割支払い金額を減額したりその期限を分散させたりする権限を認めてはいない[15]。また住宅担保ローンの最終支払いの期限が破産計画中に到来する場合を除いて、破産計画にもとづいて、それら請求が完済されることも定めていない。未払い金残高は、§6-207の免責条項の適用を受けないが、債務者が計画に従って支払っている限り、本条が付与する権限を使うことが許され、その目的は住宅エクィティを保持するため及び債務不履行事由を治癒して支払いを維持する破産計画によって長期負債を滞りなく弁済するためとされる[16]。

破産法委員会試案の提案後、両院が提案した当初案S. 2266とH.R.8200は、いずれも担保債権の変更を容認する条項を含んでいた。両案は、個人資産により担保された債権と不動産により担保された債権の扱いが異なる点に違いがみられたものの、契約の変更という用語を使った点で同じだった。

上院案の条文は住宅市場への資金流入を途絶えさせる意図しない悪影響がでると懸念する金融業界の猛反対で[17]、上院は法案を改正し、クラムダウン条項から不動産により担保される債務を除外した。上院案は、そのほかの担保付債権の変更を認めた。H.R.8200の1322(b)は上院で修正された。

.2266最終案の提案前に開かれた75年の上院だけの委員会の公聴会で、担保債権者アドボケートが目の敵にしたのは、分割払い金額の減額や担保金額の担保価値までの減額による担保債権の変更を認めるクラムダウン条項で、債務不履行による期限の利益喪失事由の治癒に対して反対の声は上げなかった[18]。S.2266が提案された後の77年公聴会でも、担保権者アドボケートは同様の意義を唱えた[19]。こうした背景から、議会が債権の権利変更を審議したとき、破産法委員会試案と共に、債務不履行の治癒を伴って期限の利益喪失の免脱しようというのが、議会の頭には浮かんでいなかったという見解が裏付けられる[20]。

両院は衝突し、最終案は、当初案から離れ、債務者の住宅だけによって担保された債権の権利変更に制約をかけた。上院法案は、H.R.8220の1322(b)を一箇所修正しただけで、1322(b)(2)から不動産モーゲージにより全部が担保された債権を権利変更から除外したにすぎなかった。S.2266とH.R.8220のふたつの法案の最終修正は、両院での調整を経て修正された。上院は住宅モーゲージ・ローンの1322(b)(2)の権利変更の例外免除の制限を受け入れた。

他方、住宅担保債権を変更できないよう修正された(b)(2)を原則とするものの、1322(b)(5)が適用されるよう修正された。こうして§1322(b)には、2つの矛盾する修正点が取り込まれた。その上、1322(b)(2)と(5)のcure, modifyについて、破産法は意味を定義していなかったが、議会がcureにはmodifyを違う意味で使おうと意図したことは明らかだった[21]。議会記録によれば、主たる住宅により担保される債権は、1322(b)(5)にしたがい取り扱われることが意図されたという[22]。裁判所は、原則ただし書き規定(b)(5)規定の目的が、(b)(2)で住宅モーゲージの権利変更が認められない一方で、その債務不履行が治癒されうるということを強調することだと理解した[23]。1322(b)(5)の債務不履行治癒権限は、住宅モーゲージにより担保された債務証書の支払いの期限の利益喪失を免脱することを認める結果となった[24]。州の差押判決は、期限の利益の喪失を司法上確認するに過ぎない。

§1322(b)の立法史は、モーゲージ債務不履行を治癒するために債務者に与えられる権利の範囲についてあいまいである[25]。議会は、債務者に清算よりも再生を促すために、Chapter 13にそれ以前の破産法のもとで得られたよりもより大きな救済を与えようと工夫した[26]。11 U.S.C. §1322(b)(2)で、議会は住宅抵当権者に優遇的地位を与えたが、他方で、住宅所有がアメリカ人の夢であるとする為政者の社会政策的スローガン、生活向上を目指す住宅優先の政策目的は、改正法が目指した原則とは相容れなかった。

なぜそういう結果になったのかという疑問が生じてくる[27]。立法史は、政治的あるいは社会政策的点から何も語ってはいない。

住宅資金の逼迫懸念と業界の要望を理由にあげたNobelman判決の判事Stevensの理解に対して、議会図書館議会調査サービス局議会弁護士は、CRS報告のなかで、モーゲージ金融市場に資金を促すというのが、§1322(b)(2)の唯一のまた主たる立法目的であったかどうかは明らかではないと説明している。§1322(b)(2)は78年改正法の下院と上院の妥協の産物とは言われるが、本件法案の両院協議会の報告書が存在しない。§1322(b)(2)の立法史に関する議会調査局の調査では、主たる住宅担保権付債権の特例免除の背景となる目的の説明のための審議記録も報告書も発見されない[28]。

Stevens判事の依拠したGrubbs判決がよりどころとしたのは、94回、95回議会での破産法改正法案のための議会公聴会発言とみられる。担保権変更を容認する条項に懸念を表した関係証言を当たってみると、判決文や論文で共通して引用されるのがEdward J. Kulik(マサチューセッツ・ミューチャル生命保険不動産部)の証言である[29]。同氏の法律顧問Robert E. O'Malleyも、それらの条項によって、債務者の一般的信用力が特に強固でない場合には、住宅貸付機関は、貸付に際して異常なまでに用心深くなると発言した[30]。議会が住宅担保権者を犠牲して、住宅所有者に保護を与えれたら、住宅モーゲージの投資としての魅力が失せてしまうことになり、住宅金融は枯渇してしまう。投資用物件とは違い、少なくとも住宅モーゲージは変更されることがあってはならないように法案が修正されるのを真剣に検討することが望まれると続けた。

 

[1] In the Matter of SMITH, et. al., 640 F.2d 888, (7th Cir. 1981)

 [2] Queens Boulevard Wine & Liquor Corp. v. Blum, 503 F.2d 202 (2d. Cir.1974)は、債務者は家族経営の酒店を営んでいたが、不動産賃貸料が支払うことができず、賃貸人が州裁判所に強制退去手続きを申し立て、酒店は退去を回避するためChapter XI手続きを申し立てた事案である。賃貸人はリース契約は、破産法の明文規定にしたがい破産を原因としてリースを終了する権限がある破産条項を含んでいると主張した。11 U.S.C. 110(b) (1970)は、破産債務者がリースを終了するか相手方に終了する選択権を与えるかの明白な誓約には強制力があると定める。破産裁判所は条件付で破産条項を強制し、地区裁判所は破棄し、第2巡回区裁判所は、地区裁判所を支持し、Chapter XIの目的が、債権者の利益にかなっておれば、生存可能な企業を保護することだと説明した。破産手続きで企業の清算を防ぐためのエクイティ上の権限をどの範囲で利用できるかを争った。

[3] Paul F. Festersen, Equitable Powers in Bankruptcy Rehabilitation: Protection of the Debtor and the Doomsday Principle, 46 Am. Bankr. L. J. 311, 329 (1972).

[4] 後掲注・破産法委員会報告書part 1 at 2

[5] Act of July 24, 1970, Pub. L. No. 91-354, 84 Stat. 468; S. Rep. 91-240, 91st Cong., 1st Sess. (1969); H. Rep. 91-927, 91st Cong., 2d Sess. (1970). (Senate Report, House ReportCommittee Reports

[6]  従前の法から脱却しようとする議会意思で明らかな改正点は、議会が最高裁判所に、破産法に矛盾する限り、破産手続き規則Rules of Bankruptcy Procedure(破産法の手続き規定)の発布を禁じたことにみられる。従前の法で権限を付与する規則、旧28 U.S.C. 2075(1976)では、最高裁のBankruptcy Rulesが、実務手続きとなる問題を処理をする限りにおいて、破産法の手続きと矛盾する規定を置き換えた。§ 2075は、最高裁判所にTitle 11での手続きや形式を一般的な規則により定める権限を与えたが、Section 247 of Public Law 95-598, 92 Stat. 2549により最終文を除外されて修正され、同条のより発布される手続き規則は、Title 1128 U.S.C.両方に矛盾があってはならない。1 Collier, Bankruptcy § 3.04 [2][c] (15th ed. 1980)

70年代を通じて、最高裁のBankruptcy Rulesの発布からは、さまざまな問題が生じていた。破産法自体が、順序がばらばらで、時代にそぐわなくなっていたが、そうした状況がさらに、破産手続きをいっそう煩雑にしただけでなく、Bankruptcy Rulesが破産法自体にも重大な影響をあたえることになった。旧法の大部分が手続きの性格を帯びていたため、規定の多くがBankruptcy Rulesによって事実上撤廃されていたが、条文からは廃止されていなかった。裁判所と弁護士は、いったいどれが実体規定で今なお有効なのかを自分自身で決定するのを委ねられてしまった。

70年代のBankruptcy Rulesは、手続き規定を改定・更新されたが、78年法以前の1898年破産法の実体法規定は、38年のチャンドラー法までさかのぼる。Kennedy Countryman, The New Dischargeability Law, 45 AM. BANKR. L.J. 1 (1971)78年改正法でそうした最高裁の権限が認められなくなり、78年改正法には殆ど手続き規定をおかないが、手続き規定があれば、最高裁は、実務運用問題として、書き換えることはできなくない。G. Treister, J. Trost, et al,, Fundamentals of Bankruptcy Law Sec. 1.01, 2.01 (2d ed. 1988) 1898年破産法では、実体権の多くの判断について州法によって決せられるよう委ねていた。州法は1938年以降で大きく変わっていた。特に60年代に広く採用されたUCCにもとづく担保債権と無担保債権の権利の分野での変更は著しかったが、州法に実体規定の利用を委ねて、破産法がその目的(ふたつの債権者の公平な扱いと債務者が一から再スタートを切らせることを容認する原則)を達するか再調査されることはなかった。Kennedy Countryman, The Use of State Law in Bankruptcy Cases (Part II), 47 N.Y.U. L. REV. 631 (1972)

 破産法の原則は限定的に成文化されたものの、破産裁判官と破産弁護士は、統一的には受け入れなかった。裁判所は、エクィティや実質的正義が要請する場面では、「必要性原則」を切り札にして、破産法により具体的に承認されていない扱いの権限も使う。破産法の規定の変更権限の根拠は、§105(a)(裁判所は、破産法の規定を実践するために必要なあるいは適当とされる如何なる令状、決定、判決も発することができる。)に求められ、現実に数え切れないほどの膨大な数の救済を求める申立てが起こった。

それに対して控訴審は、105(a)を会社更生に取り込むには熱心ではなかく、その適用範囲を限定していた。United States v. Sutton, 786 F.2d 1305 (5th Cir.1986). 裁判裁判所は、さまざまな状況で105(a)に基づく救済を定式化してきたが、その条項により付与される権限は、破産法の規定と矛盾がない方法でのみ行使されることができる。破産法は適用法にしたがい取得できない実体権を創設する権限を破産裁判所に認めていなし、エクィティを履践する任務も構成しない。Id, at 1308. その後、第5巡回区だけでなく、第123689巡回区裁判所で、90年代以降、多くの事案は、破産裁判所の権限拡張のため105(a)を適用することに限定的な考えを示した第5巡回区判決を採用した。

Easterbrook判事は、Kmartの申立て以前の無担保債務の支払いを承認する105(a)に基づく決定を破棄し、債務返済の優先順位について破産法の明確な規定から逸れる権限を見つけられなかった。In re Kmart Corp., 866 F. 3d 866, 871 (7th Cir. 2004).

「必要性原則」は破産法から逸れるための権限の名称としては、ちょっとかっこいい。破産法が成文化される以前の裁判所であれば、必要性の名の元に、優先順位を変え、特定の債権者に支払う権限が与えられていた。現代は19世紀の裁判規範ではなく、78年破産法を規範とする。議会は、いくつかの点で、コモンロー原則をあきらめなかった。その必要もなかったことだし。改正破産法は、全体の装置を置き換えた。現代的問題に対する回答は、破産法と議会意思のなかに見つけなければならない。古い原理は、制定法があいまいな用語を使っている箇所では、注釈として使われるかもしれないが、法律の条文を負かすようなそれ自体独立した自由な身分を持っておるわけではない。

Easterbrook判決は、Sutton判決から18年もの年月が過ぎていた。§105(a)を根拠とする批判は、In re UAL Corp, 412 F.3d 775 (7thCir. 2005)

[7] 78年改正法を制定することで、議会は、債務者及び管財人に、従前の会社更生手続きでは使われないさまざまな一般的ではない具体的権限を付与した。11 U.S.C. 363(b)(現金を含め担保権社の担保の使用)、363(f)(担保権者の有効な担保権の抹消され付着しない不動産の売却)、364(d)(既存の有効な担保権に優先する担保権を譲渡した資金の借り入れ)、365(b)(破産以外の法にもとづき破産原因によりリースを終了するレサーの権利にもかかわらず、リースの引受や譲渡)、1124Chapter 11で、破産事由を原因とする期限の利益喪失の契約条項の定めがあろうと社債や信用取引の満期や期限を元に戻す)、1129(b)(2)Chapter 11で、債権者の債権額に相当する新規の証券を債権者に提供して社債の期限の利益喪失条項を無効にするクラムダウン条項)など。1110では、議会は航空機と船舶のファイナンスに特別な扱いを認め、債務者は資金調達合意に得て、すべての金銭債務の60日以内に治癒するかそれとも60日間の延長する。議会が権限を付与するに、法律の規定が一般的ではなく具体的で的確であったことは、立法史を追っていくとその後の改正を見ればさらに明らかとなる。

[8] 破産法委員会報告書と試案については、霜島甲一「アメリカ合衆国連邦破産法改正の背景と草案」判タイ30643

[9] Report of the Commission on the Bankruptcy Laws of the United States, H.R.Doc.No. 93-137, 93d Cong., 1st Sess., (1973). 1970年破産法委員会により税法の専門家として任用されたWilliam T. Plumb, Jr.は、法案に含まれた税に関する条項についての600頁にも及ぶ4論文を作成し、それが立法史の研究には有用とされる。Plumb提案の多くが破産法の一部として組み込まれたり、1980年破産租税法に反映された。H.R. Doc.及びS. Doc.Committee Documents

[10] Hearings on H.R. 31 and H.R. 32 Before the Subcomm. on Civil and Constitutional Rights of the House Comm. on the Judiciary, 94th Cong., 1st and 2d Sess., ser. 27 (1975-76); Hearings on S. 235 and S. 236 Before the Subcomm. on Improvements in Judicial Machinery of the Senate Comm. on the Judiciary, 94th Cong., 1st Sess. (1975)

[11] House Report No. 95-595, 95th Cong., 1st Sess. (1977), pp. 2-5; Senate Report No. 95-989, 95th Cong., 2d Sess. (1978), pp. 1-4, U.S.Code Cong. & Admin.News 1978, p. 5787

[12]  H.R. Rep. No. 95-595, at 118,124 (1977)

[13]  Bankruptcy Laws Commission's Report, op.cit., at 204

[14]  Id. at 205

[15] In the Matter of CLARK, 738 F.2d 869 (7th Cir. 1984)

[16] Bankruptcy Laws Commission's Report, at 206 

[17] Bankruptcy Reform Act of 1978: Hearings on S. 2266 and H.R. 8200 Before the Subcomm. on Improvements in Judicial Machinery of the Senate Comm. on the Judiciary, 95th Cong., 1st Sess. 707, 714-15 (1977)

[18] Hearings Before the Subcommittee on Improvements of the Judicial Machinery of the Senate Committee on Judiciary, 94th Cong., 1st Sess. (1975), at 124-38; (American Bankers Association), 139-84 (National Consumer Finance Association); Grubbs v. Houston First American Savings Association, 730 F.2d 236, 245 (5th Cir.1984)

[19] Hearings Before the Subcommittee on Improvements of the Judicial Machinery of the Senate Committee on Judiciary, 95th Cong., 1st Sess. (1977) at 652-53 (National Consumer Finance Association); 703, 707, 714-15, 719-21 (National Association of Real Estate Investment Trusts); Grubbs, 730 F.2d at 245 n. 13.

[20] In the Matter of CLARK, 738 F.2d 869 (7th Cir. 1984)

[21] In the Matter of CLARK, 738 F.2d 869 (7th Cir. 1984)

[22] 124 Cong.Rec. H11106 (Sept. 28, 1978), S17423 (Oct. 6, 1978)

[23]  Grubbs, 730 F.2d at 246; In re Taddeo, 685 F.2d 24,27 (2d Cir.1982) 

[24] In the Matter of CLARK, 738 F.2d 869 (7th Cir. 1984)

[25] In re Glenn, 760 F.2d 1428 (6th Cir. 1985)

[26] H.R.Rep. No. 595, 95th Cong., 1st Sess. 116-17 (1977)

[27]  In re Glenn, 760 F.2d 1428 (6th Cir. 1985) 

[28]  David H. Carpenter, The Primary Residence Exception: Legislative Proposals in the 110th Congress to Amend Section 1322(b)(2) of the Bankruptcy Code, RL34301, n.15 (Feb.29, 2009)

[29]  Hearings on S. 2266 and H.R. 8200, op.cit., at 714-715

[30] Id. at 715

 

FNMAのbookが、保証クレジット全体でなく自己保有分だけということの投資家にとっての意味
<再増補版>


GSE救済? 債務超過?-FNMA, Freddie 証券の価値評価 (増補版) で分析した数値を、SEC届出された10Qの2008.1Qから再度検討してみる。
 
FNMAのfinancial statement上の資産は、$843,227 であって、保証するMBSの担保資産を含まないことに注意。保証するMBSが、$2,185,292あり、合計保証クレジットが  $2,776,647。資産/資本率など計算する場合に、引き受けるリスクを考える場合には、合計保証クレジットでみる。

Mortgage portfolio     726,705
total assets                   843,227
shareholder's equity     38,836 (4.61%)
total capital                   47,666
equity ratio                      4.8%
% of equity to total credit    1.71%
FNMA MBS             2,185,292
mortgage credit            2,909,108
    guaranty book          2,776,647 

さて、資産には、MBSで担保になっているモーゲージが含まれていないと解される。
なぜなら、資産額がMBS部分を含んでいない以上、含めていないだろう。そうすると、延滞、パフォーマンスは、リスク・クレジット全体なのか、会計上の開示資産なのか、認識を要することになる。
 
FNMAが保有する資産のAlt-A、サブプライムの合計エクスポージャーは、$395,800で、モーゲージとMBSに分けられ、ローンがAlt-A、サブプライムそれぞれ $314,019、$20,815を占める。投資MBSでは、Alt-A、サブプライムは、それぞれ$30 bnほどだが、投資勘定では$108 bnがprivate label MBSとなっている。
 
Mortgage portfolio      716,536
   loans                       410,935 
   MBS Investment      305,601  
 
  Total Exposure       $395,800
                               Loans          total
        Alt-A                 314,019     344,600
         subprime             20,815       51,200
 
したがってAlt-A、サブプライムにそれ以外のprivateのクレジットリスクを加えた金額は、$47,401を加え、$443,201。
しかしながら、MBSなど証券にされておれば、時価評価をされるか、市場がなければ、FAS157にしたがって。評価されるので、元本のままで含み損を抱え放置されていることはない。信用補完を供えたAAAのprivate MBSが1ドル額面に対して70セントで取引されているとき、同様な証券は70%で評価されるだろうし、あるいはそれを参考に、延滞、ネット貸倒のパフォーマンスから客観評価されるかもしれないが、いずれにしても、市場の値があるので、それを参考に処分できないような高い評価で放置されることはない。
それに対して、mortgageのままでは、市場性がないので、fair market valueが存在しないため、FAS159にしたがって評価されることになるのか、FAS157に従うかは調べていない。Alt-A+subprimeで334bn保有しているが、もし市場評価がなされていない場合には、AA格付け証券をストラクチャリングしてみて、信用補完相当額を割り引いて評価しなおすとしたら、100bn程度の損失となるだろう。
ご関心あるかたは、どのような評価がされているか、ご自分で調べられるだろう。

MGIC, PMIなどAA格付けのモーゲージ保険により、 $111,500は、ローン(場合によりプール)はカバーされているが、Alt-A、サブプライムのうちどれだけかは不明。(p.69)

Private label MBS     92,229        CE      AAA
           Alt-A                   30,563       23%    100%
           subprime              30,383       37%     42%
           commercial            25,617       30%    100%
           manuf'd house         3,193       37%     20%
            others                    2,473        6%     98%
            mortgage revenue    16,118
             Private total       108,347
 
         mortgage insured     111,500   

金利未収のノンフォーミングは、  $10,934だが、FNMA発表の延滞率は、1.15% という数字は、保有ポートフォリオに対するもので、証券化を対象にしていない。しかしながら、MBS投資家も、自らのモーゲージの所持人がMBS受託者がFNMAであることから、FNMAが保全手続きに入ったときに、どのように扱われるかについて、資産に対して完全な権利が行使できるか、不確定な要因が残る。場合により、全体がひとつにされ、処理されるかもしれないリスクがないとはいえない。
 
延滞債権会計処理に関して、重大な処理変更がなされていると見られる。
2006年には、延滞債権の行方が、治癒、債務不履行、91日以上延滞のどれになるかの割合は、65%、22%、13%だったが、08Q1では、 44%、2%、54%で、治癒の比率が下がっており、かつ債務不履行にもしないで、延滞が続いている分類に区分されているようだ。modificationがあり、債務不履行にしないで、損失緩和策をとっている猶予しているとみられるが、こうした処理が増えれば、収益を圧迫してくる。MBS全体でなされたとき、延滞扱いでなければ、サービサーによって立替金がなされない、となれば、収益に打撃をあたえる。

Nonperforming loans                    10,934
      深刻延滞                            8,096
 
                               08Q1    07Q1  2006
      治癒                 44%    54%    65%
      債務不履行         2%     23%    22%
      90日以上延滞    54%    23%    13%
 
信託から延滞債権購入額   1,704 (年率換算0.25%)
 
保証料収入                      1,752 (年換算0.25%)
 

<結論>

この結果から、FNMAが倒産した場合に、政府が救済をしなかった場合には、どうなるかについて、前回のノートの結論を訂正する。

なお政府は、社債、MBS投資家を救済することはないのは、発行目論見書から明らかにされている。参考(
FNMA - 暗黙の保証って何? ) そこで、議会は、会社に対して資金支援や株式購入による救済という方法をとって、投資家を保護することになる。デリバティブもあり、個別の取引保証よりは、全体の救済という方法によるだろう。


MBSの投資家は、譲渡金融機関と受託者FNMAとの個別の信託契約にもとづき、個別のモーゲージ・プールごとにFNMAが発行する証券を保有する。証券に対するFNMAの直接保証はないが、個別の信託財産で約定通りの支払いに不足があれば、FNMAが信託財産を補充する責務を負う。それぞれの信託財産を構成するモーゲージ・プールが、コンフォーミング・ローンが担保だけに、きわめて質の高い資産が引当財産として個別証券ごとに設定されるので、投資家はそれにより保証されている。
FNMAが倒産したとしても、投資家はこの信託財産により保証されるし、モーゲージ・プールのサービサーが健全であれば、延滞のアドバンスも受けられるので、特に重大なリスクに晒されるとは考えられない。価格変動はあるだろうが。
他方、FNMA無担保の社債の投資家は、ここにある担保が引当財産となるので、社債$760,340を含む債権者$804,233は、民間クレジット・リスクに55%が晒される(サブプライムとAlt-Aリスクには、49%)。
しかし、
毀損していない資本が$47.6bnに加えて、保証料だけで、$17.5bn営業収益があり、 上記から$100bnを損失とみれば、債務超過というのか、資本不足は、$35bnで足ることになる。
 
投資家は、タイトル12のGSEに関する46章を読まれて、勉強中だろう。
 
Freddie Macについても同様に考えれば、この数値を大雑把に言えば、倍すれば、概況がつかめることになる。 
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