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 Fannie Mae FNMAの保証って何?
金融機関でないひとのために

Fannie Mae, Freddie Macの債務は、MBSを含め、USAの暗黙の保証がつくといわれ、一般に、implicitly guaranteed といわれる。expressly guaranteedと表現されれば、分かりやすい。明白に保証されるの意味だから、契約上の義務であり、強制力・訴求力(裁判に訴えて強制できる)があると解することができる。通常人の頭で、ふつうに考えれば、その明白な保証文言がないのが、黙示の保証と思い込んでしまう。しかし、この暗黙の保証は、明白な保証explicit guaranteeの単純な反対解釈では理解し得ないものだ。

社債契約において、アメリカ政府は、その債務を保証することもなければ、アメリカ政府の債務でもないという。FNMAだけが支払い責任を負っていいる債務というのだ。アメリカのliability(債務)でもなく、支払いはresponsible(責務)でもない。アメリカは、保証をexplicit disavowals 明白に責任と債務を否定している。それが暗黙の保証であると説明されると、真実は何なのか。裏に隠れた保証があるのだろうか。
もはやこうなると、GSEが支払い不能か保全手続きに入れられたら、US政府よ、契約なんてどうでもいいこと、私には、心ある対応をしてくれと叫びたくもなる。心とはなんとも意味深い言葉か。


そこで、証券投資の原典に立ち返り、FNMAのMBS発行目論見書には、いったいどのように記載されているのかみてみよう。

目論見書記載事項を、心ある投資家は、どのように理解して読んだいるだろうか。金融機関におられ、さらにFNMA債にコメントされるほどであれば、当然に知っておられることは、当然に推定される。そして保証が道理的にどう当然と求められるか。
 
証券発行者は、証券法の定めに従い、免除会社を除いて、SECに有価証券届出し、その一部となる発行目論見書を投資家に配布しなければなりません。投資家はその発行目論見書の情報に依拠して投資決定をします。通常、証券業者は、発行目論見書ではない情報を証券の販売に利用することは許されません。したがって目論見書は、投資注文前に投資家に送付されなければなりません。発行者の用いる届出以外の投資勧誘に結びつく情報は、目論見書の一部を構成すると(裁判上)判断されるかもしれません。

証券業者が独自に作成し使用した情報が発行目論見書を構成するかは、開示責任主体でないので、目論見書にあたらないとすれば、規制上使用には認可がいるでしょうか。証券化では、証券会社は、prepayment rate, default rateに応じたamortization factor表などのcomputation materialsを用いることは33証券法の募集についての改正で認められています。supplementary informationを構成するでしょうか。
 
投資家は投資判断するにあたり、目論見書に依拠するので、記載事項について、発行者は、重大な点において正確であり、記載漏れがなく、虚偽表示がないことを表明・保証し、表示責任が発生します。作成者には、詐欺的、虚偽表示、不正表示責任が生じる。社債や証券化では、発行目論見書には格付けの信用記号の記載が含まれますが、格付け機関は、発行者の情報を作成し提供する開示側にはなりませんので、開示責任にはあたりません。

目論見書には、発行者の輝かしい将来の利益予想だけでは誤解を与えますから、リスク・ファクター(財務の不安定リスク材料)を開示することが証券法関係ルールで定められます。購入した投資家はrisk factorsを読んだことが推定されます。プロであれば、当然に読んだことは推定され、裁判で読まなかったという抗弁は退けられます。
 
以下URLにFNMAの戸建MBSの目論見書があります。MBSの保証について説明しているのが25頁にあり、リスクファクターは10頁からですが、それより、表紙の囲みとその前のゴチックを読んでみてください。注意を喚起しています。
これが暗黙の保証の意味でしょうか。
http://www.efanniemae.com/syndicated/documents/mbs/mbspros/SF_April_1_2008.pdf
 
FNMA保証に関して、FNMAは、MBS信託財産が受領する金銭に対して、元利金の約定通りの支払いに必要な金額を補充的に保証する。FNMAだけが、その保証にもとづく支払い責任を負うものであり、MBSの元利金支払いは、USによって保証されませんし、MBSは、FNMA以外のUSあるいはそのいかなる政府機関の債務を構成するものではありません。(太字は原文ゴチック箇所を示す。)
 
囲み
リスク・ファクターの項目については、慎重に考慮されるべし。もしあなたがこれらのリスクについて、理解できなかったり、及び許容できなければ、本件証券に投資をされるべきではない。
 
心あると主張される金融機関は、皆これを読んで投資しています。表紙さえも、読んでいないという抗弁は、認められない。だから皆これを知っていることが推定される。金融機関の暗黙の保証は、その上での発言になる。
 
 
FNMAは、直接MBS保有者に対して保証するのではなく、信託契約にもとづき、証券化のためのMBSの信託財産に対して、約定支払いを可能にする金額の補充的保証していますが、FNMAの保証はそれだけです。したがって、投資家は信託財産に対して直接権利を有しますが、(請求権行使は特定信託の25%超の持分投資家に限られる)FNMAに対して、直接に保証を強制するために、訴訟を提起する権限がありません。
FNMAは、信託財産の支払いを保証するが、FNMAが支払いする能力がない場合あるいは怠った場合、投資家の受領する元利金支払いは、借り手の遅滞払いや支払いできない結果として、その分の金額が減少する。
 
FNMAは信託契約に基づき、特定の事由が生じた場合に、モーゲージを買い戻す義務を負う。
   (a)24ヶ月間連続して、各支払日に、必要なモーゲージ元利金支払い全額がなされなかったとき(延滞のサービシング方針にしたがって延長されるような場合)、
   (b)モーゲージ保険会社/保証会社が(信託契約で認められる期間を超えて)損失緩和救済策の行使の延期をFNMAに求める場合、
   (c)モーゲージ保険会社/保証会社が求償権の行使に関連してモーゲージ・ローンの移転を要請するとき、
   (d)裁判所が買い取りを指図するとき、
   (e)借り手がモーゲージ・ノート上認められるアクション(調整金利型から固定金利に転換する)をとき、
そうした事由が発生すれば、強制買取となり、信託契約上、FNMAの義務となる。買取金が信託に入り、証券はその分、期限前に償還される。
 
結果的に保証と同視できるテクニカルな方法として、信託財産のモーゲージが4ヶ月以上長期延滞した場合には、FNMが債務不履行債権を全額または一部を買い取るという方法でなされますが、FNMAにとっての義務ではなくFNMAのとりうる選択肢のひとつです。モーゲージ・ノート、モーゲージ・ディード、モーゲージの定めに従い、債務者が元利金支払いとは異なる重大な債務不履行に陥り、債務不履行が60日連続して続いた時には、FNMAはプールから買い取り、除外するかもしれない。
 
またFNMAは、売主及び対象モーゲージに関するrepresentations and warranties違反があれば、売主による買取の結果、モーゲージ・プールから、違反となるモーゲージの全部または一部を取り除く。(売主の倒産、保全手続き下になったとき、そうした違反貸付や不適正資産について、FNMAに買取義務が発生するかどうかについては記載がないので、FNMAの任意に委ねられるか。)
また破産裁判所が、債務者のモーゲージ・ノートの重要な条件、金利や元本減免など変更した場合にも、信託契約にしたがい、FNMAには買取選択権があるが、義務ではない。
売主が倒産あるいは保全手続きに入ったとき、証券への弁済が禁止された場合には、FNMAはMBS投資家に必要な支払いをするだろう。(確約ではない。状況によってそうする。)
FNMAに信託契約に定めるいかなる債務不履行事由(支払い不能や保全管理人の任命、信託上の重大な義務の不履行、保証支払いの不履行が発生し、15日以上の支払いのない状態が続く)が発生しても、関係するMBSの51%超の持分権を保有する投資家は、信託契約にもとづき発行される証券のための受託者及びサービサーとしての義務と権利いっさいを終了する権利を有する。ただしそうした場合にも、FNMAの保証は効力を失わない。
 
MBSは、信託契約にもどづき、信託により保有されるモーゲージ・ローン・プールに対する不可分共有受益持分を表象する。モーゲージ・ローンは同一の発行のすべての投資家の利益のために、信託契約にもどづき、受託者の資格で、保有される。
FNMAが、MBS信託契約の受託者となり、信託契約に従い、MBSを発行する。
 
誤解を恐れず、平たく言えば、モーゲージ貸付金融機関が、特定モーゲージ・プールを、信託目的でFNMAに移転し、FNMAは受託者として、信託契約にもとづきMBSを投資家に発行し、信託財産での約定支払いが足りなくなったときには、信託財産にそれを補充して元利金保証します。
FNMAは、MBSの発行者であり、受託者でもあり、保証人でもある。
 
未だにわかりません。投資家が、表紙を読むのは必須であり、アメリカ政府がFNMAのMBSを保証しないし、アメリカの債務でないことは明白にしてある。これは誰もが知っている。さらに、投資家は信託財産に対する受益権という権利を表象した証券を有しており、信託財産に対して請求することはできても、FNMAに対して直接請求できない。
それでも、心を示せというのでしょうか。FNMAに対する法律上保護された請求権を持たず、裁判してもとれないから。


心ある金融機関は、誰かに保証があると騙されたと怒っているのでしょうか。
もし投資家が、証券の投資決定において、販売する証券会社から、保証があるからだいじょうぶという説明を受け、それを信じて購入を決定したとしましょう。発行者から直接売買契約で購入するのではなく、証券会社から購入するので、売買契約の相手方は証券会社となる。
証券会社の口頭の説明では、証券会社の勧誘に虚偽説明があったことを証明できません。もし明らかに、証券会社がdeceptive instrumentを用いて、目論見書の一部と誤解させて、保証だから安心だと説明し、それを信じて投資決定した場合にどうなるか。表紙にまで、USが保証していないし、USの債務でもないと記載されているから、証券会社が発行目論見書以外を利用して、自社作成のリサーチ・レポートを投資勧誘に違法に用いたとしても、証券会社は、目論見書の表紙の太字を見せて、投資家は、特に金融機関であれば、読んでいるとみなされるので、判断を誤るようなことはないでしょうという攻撃で、申立は却下になるでしょう。
アメリカの証券会社の職員は保証されるといっているって、厭債害債ブログさんで、書かれていたような。証券の勧誘に関連して、コメントされているとすれば、目論見書から明々白白なことさえも、投資判断できない投資家には、誤解をあたえるのかもしれない。しかし、投資勧誘して手数料もらおうという動機があるだけで、scienter騙そうとする欺罔な意図が証券会社にあるわけでもなく、その証明もできないだろう。しかし大量に売りポジションをもっていたり、値下がりが起こりえる事実を知っていながら、損失を小さくするために、保証されているようなものと説明している場合であれば、状況が違う。仮にそういう事実が会社としてあることが証明されっても、職員が知る立場にないことが証明されれば、訴答の時点で、競合する反対の事実と同じくらいに説得力がある程度でない限り、申立ては却下されるだろう。
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証券化資産の債務者への譲渡通知と信託財産に含まれる過払い金返金請求権をめぐる扱い

 アエル、民事再生会社と証券化財産に関する資産と信用状況 から続く。 

 
(a) 譲渡時、金利引きなおし計算前残高があるケース
債権譲渡は、債権が存在する債権についてしか、譲渡することができない。信託にかつて譲渡されてしまったけれども、そのまま金利引きなおしすることなく、完済された債権は、譲渡の要件を満たさない。(「貸金業債権の債権譲渡をめぐる債権の法的性質、要件事実と譲受人の帳簿保存、取引履歴開示義務
」参考)
金利引きなおし前に、1円でも債権が残存すれば、債権譲渡の対象になるので、譲渡通知が出される可能性がある。譲渡通知の判断は、当事者がするので、通知されるかどうかは不明だ。しかし、引き直し計算したら、すでに過払い金が発生しているから、この債権の譲渡は、実質的に、信託による債務引受を承認する行為になってしまう。過払い金請求は、譲受人=信託財産に対してすることになる。信託財産が債務超過になれば、旧信託法に従って、信託財産の法的主体者である受託者に対して責任を追及することなる。
譲渡は、通知された時点でなされたのではなく、数年前からなされていたので、信託が超過金利を収受していたことは、回収報告を見れば明らかなので、受託者あるいは譲渡者に、文書提出命令をだして、証拠とすることができる。したがって、信託は、債務引受をしたわけではなく、債務者に譲渡通知が送付された時点で、債務に転化していたにすぎない。
受託者は、超過金利は、譲渡者である劣後持分権者に対して配当し、譲渡者がその利益を給付されるよう仕組みができていたとの理由から、優先受益者も、受託者も利益を享受しておらず、不当利得に組していないと抗弁するだろう。信託の仕組み上、配当が誰にあるかの実質論を展開したところで、受託者は、自らの名で、形式上、超過金利を受領している事実があり、第三者である過払い債権者に対して、関係者の事前の合意で利益を分配してしまった、自分はその利益に与っていないことを理由に、責任免脱を主張することは認められないと考える。受託者は、信託財産からではないにしろ、劣後配当を受けた委託者から信託報酬の支払いを受けており、信託契約上、受託者報酬が支払われなかった場合には、信託財産から徴収する権利が認められている。したがって、受託者は重要な不当利得分配に与る権利がある。

 

(b)譲渡時、債務が消滅しているケース
信託に債権が移転されていたが、譲渡通知を送付する時点で、債務が消滅しているときには、譲渡があったことを通知する必要はない。譲渡通知は、債権譲渡により、債権の請求権を有する者を通知することから必要であり、すでに債務が消滅しておれば、その必要がない。
そうすると、1円でも債務があるケースでは、譲渡通知がだされ、権利移転の事実関係を知ることになるが、完済している場合には、譲渡契約が効力を生じ、実際に移転されており、超過金を信託が受領していた事実を知ることができない。

債権譲渡登記を調査すれば、あるいは貸金業法にもとづき、譲渡者の譲渡に関する帳簿閲覧を請求して、譲渡の事実を知ることができる。(注) この場合、受託者に対して、裁判上、不当利得返還を請求することが認められるだろう。受託者は不当利得返還請求権の発生を争ったり、返還を拒む正当な理由が見当たらないと考える。超過金の受領の事実は、回収報告書の文書開示命令による。

他方、過払い金に関しては、同じ東京地裁が管轄のクレディアの民事再生処理での扱いと、著しい違いが生じる。クレディアでは、証券化の債権譲渡について、通知が出されることがないばかりか、過払い債権者は、クレディアの債務として、債権届出するように求められた。
  過払い金返還が生じる債権は、信託契約上、デフォルト・トラップされ、実体上、委託者に戻されているからだ。しかし、いくら委託者に契約にしたがい、自動的に戻されていたとしても、信託が、超過金利を得ていた事実を争うことはできないのではないか。戻されるといっても、結果的に債権が戻されるのではなく、不当利得請求権の相手方、債務者の変更の効果を生じさせる法律関係の変容を意味する。不当利得については受領したかどうかであり、帰属の問題ではない。帰属がないことをもって、受託者に対して請求する根拠の障害事実とは、ならないのではないか。

クレディアでは、受託者に対する裁判は、提起されていないかったと聞く。これは、過払い金返金の届出さえすれば、満額回答を期待できると考える代理人の考えを反映するだろう。結果的に、再生計画提案で、分配のカット率が大きければ、計画案に反対するか、その上で、受託者に対して請求すればよい。届出したからといって、受託者に対する請求権が失権するわけではない。

信託に移転された債権で、すでに完済された債権に生じる過払い金返還の請求は、アエル民事再生手続きで、債権届出することになる。実際には、受託者に返金されて、完済されたにもかかわらず、アエルが譲渡通知を送付せず、届出を望んだからということになる。アエルは、すでに説明のように、重度のの債務超過にあるので、請求権者は、過払い金はカットされ、ほとんど返金がないかもしれないリスクに追い込まれる。

民事再生手続き前に信託譲渡され、受託者に対して、過払い金請求権を有するものは、手続き外の処理として、受託者に対して請求し、信託財産は、債務超過になっていないので、過払い金は満額返金されることになる。再生手続きに届出してカットされ、一部について配当を受けたからといって、債権の同質性が欠ければ、信託財産に対して返還請求は認められる。

 

II. 信用情報の共有の問題

譲渡を受けるのが、信託銀行である場合、全情連加盟していない場合には、履歴情報の共有はできなくなる。BUSが貸金業者となって、受託者から回収事務を受任される場合に、信用情報機関に取引履歴を登録をしようとすれば、債務者の同意が必要なことは、すでに論じた。(「増補版  貸金債権の債権譲渡にかかる信用情報の共有に関する利用権の扱い」参照) 

他方、債権の帰属は、BUSではなく、受託者にある。受託者が信用情報機関の加盟員でない場合、信用情報機関は、登録をうける資産について、サービサーの保有資産として扱うことになるのか、どのように識別されるかは、不明である。今後、こうしたケースが増えることを想定すれば、債権の帰属如何にかかわらず、登録、更新を認める方向に、向かうであろう。

債務者が同意した場合、債権譲渡により、譲渡者の貸付残高は、弁済による債権消滅ではないが、債務が完済同様にゼロとして扱われることは、譲渡者との間で、確認されなければならない。さもなくは、直接、信用情報機関に確認する必要が生じる。 

 

 

(注)  内閣府令(貸金業法19-2に関連して) 

改正貸金業法にかかる内閣府令16条3-5、17条の2、17条の3、23条の2 

2007年12月19日施行された改正貸金業により、債権譲渡が在る(存在する)場合には、貸金業者は、帳簿保存義務と閲覧請求に対する開示義務が定められた。民事再生債務者にあっても、譲渡の閲覧請求があれば、開示義務が求められる。

債権譲渡を受けた者も、帳簿保存義務と閲覧請求に対する開示義務があると考えられるが、「債権譲渡があった」債権とは、改正法の施行後に譲渡がなされたとも考えられるので、既譲渡債権については、遡及効がないと解釈されるかもしれない。

改正内閣府令では、残高のある債権だけ確認できるが、完済債権は、権利がないと読めるのでしょうか。たぶん。完済債権については、信託に、時効の10年間は、かかっていけるはずですが、確認ができないということになりますか。

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(帳簿の備付け) 第十六条   
法第十九条に規定する内閣府令で定める事項は、次に掲げる事項とする。
  一  法第十七条第一項第四号から第七号まで及び第九号に掲げる事項(第十三条第一項第一号イ、ホ、ト及びヨ(手形の割引及び売渡担保にあつてはイに限り、金銭の貸借の媒介にあつてはイ及びヨに限る。)に掲げる事項を除き、極度方式貸付けに係る契約にあつては次号に掲げる事項と同一の内容のものを除く。)
  二  法第十七条第二項第二号から第六号まで及び第八号に掲げる事項(第十三条第二項第一号イ、ホ、ト、カ及びヨ(手形の割引に
あつてはイに限り、売渡担保にあつてはイ及びヨに限り、金銭の貸借の媒介にあつてはイ、カ及びヨに限る。)並びに第二号ハに掲げる事項を除く。)
  
三  貸付けに係る契約について保証契約を締結したときは、法第十七条第三項に掲げる事項(第十二条の二第三項第七号及び第十二号に掲げる事項を除く。)
  
四〜六  (略)
  七  貸付けの契約に基づく債権に関する債務者等その他の者との交渉の経過の記録
  八  (略)
2   第十一条第四項の規定は、貸金業者が法第十九条の帳簿を作成する場合について準用する。
3 貸金業者は、法第十九条の帳簿を作成するときは、当該帳簿を保存すべき営業所等ごとに次の各号に掲げる書面の写しを保存することをもつて、当該各号に定める事項の記載に代えることができる。
  一  (略)
  二  法第十七条第二項の規定により交付すべき書面第一項第二号に掲げる事項
  三  法第十七条第三項の規定により交付すべき書面第一項第三号に掲げる事項
  四  法第十七条第六項に規定する内閣府令で定める書面第一項第一号に掲げる事項(当該書面に記載された一定期間に締結した極度方式貸付けに係る契約に係る部分に限る。)
  五  貸付けの契約に基づく債権の譲渡契約の書面(第一項第六号に掲げる事項を記載したものに限る。) 同号に掲げる事項
 
第十七条   
貸金業者は、法第十九条の帳簿を、貸付けの契約ごとに、当該契約に定められた最終の返済期日(当該契約に基づく債権が弁済その他の事由により消滅したときにあつては、当該債権の消滅した日)から少なくとも十年間保存しなければならない。ただし、極度方式基本契約を締結した場合には、当該極度方式基本契約及び当該極度方式基本契約に基づくすべての極度方式貸付けに係る契約について、当該極度方式基本契約の解除の日又はこれらの契約に定められた最終の返済期日のうち最後のもの(これらの契約に基づく債権のすべてが弁済その他の事由により消滅したときにあつては、その消滅した日)のうちいずれか遅い日から少なくとも十年間保存しなければならない。
2  貸金業者は、その営業所等が現金自動設備であるときは、帳簿の備付けを行うことを要しない。
 
(帳簿の閲覧等請求権者)第十七条の二
法第十九条の二に規定する内閣府令で定める者は、次に掲げる者とする。
一  債務者等又は債務者等であつた者の法定代理人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人
二  債務者等又は債務者等であつた者の相続人
三  債務者等若しくは債務者等であつた者のために又は債務者等若しくは債務者等であつた者に代わつて弁済をした者
四  債務者等若しくは債務者等であつた者又は前各号に掲げる者から法第十九条の二の請求について代理権を付与された者

(帳簿の閲覧方法) 第十七条の三
貸金業者は、法第十九条の規定に基づき、同条の帳簿をその営業所等ごとに備え置き、法第十九条の二に規定するときを除くほか、その営業時間内に、請求者の請求に応じて閲覧又は謄写をさせなければならない。
 
(債権譲渡後の受取証書の交付)  第二十三条(略)
 
(債権譲渡後の帳簿の備付け) 第二十三条の二
第十六条の規定は、債権を譲り受けた者が法第二十四条第二項において準用する法第十九条の帳簿を作成する場合について準用する。この場合において、第十六条第一項第二号中「第二号から」とあるのは「第四号から」と、同項第三号中「締結したとき」とあるのは「締結されているとき、又は締結したとき」と読み替えるものとする。
 
第二十三条の三 
貸金業者の貸付けに係る契約に基づく債権を譲り受けた者は、法第二十四条第二項において準用する法第十九条の帳簿を、譲り受けた債権に係る貸付けの契約ごとに、当該契約に定められた最終の返済期日(当該契約に基づく債権が弁済その他の事由により消滅したときにあつては、当該債権の消滅した日)から少なくとも十年間保存しなければならない。ただし、.........以下略

(債権譲渡後の帳簿の閲覧方法)  第二十三条の四 
 
(債権譲渡後の帳簿の閲覧等請求権者)  第二十三条の五

証券化債権の帰属主体が信託受託者にある場合の、信託財産に含まれる債権をめぐる不当利得返還請求権の届出債権の認否と当事者適格

権利帰属主体原則か管理処分権原則か、訴訟担当適用か

倒産手続きが、更生、再生、清算のため、権利変容が目的ではありますが、包括執行手続きである倒産処理と通常の個別執行における権利実現プロセスにアンバランスが生じることはないよう配慮されるでしょう。倒産前に係属していた権利実現は、そのまま包括処理に移行する。場合により当事者が変更になったからといって、倒産手続きで訴えが却下されたり取り下げられたりする理由にはならないでしょう。すなわち債権届け出においても、訴訟における当事者適格に関する訴訟要件と同様に扱われなければなりません。

財産権をめぐり訴えを起こす場合の当事者適格をどのように考えたらよろしいでしょうか。この場合の財産権とは信託財産をいい、紛争とはその財産権をめぐる権利関係をいいます。平常時の場合には、受託者に譲渡された事実は債務者に通知されておりませんし、債務者は、どこからか自分の債務が譲渡されている事実を知って、承諾するという機会も限られます。平常時では、信託の譲渡者は、信託受託者との間の回収事務委任契約にもとづき、債務者との間の法的関係に変容はありません。

信託財産について債務整理により、和解調書、和解契約を作成するに、債権の帰属がある受託名を本人とし、あるいはまた回収事務受託を顕明して、和解契約が作成されたという話は聞いたことがありません。代理的構成でとらえるとき、代理人(及び本人)が債務者に、誰に帰属があるかを知らせることなく、債務者との関係では、代理人が本人として、和解契約の当事者として表れます。仮に財産権の帰属を中心にして法律関係を考えるとき、和解契約成立前に、債務整理債権について、信託の一部解除を原因とする譲渡登記抹消、債権の返還あるいは信託委託者による債権の買戻がなされておらず、信託受託者に、実体上および外形上債権の帰属がある場合、本人が当事者として作成しない和解契約をどのように位置づけるか。

回収事務受託者と信託受託者との内部関係では、無権代理とみなされる行為でしょうか。それとも個別の債務整理について、事前の同意があって、和解契約する権限が与えられているのでしょうか。
ここで回収事務受託者の名で和解契約する権限とは、処分権を有することになります。処分権を定義する必要はありますが、権利の実体上の変容を目的とする法律行為であり、管理権に内包あれるかそれを超えるか争点になるかもしれません。たとえば契約上の金利や満期、月の約定返済金額を変えたり、支払いがないが元本を免責するなどの重要な契約条項について、契約上の地位にもとづく実体上の権利の変更が、管理権とされるかどうか、処分権なのか。しかし金利、満期、借入元本の履行によらない消滅を認めてしまったら、債権自体が変容してしまい、何を譲り受けたかさえ不透明になり、価値の認識ができなくなるし、詐欺債権を容易につくりだせ、後で譲受者と話をきめればいいというのはありえないことだ。XはYから100を借りました。Yはローン上の地位の承継を伴わず、金銭消費貸借契約から生じる債権AをZに代価100で譲渡し、Yに回収委任の事務を委ねました。債権Aは、YがXとの間で、半分消滅させることができるとしたら、Zの権利の侵害どころではなく、詐欺行為に相当する。したがって、債務整理の和解をする権限が与えられるとは、処分権が与えられたと実質的に同じだと考える。      
明らかなことは、回収事務受託者には信託財産を転売処分したりする処分権、帰属の関係に影響を及ぼす法律行為までは与えられていない。そうすると一部の処分権ともなう回収事務受託ということになる。債権の帰属は移転しているが、限定的ながら管理処分権が回収事務受託契約により設定的に元に戻ることになる。そして実体上権利の帰属を信託においたまま、譲渡債権に固有の利益を有する権利者として、延滞債務者に対して給与差押など権利執行を含め、訴訟行為も管理権限の義務履行として、債権の実現もできることになるのか。さてそうなれば、信託に帰属する権利の実体は何なのか。信託財産とは何か。
実際に信託の一部の解除や買い戻しを伴わないで、債務整理する証券化取引がないわけではないだろう。回収事務受託者が、債務者との関係では、実体上有権的に処分権を行使し、その法律効果を、信託財産に直接帰属させると構成するという当初から回収事務受託契約で定めがあるとする。法律行為の効果とは、和解により、債権の一部または全部の消滅、過払い金返還請求権の発生を意味する。和解じたいは、財産権処分をともなう実体上の権利変容をもたらす法律行為であるかもしれないが、金利引きなおし計算して、元本の消滅、不当利得発生は、争いがなければ、事務行為と考えられなくもない。
信託財産に直接和解の効果を帰属させた上で、信託財産が被った損失について、債権に当初から瑕疵があった、それとも取引履歴から元本計算違いで価値の合理的価格決定ができなかったという理由にしろ、信託譲渡者に補償請求する。補償、信託財産上の費用の償還請求、損害賠償、いかなる理由にしろ、帰すべき責めは、譲渡者にあったから、負担して欲しい、応諾するという合意であり、そうした負担付譲渡であったと考える場合。あるいは乱暴ではあるが、処分権まで移転していないのだから、回収事務受託者がなした法律行為は権限外の行為であり、法律効果の直接信託帰属を認められないので、自分で責任を負担しなさいと主張するか、さもなくは一旦信託に帰属させ、権限外行為についての損害賠償を求めると構成する。この場合は、信託の一部解除が事務的に遅滞した場合をいうのだろうか。

再生手続きで管財人が指名されない場合には、当時者適格についてうるさく検討する必要がない。再生債務者がそのまま事業を継続しており、一部の完全な管理処分権を有しない信託財産を除くすべての財産の完全な管理処分権も保持しているからだ。そうすると、信託受託者から回収事務受託した債権についても、従前通り、債権の帰属を変更する以外の処分権を行使できる権限を有していると考えるが、事務受託者として権限を行使しない自由もある。

回収事務委任契約の実体が、こうした管理処分権の設定譲渡をともなうものかどうかは、その権限委譲の法律構成は、契約書を確認しないとわからない。契約によっては、処分権まで回収事務受託者に移転される場合とそこまではされず、信託の一部解除か買戻で対応する場合があるとした場合の債務者との関係でどのような違いが生じるか。債務者はいずれにしろ、自らの置かれた法律関係に変容があったことを知らないので、債権譲渡によっても、取引の安全という点から、債務者が害されてはならないし、無知なままおかれたのは、債権者の都合であり、法的に保護されるべき立場にある。

信託譲渡者に管理処分権が戻されている場合、権利の帰属は第3者に移転されたままでも、不当利得返還請求の訴えを提起する場合の被告として、当事者適格が誰かの訴訟要件を検討しなければならない。もし債権の帰属が信託にあるといいう理由から、帰属主体により被告適格を確定させるとか、再生債務者に対する訴訟追行を認めないで却下するに及ばないのではないか。法律関係の変容について通知を受けていない債務者の法的権利の保護の点から、被告適格を争われるというよりは、請求原因を欠く訴えとして請求棄却されるおそれは生じよう。その時点で結果的に権利帰属主体、処分権者が明らかになる。権利帰属主体でない第三者を相手に訴訟して、請求が認容され、その判決効を本人=信託財産に及ぶとすることは、再生開始前、実体上契約当時者が望んだことである。しかし帰属主体の本人が、その場合、権利の帰属主体としての資格を権利紛争の当事者適格とし、処分権さえもたない譲渡者を債権に重大な利益を有するものとして訴訟担当的な訴訟に異議を唱え、担当者の得た判決がその担当者に当事者適格があった場合にのみ被担当者(=信託財産)に及ぶものであり、判決に拘束されないと主張したい場合、被担当者は後訴して、担当者の当事者適格がなかったことを主張して、自己には判決効が及ぶことを阻止することは認められるだろう。結果的には、請求原因なしによる棄却とかわらない。もともと権利帰属主体が認識されていれば、共同して訴訟に取り込み参加させ、判決効を及ぼすことはできるが、それが不明であれば、確認の訴えでもせざるを得ない。
こうして、こうして債務者に知らぬところでつくられた利益状況のなかでは、当事者適格については、係争権利の帰属主体としての資格と係争権利に関して誰が正当な当事者であるための資格を有するかを基準に、訴えが却下される理由は十分でないと考える。判決の効果が第三者(信託財産=受託者)に及ぶとした場合、管理処分権の実体によっては、対世効ある確認訴訟かという点や、当事者適格の問題は、判決効拡張議論、あるいは多数当事者訴訟議論に関連してくる。

したがって、権利帰属主体でなくても、完全な管理処分権が信託譲渡者に委ねられていなくても、対債務者との関係で債権の帰属が明らかにされていない以上、再生債務者に、他人の財産である信託財産の権利についての争いに関して、訴訟上上、当事者(被告)適格を有すると考えるので、包括執行手続きとなる再生手手続きで、届出された不当利得返還請求権が認否の時点で、債権の帰属原則で否定(訴訟却下と同質の効果)される正当な理由はどこにもないと考える。

再生申立時において債務者より受任を受けた債務の処理に関する扱い

債務整理の信託事務の一部の解除について

信託譲渡の委託者であい、回収事務受任者は、信託譲渡を通知されていない債務者に対しては、自己の固有の債権として、裁判外及び裁判上においても、元本減免に応じられる権限を委託されていない。そうすると、「無権代理」行為が行われたかのごとくの法律効果の帰属の問題となる。「本人」が追認しない限り、回収事務受任者のなした事務委任者(信託銀行)に対する(事務委任者により主張される)「不利益」行為の結果の帰属については、権限外行為として、事務委任者が内部関係で否定し、結果として損害額について、賠償を求めるというものである。その場合、信託受託者の再生会社に対する請求は、再生債権扱いとなる。
債務者(その代理人)は、債権が回収事務受任者にあると信じ、一寸の疑念もいだくことがなく、交渉しており、確かに和解合意の上にも、回収事務受任者の署名、捺印しかないことが確認される場合に、債権が譲渡され、さらに回収事務受託があったことを推定することなど、どういう能力と注意をしても不可能なことであるので、あとから「本人」が出てきて、回収事務受任者のなした行為を「無権代理」行為類似を理由に無効とすることができない。

信託事務受任者が財務上健全であれば、代理権の受任があった債権については、事後的に(ただし債務整理の和解が確定する前までに)、信託を一部解除することで、あるいいは買い戻しすることえ、信託財産から信託譲渡者に戻され、信託譲渡者は、自己の保有する債権として、債務整理することができる。

8月末までは債務整理債権については戻し譲渡がなされていたとする。しかし、再生申立以降において、戻し譲渡の通常の信託処理が継続することができるのかという問題と、移転された権利が戻されないまま、債務整理になる場合、すなわち債権届出され、認否されるとき、どのような処理になるのか。

信託契約と回収事務委託契約の開示請求の根拠について

以下の通り、債務整理、過払い金返還の請求権の処遇についてはふたつに分かれる可能性がある。
① 8月末までにすでに過払い金返還の和解が確定しているものは、信託解除されて、戻されているので、その額が再生債権となる。
② 再生手続き申立時点で、まだ債務者から代理人の受任がなされただけで、引きなおし計算さえ確定していない債権については、いまだに信託に移転されたままになっているのかどうか。戻し譲渡をしない限り、他人名義の財産についての法律行為は許されないので、かりに交渉権限が認められるとすれば、債務者にとっての取引の安全を保証するため、回収事務委任の「本人」が誰かについて、「基本代理権」類似概念(委任状)を表示する必要がある。その上で、「代理人」的な委任を受けて、交渉していることを通知し、交渉過程及び和解の文書は、回収事務委任者「本人」とし、回収事務受任者「代理人」が自己の財産としてではなく、他人の財産管理の「代理人」として署名する必要がある。そうすることが可能であれば、「代理人」がなした法律行為の結果は、代理人に帰属することなく、直接「本人」に帰属させることができる。
もうひとつの扱いとしては、債務者に対して無権代理的な行為のリスクを排除し、取引の安全を配慮する方法として、回収事務受任があったことについて、債務者に通知し、法律行為の結果を、「本人」でなく、回収事務受任者に全面的帰属させ、その後に回収事務委任者に移転するというもの。そこで回収事務委任者が委譲された権限の範囲を争われるかもしれないが、債務者には影響がない。
こうした場合、「基本代理権」「基本授権」の内容確認について(国の認める資格のある訴訟代理人、債務整理代理人の注意義務の範囲と考える)、信託の受託者から正式にかつ有効に回収委任を受けていることの証明として、回収事務受託契約の開示を求めることになろう。表見代理の「基本代理権」確認作業は、要件論からは、法律上も判例上も、押印があれば、委任状の記載事項までを求めないが、委任の期限、解除、委託義務の内容について、無権代理かどうかの確認もあるので、紛争防止のためという意味からも、委任契約の開示を求めるのは、過ぎた要求ともおもえない。 
ところで、信託譲渡した信託財産に関する信託受託者と信託委託者との間の回収事務委託契約は、信託の財産管理処分事務委託契約=信託(譲渡)契約が効力を生じた前提として始めて成立する。信託が効力を生じ、信託財産の管理処分権が信託受託者に移転していなければ、回収事務委任契約の効力は生じない。したがって、信託譲渡契約も参考資料に一体として開示請求することになる。権利の内容の規定が、信託譲渡契約に定めがあり、委託される取立権利の内容がそこから発生するからだ。

そのためには、受任を受けた債務者の代理人が債務整理をするとき、回収事務受任者が「有権代理」なのか、自己の固有の財産と同様の扱いをしているかの確認する義務をおわないか。なぜなら、登記上から、証券化されている債権が260億円あることが分かっておれば、確認をする注意義務が生じるのではないかと考える。他人の帰属になった財産について、無権代理者と和解を成立させても、その和解債権が再生手続きで再生債権として扱われ、分配を受けられても、信託財産に対しては(訴訟)追求することが困難になってしまう。

もし債務者の受任代理人が、信託債権について、必要な注意義務を怠り、再生手続きで満額分配を得られなかった場合、通常、代理人に求められる範囲と過失によるものかの判定基準をどう考えたらよいか。

上記①について、さらに分析する。
信託解除され、信託の委託者に戻された債権について、債務整理、過払いが発生していて、債権届出する場合、仮にH15.8.1~H19.7.31までの期間、信託にあり、それ以降、信託委託者にもどっている場合をどう対応するか。信託が不当利得を得ていた期間分、信託に請求できるか。

不当利得返還請求権者としては、誰から返還されても同じなので、譲渡者と譲受人の連帯債務と考えて、再生会社から満額とれたら解決とし、あとは信託銀行と再生会社との内部求償の問題とされる。満額分配を再生会社から得られないとき、信託保有にあった4年分について、信託に訴求していくことができるか。その場合、4年間、信託にあったことを証明しなければならないので、裁判所に文書提出命令を出してもらう必要がある。その場合、債務者には、戻された債権か、信託に一度も譲渡されたことがない債権なのかの識別が分からない。そうすると、本件の請求を求める場合、全部の債権について、文書提出を求める必要があるか。

過払い金は、保有期間寄与分責任でなく、譲渡人、譲受人、双方の連帯債務か

過払い金返還請求権を再生債権として届出するとき、当該債権を発生しむる債権が信託財産にある場合、債権認否で否認されるか?

通常廃業などで貸金業の債権が譲渡される場合、これは営業者の地位の譲渡を伴うものですが、過払い金債権については、譲渡者と譲受人双方に請求ができるというのが下級審判決です。不当利得返還請求権は、いずれを当時者としても訴求できる。
たとえばH15.2.1に信託移転されていたとしても、H15.1.31までの過払い金返還債務の責任が譲渡者にあり、それ以降が受託者という寄与に応じて独立して請求するのではなく、共同被告として訴え、両者の連帯債務として、支払いができるほうに全額を支払わせ、期間の寄与分については、内部求償の問題にする。

そうだとすれば、その裁判理論を応用すれば、地位の譲渡をともなわない債権譲渡だからといって、保有する間の回収金は信託に全額交付されている以上、届出債権の原因が向こうとして、否認されることはないはずです。地位の譲渡の結果、債権も同時に移転しますが、地位が譲渡されていないといって、債権譲渡と権利の内容について、差はありません。
しかしながら、本来帰属する信託債権から返金しなければ、再生会社の財産は、その分不当に減ってしまいます。他の銀行債権者が同意できないかどうか。

さて、再生債権として、60%しか分配が得られなかったとします。
そのとき40%については、過払い金返還請求を生じさせる債権の帰属が信託財産であれば、受託者に請求にいけることになります。また過払いの発生していない債権についても、もし債権の登記が受託者にあるままであれば、金利引きなおしで債務が消滅したことを確認するか、確認の訴えを提起することになります。
したがって、もし過払い金について債権届出否認がない場合にも、債権の帰属を明らかにしてもらう必要が生じます。
もちろん届出を原因無効で否認されるのであれば、帰属を明らかにし、手続きとは別の個別に訴訟を提起することになる。



証券化オリジネーター倒産手続き開始決定後の貸金業法24条2項債務者通知の適用の要否
ver.4 追加補足フォント)
クレディア 倒産で見えてきた 証券業界の欠けた消費者保護 (訂正ver.2)
 の補足と再考

これまでの貸金債権証券化で24条2項通知適用の是非についての公表された論考は、想定される証券化の契約関係から、債務者の置かれた状況を考量し、通知不要を確認するようなものでした。
それは、証券化譲渡者に排他的に取立て委任がなされていて、信託銀行は、直接取立て権限を持っておらず、債務者に対して、請求、権利行使をする立場になく、債務者を不安にすることがないからという取引実質を重んじたものです。取立て権限が譲受人に移転していない限り、その結果借り手と貸し手の実体的な関係に影響がなければ、通知不要という説です。(片岡義広/大嶋正道「資産流動化と貸金業規制法第24条2項の適用について」月刊消費者信用2002-4、道垣内弘人「資産担保証券と貸金業規制法」高木多喜男古稀記念「現代民法学の理論と実務の交錯」2001.12.4 成文堂)
通常証券化を前提にしたとき、厳格に読めば、法律上取立て権限を持っていないとか制限されているというのではなく、権限はあるが委託しているに過ぎず、いつでも委任を解除する権利を有しているというべきところです。大蔵省の貸金業法に関する以前の解説本のなかで、取立て権が留保されている譲渡担保の場合には、予約完結権が行使されるまでは、債務者に不安定な法律関係が生じないので、不要との見解が示されていますが、証券化も取引実態が同じであれば、それと同様の扱いでよいという指摘があります。
いずれの説も、予約完結権が未行使状態にある譲渡担保と同様に、取り立て権限が留保された実体関係では不用説を主張される。予約完結権の行使前の状況とは、担保権設定が完了しておらず、効力が生じていない状況をさす。予約完結権を有していても、実質無担保状況であり、その状況と証券化とは、譲受人の利益状況は著しく異なる。
前掲片岡/大嶋は、債権譲渡が取立て権限留保条件付でなされた場合について、譲受と取り立て権限移転のふたつの要件が具備されたとき、はじめて24-2通知適用要件が満たされ、取り立て権限の移転を伴わない信託譲渡の段階では、まだ法の規定の適用がないとする独自の裁判規範としての要件論、要件事実認識論を展開される。ところで、信託法1条は、信託譲渡により、信託の効力発生で、受託者には管理処分権が委ねられることになる。権利帰属が移るので、当然に処分権は移転されると考えれば、管理権を分属させ、譲渡者に留めたような権利の信託を主張されることになる。
証券化が信託を利用したとき、取立て権限が債権から切り離され、移転されていないと事実認定の評価は、どのように考えたらよいか。通常の証券化でよくみられるように、信託の成立と同時に、受託者が、信託譲渡契約とは別の独立した契約によって、取り立て権を譲渡者に委託している場合には、信託契約で取立て権限が譲受人に移転されてこそ許される権限委譲であるので、そうした場合には、取立て権も一旦は譲受人に移転したことが合理的に推認される。真正売買の関係で、サービシングについて別の実体を求める法律実務家の要請に基づくと考えられる。
特殊な債権譲渡でない以上、債権の譲渡である以上、その本質である請求権と強制権(訴求権)は譲受人に移転されるが、片岡/大嶋理論では、譲受人本人には回収する権限があたえられないと譲渡を実体構成する。すなわち、譲渡された権利の実体上、明文による取り立て権限が移転されないとする規定が信託契約に置かれるとみられる。なぜなら特に定めがない場合には、当然に取り立て権の移転も伴うものとみなされるからだ。そうした規定がない場合の解釈論として、契約の実体上の議論でなく、実態上は取立て権が留めおかれているという譲渡担保の予約完結権と同視しうるという権利があたえられているという思考に基づくものか。
取立て権を譲渡者に留めたまま債権譲渡と共には移転せず、受託者との間でも別途の取立て事務委任契約がないよう信託契約を構成すれば、片岡/大嶋の実体をつくることはできる。たとえば、アメリカにおけるpooling and servicing agreementでは、表題の通り、別のservicing agreementを別に作成しておらず、譲渡の一体のなかに、取立て事務を委任する。その場合、取立て権が移転されていないと法的構成できるかは疑問である。なぜなら信託受託者が譲渡者に回収事務を委任しているのだから、権利を持っていなければならないからだ。
そうすると、片岡/大嶋理論が前提にするのは、譲渡担保と全く同じ法的な地位状態を意味するのだろう。その場合に、受託者に移転された権利について、取立て権移転の時期あるいは予約完結権の停止条件を定め、譲渡者信用事由を特段の事由として、自動的に権利移転が発生するとするか。ただしそうした申立を停止条件とする自動的(あるいは意思表示により)予約完結権の行使が、譲渡者の財務的危機時の行為が認められるかは別の考察が必要になるだろう。
ここで疑問が生じる。取立て権が移転していないということは、取立てに関する義務がどうなっているのか。回収事務委託があれば、業務の定義と範囲、債務不履行事由と判断、その場合の解除権、損倍賠償請求、それらの権利放棄が定められている。他方譲渡担保では回収した資金はどのように使おうと、借り手の自由だ。証券化が譲渡担保と同じであれば、回収した資金は譲渡担保設定者が自由に利用できるし、その交付義務はないし、被担保債権に関して、担保権者に怠りなく債務を返済していれば、担保権実行の恐れはない。譲渡担保では、回収するもしないも、そもそもが回収委託関係がないので、注意義務や信認に基づく回収義務の履行も必要がなく、義務の履行遅滞、一部履行、不完全履行など債務不履行も陥らず、回収がないことで損害も補償されることはない。それが譲渡担保だ。証券化では、回収委託にもとづき回収された金銭は、すみやかに受託者に交付される。
片岡/大嶋理論を考察すれば、証券化というのではなく、譲渡担保金融にいきつき、それによっても証券(受益権)を販売することはできるのだから、そういう取引を想定さておられるのか。確かに信託委託者の信用が高ければ、そうした取引のほうが、不安なく購入する投資家もいるだろう。問題点は、個別行政手続法の解釈をめぐり、法適用を考える場合に、取引の具体的実体を説明することなく、事実を調査されることなく、全体像のイメージからだけで議論されると、すべてに当てはまるかのような誤解を生むだろう。
大方、これまでの証券化について、破産法や債権譲渡の学者が議論する場面で、実際に契約書を読まれ、法律構成を考えて議論されてきたのか。裁判規範の要件事実認定を議論されるのであれば、契約書を読んだ上での解釈を求めたい。ただ誰かに取引の見取り図を見せられただけの議論は、業者による学者の鑑定意見の誘導であり、学者も注意をもって、検討されるのが望まれる。
こうした行政監督法規は、貸金業者に法違反があっても、私人はそれを根拠に訴えを提起することは制限されており、監督機関が検査し、聴聞を経た上で、違反についての貸金業者の認識、過失を認めた場合に処分に至るほか、被害に対する救済の手立てがない。損害発生の原因を分析のうえ、請求原因はそれ以外の実体法理を使わざるを得ない。ところで、これまで24-2に関連して、債務者に被害があったかどうかはわからないが、金融庁は、本条にもとづく、訴えを提起したことはおろか、本状違反で処分もしたことは一度もないのではないか。抜かない刀はさびてしまったのか、もともと柄しかなかったのか。
これまで証券化の構造をサービシング契約を含む信託契約書を理解した上で、24条2項の適用の要否を検討された論考はなかったし、金融庁に対して、権利譲渡の法律構成を示した上での結論をもって、その意見に対してノーアクション・レターにより回答を求めたケースもありませんでした。
証券化では、いつも、譲渡者に倒産事由が生じても、証券化財産が譲渡者固有財産から倒産隔離され、財産権確保の保護がはかられているので、そうした証券化は安全だと説明されます。法律概念あるいはことばで言い換えれば、包括執行免脱財産となる扱いを受けられるよう、実体上の権利は手続き上で変更されることがないように法構造になっているので、債権は保護される。しかし、学者らは、24条2項を議論するさい、どれも以下の理由や状況を議論しておらず、証券化のため政策誘導的な論考だったようにもみうけられます。
 
①証券化は、完全な売却と同様なので、信託契約上、信託銀行が受益者保護目的で必要とする判断であれば、資産の質入、譲渡、交換、処分ができる。ただしその場合、譲渡者に第一優先交渉権があたえられ、同等の価格であれば、取得できる。
②証券化も譲渡担保と同様、譲渡者に、債務超過、支払不能、倒産申立などの事由が生じた場合には、信託銀行は、いつでも(譲渡者の許可なく)債務者対抗要件を具備できるし、通常しなければならない。ただし契約上明文規定がないが、当然なこととして、過半あるいは定めた比率の投資家により一時的猶予を認められる場合を除く。
③信託財産に債務整理や法律行為を伴う場合の対処について、言及がないこと。裁判上の訴えを含む債務整理(過払い金を含む)があった場合、給与差押など、取立て権限のなかに、本人が誰かの帰属を明らかにしないで、債務者に通知することなく、代理交渉権限をあたえられていることになります。学者がこうした取立て権限の法的性質をどのように考え、どうしてこれについて、検討を欠いているかは、わかりません。無償の委任であれば、法律行為を代理、委任することは認められるか。弁護士法との関係はどうか。しかし表見代理が推定されようと、それ以外の委任であろうと、訴えを提起するかを含め、どのように執行するか、債務整理をすすめるか、任意処分するかは、債権の保有者が決めることで、その承諾を得る必要があるのか。不要とすれば、そういう取立て権であることが明文規定されていることが推定される。法律行為をする権限があたえられていなければ、内部的には無権代理の問題が生じる。
しかしながら③が不要であるのは、倒産申立前の正常業務時期においては、債権の権利行使について、法律行為が必要な場合に、信託を解除し、戻し譲渡をするから許されるのであって、それが禁止される包括執行手続きあるいは保全手続きのもとでの対応を議論するところでありません。もっともそうした手続きでは、倒産債務者に対する債務整理を含む個別訴訟は、包括手続きに組み入れられ、個別の執行が許されないから不安がないという主張があるかもしれません。しかしながら、登記上第三者対抗要件がすでに具備され、法律関係が固まっている場合、事実行為としての債務者対抗要件は否認される行為対象ではないでしょうから、仮にバックアップ・サービサーが信託銀行によって債務者通知を指図されることはありえます。この場合の債務者への譲渡通知とは、権利関係確定と債務者を不安定な状況におかないための債務者対抗の意味での通知を意味し、業者行為規整法としての24-2目的の譲渡通知ではなく、それが同時に24-2を兼ねるというにすぎません。
 
したがって、こうした理由から、貸金業法21条にもかかわる24条2項通知留保は、倒産申立以降は免除されない状況だと考えられる。第三者対抗要件が具備され、倒産手続きから分離され、その影響を受けない信託財産であるので、債務者通知は、債務者に自らが置かれた法的な地位を知らせるためであり、メールを含めどんな方法によってもよかろう。
「あなたの私Yに負っている債権はXに、yy年mm月dd日に譲渡されました。いっさいの取立て権限は、排他的に譲渡者Yに留められており、Yはあなたからの返済を収受する権限を有しておりますので、譲受者Xが、あなたに対して直接回収行為、権利行使をすることはありませんので、返済はこれまで通り、Yに対していただければ、有効な弁済となり、その分債務は消滅いたします」と。
それでは、倒産申立事由後をどう表現するのか。続けて「ただしYに生じた倒産類似の申立、倒産類似の手続き開始決定により、手続きのもと、取立て権がどのように権利変更されるか分かりませんので、ご注意申し上げます」とは、不安の抗弁を掻き立てるような通知できません。だからといって、それを理由に、24-2通知義務を免除されるべき利益状況なのか、再考を要しませんか。 

上記以外の参考論考として、
今野裕之「貸金債権証券化と貸金業法上の問題点」NBL710
田中幸弘「貸金債権の証券化をめぐる法的問題と.......」BKC編消費者信用ビジネスの研究
東京スター法務部長澤氏は、銀行法務21の巻頭コラムで、24条通知義務は取引上の障害となり、実務上まったく不要論を展開されていたことを記憶している。解釈誤りかもしれません。ご確認下さい。
 
 

過払い金返還請求権の法的性質決定
 ~ 共益債権的構成の妥当性

貸金業債権の利息制限法適用金利を超過する金利支払いにみなし弁済を認めない場合に発生する不当利得返還請求権(以下「過払い金返還請求権」)の法的性質決定

しばしば貸金業者倒産処理において、過払い金返還請求権を共益債権化することが、会社更生や再生手続きをスムーズに進めるため、あたかも当然の必要な処理のように主張される方がおられる。あるいは満額返済を承認しようとする意見がみうけられる。倒産法制に、あるいは立法意思にも、過払い金返還請求権がの扱いについて特に定めがないというのに、特殊な優先的扱いをしようとする経済政策的な目的の妥当性を法律のなかに、どうやってみいだしたらよかろうか。
実体上の過払い金返還請求権の法的性質を検討することなく、倒産手続き上の権利変容と性質決定を論ずることはできないだろう。
もし倒産手続きで、過払い金返還請求権を租税債権などに次ぐ優先的扱いを認めるか共益債権としようということであれば、個別執行において、他の権利と優先権を争う場合に、過払い金返還請求権が優先するとしなければ、法の権衡を欠く。倒産手続きは、個別執行を制限して、債権者平等の分配を目指して、集団的に包括執行するために、権利変容を認めるにすぎず、倒産法制において、それでも特殊な扱いを認めるとすれば、法制度目的に適っているかということになる。
そこで倒産法適用での過払い金返還請求権の法的性質決定をする前に、実体法上の権利の性格について考える。

過払い金返還請求権の法的性質ですが、以下二通りあると考えられます。
①債務者本人がみなし弁済否定の意思表示をしてはじめて、発生する。請求がなされるまで、権利は発現しないで、眠っているsleeping right。
②債務者本人のみなし弁済否定の意思表示の有無にかかわらず、独立した金銭債権あるいは財産権(意思表示により発生する条件付債権ではない)として現存するから、訴訟上の権利についても、第三者による差押も、債務者に事前の通知なく、債権者代位権行使も、代位訴訟による訴訟追行も当事者適格性を有し、法定訴訟担当が可能となる。

②では、本人の意思表示にかかわらず、不当利得返還請求権は存在しており、本人の意思表示があろうとなかろうと、客体に対する代位権行使を強要することができる。この法的性質にもとづき、地方自治体の住民税債権、国税債権、国保らは、代位権行使には違法性がなく、本人が知らない間にでも、過払い金返還請求債権に、差押、執行処分できる。

①は、権利が客体として独自に存在するのではなく、本人の事由意思を伴う形成権的性格を帯びる。それについては、誤解をおそれずわかりやすくいってしまえば、権利の分類法の表現としては不適切ですが、アナロジーとしては身分的財産権のようなもので、遺産分割請求権や遺留分減債請求権といったものにある意味で近いかもしれないが、身分的制約を受ける権利ではないから、誤解ものとだ。もっとも、請求権的性格ではなく、形成権としても、代位権の目的になるから、客体の発生を本人の意思にかからしめるかどうかは、議論不要だろう。

債務者に過払いが発生していることが明らかであれば(どこで借りているかさえ国など債権者が知れば)、(債務者が過払い請求を行使しないで財産権を隠しているなら)、債務者に無断で、あるいは債務者の意思に反しても、国、地方が、代位権行使して、消費者金融に対して直接請求して、とりにいけるという戦術がすでにあちこちで展開されています。一般の財産権としての扱いである。意思表示がないのではなくて、また債権者から財産権を隠す悪意はなく、無知によって権利が発芽しない状況にあるに過ぎず、第三者が権利の存在を知れば、代位行使により、権利を実現できる。

債務者は自らの信用状況を考えながら、請求をするかどうか考えるのであって、代位権の濫用のようなものだと、当初、私は考えておりました。お前は法の基礎ができていないと、大目玉の説教をうけたことがあります。(注1)

代位権は、債務者が、支払不能、債務超過で払えない状態で、しかもどこかに債権を持っているとき、それに対して権利行使しないで、放置しているときに、国税はその財産権に対して、代位権を行使して、管理権を行使できる。訴訟法上も、当事者適格として法定委任関係にあるにすぎない。そして権利行使には、債務者の事前の承諾はいらない。承諾をとったら許可がでないこともあり、また先に手を打たれ、財産が隠されるかもしれない。

国税、自治体などの判断は、すでに、過払い金返還請求権は(金額が不確定ながら)財産権として、消費者金融業者の財産に眠っている。債務名義は、すでに国税で未払いがあるのでそのまま取れるので、差押にいける。過払い債権が発生していようがなかろうが、差押て、空振りになることもある。国や地方から請求があれば、業者は、履歴開示請求され、個人情報法上の制約も受けない。(注2)

私は、財産権が発生していない、すくなくも、本人が過払いの意思表示するまでは、財産権が発生しないという意見を古い考えに固執してた。度重なる最高裁判決で、すでに昨年後半からは、その考えは通用していなかった。客体として、独自の財産権という位置づけはしていなかった。過払い請求もしてしまったら、他で借りれなくなること、借財能力も返済原資の資力であり、他社の債務整理も同時に進めるなどあって、信用情報の毀損といった本人の被害を考えれば、意思表示や同意がなければ、不当な代位権行使だろうとさえ考えた。

私には法の根本理解が欠けていた。どこかでドラスティックにかわってしまっていた。
いまや地方自治体は、雪崩を打って、差押に入っている。訴訟代位の件まで見られる。債務者に共同訴訟参加を求めるかどうかはわからないが、国、地方ならそれさえも不要だろう。国、地方の私的財産権に対する侵害かとも不安がよぎるが、支払い不能に陥ったものに対して、債権者に個別の財産管理権を認めるのはやむをえないだろう。不当利得返還請求権は、ふつうの金銭債権として今や認知されている。ただ金額が不確定なだけ。クレサラ弁護士らは、この一般財産権説を勝ち取るため、最高裁判決までとってきた。

さてこうして、過払い金返還請求権が無知を理由にする請求さえだされていない債権であるので、倒産手続きにおいて、消費者の無知に乗じて、発現しないまま切り捨ててよいかどうかは、政策議論となる。気づいた債権者だけに財産権を認め、気づかなかったら、切り捨てる。倒産法の原則は、平等、公平ではないか。

しかし過払い金返還請求権が一般の財産権とすれば、組み分けとして、先取特権的扱い、担保権的扱いを受けられるわけではない。通常の主たる営業から生じる債権であるだけに、共益債権という扱いが相応しいかは、また別の検討となる。一般債権者以上の扱いとなる理由付けは見つかりそうもない。かりに地方自治体が、税金未払い者リストを再生債務者に対して提示し、20万人の生き口座と60万件の不稼動口座(完済と貸倒による)について、過払い発生の確認を求め、再生手続きのなかで代位権を行使することは認められる。もし別除権行使により、過払い金債権の帰属が再生会社から分離して移ってしまったときの訴訟法上の当時者適格の問題が、そもそも争いになるのか。

なぜ過払い金返還請求権が一般の財産権だということを説明するかといいますと、いまだ貸金業者側、証券化側の経営者や弁護士らのなかには、過払い金返金の法的性質を財産権と認知していないように見受けられ、代位権行使を不当性を説くものがいるからです。みなし弁済否定の意思表示を条件にして、発生すると考えている。
それを根拠に、金利ひきなおし計算をしないのです。請求があればする。過払い返還金債権について、業種が破産した場合に、破産裁判所も同様な評価を与え、無知に付け込んでsleeping rightを放置、切捨てる決定をすることができるだろうか。しかも後で気づいた権利者には、権利をみとめないと。

もし倒産手続きで過払い金返還請求権を共益債権として同等な結果となる扱いとして、特殊な権利の追及権を容認するのであれば、無知による非債弁済により、再生債務者には、預かり金が発生していると解して、これは返金すべきものだと他の債権からは区分する。請求権ではあるが、法的性質は預かり金とする。預かり金であれば、それを信託的構成でとらえ、管理者は固有財産から分別した管理を義務付けられ、請求があるるまで、信託財産として管理されるとする。そんなとっぴな発想は、他の権利との権衡、バランスを考慮し、事実認定審だけで決することができないでしょう。
昨今の判例を見るにつけ、眠った財産権にも5%金利がついていることからも、通常の財産権であるので、引きなおし計算をする義務があることを裁判所に求める根拠とはできないか。無知により請求をしなかったことに、帰責を問い、平等原則に反して、不当な扱いをできるだろうか。
今回は初めて、不当利得返還請求権について、裁判所の評価と法の実践がみられる機会となった。

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(注1) 以下参考に。ただし伝統的に議論があるところではありますが、代位権と訴訟法上の扱いについてご指摘を受けたように、法を誤って解釈している部分があり、誤解なきように。
税金滞納、過払金返還請求権を債権者代位権できるか-3 税滞納の回収に過払い金を利用する~ 無力な代位権、差押、取立訴訟 -2    税金滞納や未払い国保料の過払い返還金からの取立てと弁護士の報酬

(注2) 自治体が金融業者を初提訴へ   (8月31日7時50分配信 産経新聞より)
 県内の全市町村による一部事務組合「茨城租税債権管理機構」は30日、税滞納者が法定利息を超えて消費者金融「武富士」に支払った過払い金約160万円の債権を差し押さえ、武富士側に支払いを求める訴訟を起こすことを決めた。同機構によると、過払い金をめぐり自治体が金融業者を訴えるのは全国初。9月中にも提訴するとしている。
 同機構によると、今年4月、県内の滞納者の男性の過払い金を差し押さえ、武富士に支払いを求めたが拒否された。同機構は「過払い金は滞納者が保有する唯一の資産。回収して滞納税に充当する方法を確立し、市町村に還元する」などとしている。
 「グレーゾーン金利」は、利息制限法(上限15~20%)と出資法(同29.2%)の間の金利。最高裁は実質的に無効との判断を示している。これまでに、神奈川県や兵庫県芦屋市などで、税滞納者の過払い金の差し押さえが行われている。
 

クレディア 民事再生手続き 別除権の算定方法と再生債権、不当利得返還請求権

毎日新聞に、不当利得について奇妙な分配率の推定が踊った。確認してみよう。

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クレディアの営業貸付金は、たぶん870億円ほどとみられる。
3月末、消費者ローンは887億円、ビジネスローンが73億円、不動産担保が117億円、割賦96億円、信用保証債務572億円。
4月以降、消費者ローンとほぼ性格の同様の事業者向け無担保ローンについて、回収だけでほぼ追加の貸付が制限されているとしよう。他方リボができなければ、元利金を約定通り返済したり、一括返済したりする能力もなくなるので、月元本返済率は、4%くらいから、2%に半減するとしよう。貸してくれないから、インセンティブも減るだろう。約定通り及びそれを超えて払う返済比率が、仮に70%くらいあった水準から、どのくらい減るかは分からないが、完済するひとにも影響がでるので、月次の元本返済が全体で、半減するのはありえるだろう。

再生債権者の回収見込みを検討するため、9月末の資産負債状況を推定すると、
消費者ローン+事業ローンは、3月末から115億円の資産減(12%x960)で、845億円と見積ってみる。資産はそれ以外は増減なしとする。
銀行ローンは、510億円で、うち清水銀行が担保をとっていなかったということで、-23億円して、譲渡担保付ローンが487億円となる。
①担保設定できる貸付金額は、そうすると、845+117+96=1058
②再生手続きから除外される証券化260億円を除くと、  798億円
③銀行が譲渡担保登記を完了し、対抗要件具備も否認される恐れがないと仮定し、x110%の超過担保をとっていた場合、536億円
④差し引き担保設定されていない負担あるいは付着物のないローンは、262億円 (被担保権を除き、無担保債権の引き当て原資とできる額)

検討

問題は、③で、担保権者が手続き外で別除権を行使してくれたらいいが、銀行がこの財産を帰属清算できる状況にない。貸金債権を保有する金融機関は、誰にさービシング業務を委託しても、金利引きなおし計算し、残元本を算定しなおして回収しない限り、債務者の訴えがあれば、たえず不当利得+5%付利が発生するどころか、金利再計算で元本がいついくら目減りか分からない重大な偶発債務とリピュテーションなどの業務上のリスクをかかえたまま業務することになる。回収事務と計算事務を他人に委託して財産管理しているという譲渡通知を債務者に送付するか承諾を得る必要があり、譲渡の通知承諾が事実行為であって、法律行為でないとしても、それが被個起こす混乱も予想され、そうした業務上のリスクは避けたいだろう。当然にそのとき、引きなおし計算での債権額、みなし弁済がない場合の過払い金を記載することになる。銀行としては、担保があることは、債権保全上、必要資本や引当金計算上有益であるが、他方、そうした訴訟リスク付の有毒物を保有できないだろう。したがって、別除権は、債権者からお返ししたいと申しでて、担保権協定となるだろう。

担保評価をするときには、9月末時点で、担保設定された全債権について金利再計算をして、不当利得返還金が生じていれば、ネットして、担保価値を算定することをもとめるだろう。同様jに、金利ひきなおし計算した価格がわからなければ、任意売却、競売は困難であろうから、処分清算できて、不足額の確定のためにも、別除権行使の条件として引きなおし計算が必要となる。
仮に計算上、別除権価値が担保債権元本額x60%と見積もられ、担保債権者との間で担保権協定できていれば、別除権は、321億円となり、不足分の189億円+23億円(清水銀行)=212億円が再生債権となり、また議決権額となる。

現段階で、係属した争いを除き、金額確定し未払いの不当利得返還請求権が、かりに9億円とすれば、他に届出債権がないとすれば、
再生債権額は、221億円(212+9)
262億円の負担付着物のない債権があるが、引き当て財産価値は、資産種別にかかわらず、一律x60%の価値で算定しなおし、
157億円
となり、この時点で分配率は、71% 

金利引きなおし計算価値    60% 50%  40%  
別除権(億円)        321  268      214   
再生債権(億円)           221    274      328
引当財産価値(億円)     157    131      105
分配率                        71%   48%   32% 

信用保証業務の評価と委託契約の継続、解除の金銭評価

信用保証業務の先払い保証料について、保証委託事務の履行されていない期間が平均して半年とし、すでに発生した費用の事後求償権を差し引いて、金額算定上、ネット3か月分が未履行期間としよう。再生会社が当該保証委託契約の継続を求めても、保証委託の契約当事者は借り手とクレディアであるので、消費者から委託を途中解除されても、それにより生じる機会損失などの補償を消費者に求めることは事実上許されないだろう。
他方、保証の受益者となる銀行が、借り手から徴収したグロス金利から、4%をクレディアに支払い、保証をうける合意を、保証委託とは別に銀行とクレディアとの間で、借り手にサイレントで成立させており、実際に保証料を借り手に代わって支払っていたときには(法律構成は不明)、解除に伴う発生した補償請求がみとめられることも考えうる。その場合、委託保証料4%x(3/12)と委託者による一方的解除による損害金をネットして、ゼロとすることもありえるだろうが、保証履行能力もない信用状況で、保証委託料料をしていたという主張と証明ができれば、返戻はありえるだろう。再生会社は、2006年3月末から2007年3月末の間に、193億円から572億円に信用保証ビジネスを379億円も増加させている。1%程度の返戻であれば、それほど再生債権に影響はでないだろう。ただ銀行が保証委託解除権を有しているとは法律構成できないので、そこが争点になるだろう。
借り手は、いくらかがクレディアに保証料として交付されることは、保証委託合意から推定されるが、委託手数料の金額が不透明であり、金銭の消費貸借のグロスの借入金利で考えていれば、それがパッケージされて銀行から資金が借りれたことを先行条件として認識しているとすれば、それを返戻せよとは、主張するものはいないだろう。

それ以外に、信用保証にしたがい発生した債務不履行債権の代位弁済請求があるが、どの程度残高があるかは不明。手続き開始決定と同時に解除できれば、今後については代位弁済義務は発生しないが、委託者が消費者だけに、解除を求めるのは困難だろう。

担保権協定

担保債権者である銀行は、任意売却が可能でない限り、利息制限法超過金利受領のあった債権について、別除権を行使することは、現実的ではないと考えるでしょう。
取引履歴データベースを構築し管理維持できるコンピューターシステムを持たない限り、クレディアに回収を委ねることになる。債務者を法的に不安な状況にしないため、債務者への通知を送付することになるので、コンピューターも取引履歴、口座情報履歴も保有せずということであれば、不当利得計算事務は全部再生会社にゆだねることになるので、自分では算定できない隠れた返還請求が出てきた場合や不法行為責任については計算不能であり、そうした偶発債務を負担できない。
その結果、担保権者は担保権協定を結ぼうとするでしょう。他方再生会社は、公表されている経営方針から事業継続に必要な財産とはみなさないでしょうが、結果として合意をとって、被担保債権を縮減し、分割弁済により担保権を消滅させ、無担保債権額を確定するほかない。
金利再計算による残元本価値、不当利得返還請求権の計算を再生会社に委ねる他ない。自分で確認しように正確な計算事務能力がない。それについては、提示した担保評価の計算方式による計算について、監督委員による照合確認作業を求め、正確性を確保するほかない。


債権譲渡未登記の担保権合意

実体上担保権が合意されていても、第3者対抗要件が具備されていない場合には、あるいは再生手続き申立を停止条件とする対抗要件具備(登記)が否認された場合を含め、無担保債権者の扱いとなる。したがって、
再生債権額 519億円+α(信用保証補償額)
引当財産  798億円(上記②)
引当財産額に一律x60%とすれば、479億円
分配率   92~90%


債権者からの再生計画の提案

債権届出前に、アメリカの破産ビジネスでなされるように、あるいはこれまで我が国でも稀になされたケースがあるように、ヘッジファンドやプライベート・エクイティなど、銀行の保有する債権を半値で買い集める業者と証券会社アレンジャーが表れ、再生計画に決議に十分な議決権額を握り、債権者集会を牛耳って、みずからの再生計画案を通すプリパッケージ・プランにもっていくこともありえるだろう。債権がいくらかによって、関心を引くだろう。提案には、株式取得や引き受け募集などを置くかもしれない。
その場合には、トラブルなく再生をすすめるため、債務者不安と社会不安を避けるため、届けられた不当利得返還請求には満額応じるだろうが、届出がなされない請求権については、切り捨てる方針をだすであろう。さもなくは、収益見込みが立たないからだ。あるいは金利ひきなおし計算を行ったうえの元本残高で再出発するかである。いずれが採られるかは、債権の買取価格如何によって、戦略は柔軟になる。
クレディアは手続き開始決定で、金利を18%に下げると発表した。債権届出をしなければ切り捨てられるだけでなく、開始決定時かろうじて債務が残っていた借り手もその後18%金利を払えば、過払いが発生する。過払いの認識なく非債弁済した善意の債務者を、切捨てられるかは、再生法の法理の運用では、救済の余地がないだろう。
したがって、「無法者」があらわれたとき、法の正義をもって、切捨てご免か。


不当利得返還請求権と再生計画案の議決権ほか

再生計画案の承認決議は、少額債券者保護の原則を取り込んだため、頭数が再生計画案を生かすか、否決するかの決定権を持つこととなる。再生手続き申立の時点で、確定した不当利得返還請求権が数ヶ月にわたって未払いになっていたり、数ヶ月の分割弁済約定されていて未済の場合もあって、現状の過払い実務から、このクラスの会社であれば、1000件を超える請求権が残っていることは珍しくないだろう。再生債権には、銀行の債権譲渡登記未了の担保ローン及び無担保貸付金、証券化受託者(手続き申立以降弁済禁止の保全期間中の証券化信託への引渡しのなされていない信託財産に生じた回収金の交付請求権)、信用保証の解除に伴う委託手数料の返還請求、信用保証にしたがう代位弁済請求、その他事務所維持のために必要なさまざまな契約から生じる債務など。
信用保証件数がどのくらいになるか分からないが、不当利得返還請求権は数では圧倒することになるので、再生計画案決議には、反対されたら大きな障害要因とになりうる。過半の承認が得られず、破産手続きに移行すれば、再生債権者が5割もとれないところ、再生手続きをスムーズに処理して、回収効率を高めたい債権者、特に割安に債権を購入する再生債権購入者にとっては、不当利得返還請求権を100%満額で(ただし5%の付利をしない)買い取ってあげるか、返済を条件づけれるなどして、再生債権から外したいと考えるだろうから、不当利得返還請求権は、共益債権化をしなくても、満たされる可能性が高い。
なお不当利得返還請求権を共益債権としての扱いを求める声が聞かれるが、実体上の権利としての不当利得返還請求権の法的性質を再検討する必要が生じる。そもそも当該債権が他の個別執行では、他の債権に優先するという位置づけでもなく、包括執行になったからといって、担保権にも優先するとする扱いにはバランスを欠く。現実には、再生が目指されれば、議決権数を減少させるために、満額買取あるいは返済される可能性が大きいのではないか。

再生計画の承認決議が得られず、破産に移行した場合、証券化サービシング事務委託契約、取立て権限を留めた担保ローンの取立て委任契約は、解除されることになる。したがって、銀行は、自らで回収する意思がなければ、任意売却をすることになるだろう。
証券化については、破産移行により、バックアップ・サービサーに交代になるが、その時点で、債務者への譲渡通知(貸金業24条2項通知)が送付される。信託銀行は、金利引きなおし計算した元本額でなければ、のちに過払いが発生してしまう訴訟リスクから、また金利引直しし計算機能あるデータベースを引き継がないとすれば、再計算後の金額で請求することになるだろう。受託者は、引きなおし計算するか否かの判断について、証券化の顧問弁護士の意見あるいは助言にしたがうかもしれない。

貸金業法24条2項通知

民法467条は、債権譲渡の対抗要件の方法を定めているから、貸金業法24-2がそれを上書きするに及ばない。したがって本項の目的は、いかなる目的で債権譲渡があっても債務者に通知することで、債務者の法的地位を不安体にすることがないよう配慮した規定ということになる。取立て権限を留めた場合の債権譲渡担保による貸付で、債権譲渡登記がなされている場合や証券化で委託者にサービシング事務を委託する場合に、借り手や信託委託者に倒産手続き開始があった場合には、すみやかに債務者通知をしない限り、債権の帰属が不明となり、債務者は不安な立場におかれることになる。
通常、正常な財務状況では、貸金債権の譲渡者兼取立て受任者は、貸金業法24条2項通知を怠ったとしても、債務者が不安になることはないが、こうした信用事由が発生したときまで、本項適用が任意と解してよかろうか。

知れたる債権者とは

再生法は、再生債務者は、知れたる再生債権者に、手続き開始があったことを通知しなければならないが(関連として法j34、35-3)、再生債務者に知れたる債権者に、不当利得返還請求権者が含まれるかどうかの解釈は、立法意思を確認する必要があろう。
そもそも借り手は自分の無知あるいは不知から、非債弁済があったことを認識にしていないし、認識できる立場にない。借り手は、当該請求権の存在確認をしてみないと分からないゆえ、取引履歴を求めることになる。再生債務者は、金利ひきなおし計算すれば、過払いが出ている不当利得返還請求権者を認識できるのであり、それが知れたるに含まれるのか、債権届け出前の争点となるだろう。


データベース確認

取引履歴から、金利引きなおし計算をおこなうにあたり、現在のホストのデータベースで可能か、プログラム照合をどうするか、再生債務者は、担保権者の求めに応じて、債権者がのメソッドを示される必要がある。債権者は、正確性を担保できないと考え、別除権の金額(再生債権となる不足額)について合意にいたらないとき、監督委員にシステム監査証明を求めることになるだろう。
通常勘定系のデータベースは、取引履歴情報については、個々の返済金額、貸付金額とその日時を取引マスター情報にもっているが、取引直後の債権残高については取引情報に保管される場合と、残高はたえず変動するものゆえ、取引と同時に同期をとって、ミラーして口座マスター情報に自動保管される構造をとることが多いとされる。そのときどきの適用金利、延滞損害金金利、前回取引日と約定返済日などの金利引きなおし計算に必要な情報や、利息不足金額、延滞日数情報は、口座情報に保管される。延滞口座は、取引情報だけであれば、取引がないので、延滞日数を表示させることがなく、前回取引日と約定返済日から口座情報で、延滞日数を計算し、延滞期間に損害金の金利を適用する。適用金利をインプット項目にして、貸付時にさかのぼり引きなおし金利を入力して、その時点の残高から現在の金がkうを再計算することになる。
ホストのデータベースでは、すべての取引情報を口座ごとに追跡する機能はあるが、通常、今日現在の状況の(現時点で締めたときの)口座情報のスナップショットをとることができるにすぎない。したがって、口座情報をどのくらいの頻度でもっているか、たとえば週1あるいは月1の口座情報をつなぎ合わせ、集計がとれるようにするプログラムが必要となる。
さまざまな理由で、口座情報のつなぎ合わせシステムが困難な場合、サーバーにデータを落とし、オラクルなどでSQLを書く方法があるが、それほどの作業量にはなるとはおもえない。
サンプルデータをつかって、システム職員のプログラムが正しい検証を行う必要がある。プログラム自体は、1~数人日でできるだろうし、出来上がれば、履歴10年の数十万口座について、数時間で再計算できるだろう。

民事再生で帰属が分からず、届出できない過払い債権の行方
(改訂版フォントブルー部分)
事業リスクをとるスポンサーがつかないで、このまま再生手続きがすすむと表面化する消費者(債務者)無視の証券化の本性
本質は、サブプライマリーな欠陥商品から生じている。


不当利得返還請求権の届出、申立先はどこか
 
クレディアは、再生手続き開始時点で、債務者に譲渡通知を送付したと聞いていませんので、債務者側では、債権の帰属が、どこにあるか、不知の状況です。債権が譲渡されたなど認識がないのですから、債務者が、不当利得返還請求権の届出を、出すことは当然でしょう。この時点で、訴求権は持っている。
しかし、クレディアは、移転された譲渡登記された貸付金について、受託銀行から、サービシング事務を委託されているだけですから、受託者の同意なく、金利引きなおし計算による残高で和解したり、不当利得返還について、認めたりして、積極的に「債権侵害」することは認められません。
金利引きなおしによる元本消滅が、法律行為になるか、事実行為であって、当然に権限内かどうかは、信託契約とサービシング契約にしたがいますが、記載はありません。利息制限法適用金利を超過する回収を認めて、再計算で債務消滅は事実行為と解されても、不当利得返還を合意するのは、他人の財産だけに、クレディアでは、受託者から、事前同意(本人の意思確認)がなければ、権限外行為になります。
サービサーのなした法律行為は、本人(信託財産)に及ぶかは、無権代理、表見代理の問題となります。すなわち、対債務者との関係では、債務者が譲受者からより譲渡通知を受けておらずあるいは債務者が譲渡を知る立場にないとき、そうした譲渡がなされていないという貸し手と受託者が作り出した実体とは異なる外観を債務者が信頼するにやむなき状況にあるとき、あるいは債務者の悪意について、受託者が証明することができなければ、取引上の安全から、サービサーが信託財産について不当利得返還を合意しても有効とされ、無効を主張することはできないでしょう。債務者が、権利の帰属が移っていることを知っていて、かつクレディアに権限がないことを知っていて、クレディアのス職員の善意を利用して債務整理した、過払い合意させたとなれば、本人(受託者)側から、無効の主張がなされるケースも理論上ありえないではないでしょう。しかし正式な通知がないのですから、確かなことを確認しようがありませんから、そうした主張に正当性はない。すくなくとも、受託者はいつでも通知をする権限を有しており、いつでも必要な場合には、譲渡通知を送付することを命令できる立場にありながらしなかったのであり、サービサーはそれに従っただけですから、そうした外観をつくりだし、不注意に放置し、任務懈怠なのは、受託者であるので、サービーサーの権限外行為の受け入れるに当然の帰責性があると考える。
そこであとはサービサーと受託者の間の対内的な問題となり、受託者は、委託者の権限外行為から生じた損害について、求償権が認められるに過ぎない。そして、その求償は、手続き内で、カットされる運命にある。したがって、信託財産が損失を被ることになる。サービサー法理というのはなく、サービサーの権限が、代理権限でもないし、一種の授権的性質を帯びた権限と思われますが、そうしたいい加減な法技術を海外から安易に摂取して、しっかりした法律構成もしなかったところから、問題は混迷するかもしれません。
 
不当利得返還請求権だけ切り離されて譲渡された債権譲渡ありえない
債権の権利の帰属を明らかにしない受託者の任務懈怠
 
債権を信託に移転するとき、委託者に、当該譲渡債権にかかり将来生じる不当利得返還請求権を委託者に留めたままで、権利は移転できるか。債権の全部を移転してしまって、債権の「瑕疵担保」責任による一部解除により、代金減額による補償請求するのが、通常の証券化だが、そういう契約は、できないことはなかったでしょう。債権の固有の権利である請求権の行使するサービシング権が委託者に留保されているのだから、債務者との間で生じる不当利得返還請求は随伴しないという何らかの法律構成を備えることができれば。
しかし、取引の実態から、あるいは、以下の記事の江川コメントからも、そうした契約はないでしょうし、法技法的にもむつかしい。
委託者兼サービサーは、信託債権にかかり元利金、延滞起きん全部の回収金を引渡し、サービシング期間ごとに(隔週か月次)、元利金別の受領額、延滞口座とともに、報告をする。
格付機関S&Pは、シングルA格付の信用補完レベルを計算するとき、金利収入にストレスをかけて計算をしますが、21~22%まで、受領できるとして想定しています。AAAであれば、18%まで、AAで20%までとか。
ムーディーズは、投資適格であるならば、18%までしか回収できないとして、超過担保、信用補完を計算します。
したがって、証券化期間数年にわたり、信託財産は、すなわち受託者の信託銀行は、グレーゾーン金利を受領しているのです。
利息制限法を超える金利の請求は、架空請求と認識しながら、容認していたのです。だから、訴訟したら、以下の判決のように、不利5%を信託財産からいただけます。
 - 札幌高等裁判所平成19年4月26日判決 (架空請求 CFJ)
 - 大阪高裁 平成19年(ネ)第676号 (架空請求類似 GE )
 
信託は財産が不当利得返還には十分な財力があります。しかも登記上は、期間も定めがある信託目的譲渡ながら、「神聖売買」ですから、委託者の民事再生手続きの影響をうけない。不当利得は信託財産の範囲で、満額えられます。
消費者100人から訴訟をうけ、過払いを払わないようなふとどきな金融機関は、金融商品取引法のもと、不法な回収を行い、返還さえもしないと、行政処分の恐れもあるでしょう。レピュテーション問題で、払うという選択をするでしょう。証券化の顧問弁護士、一般の会社弁護士は、支払いを提言するほかないでしょう。
不当利得返還に応じなければ、再生手続きが開始されたというのに、顧問弁護士の助言とはいえ(if any suggested)、貸金業法24条2項譲渡通知も怠り、未だに誰に帰属するかも債務者に開示しないで、債権届け出しても、請求原因認否で却下となるような事態となれば、受託者は委託者とおもに、共同不法行為責任を問われかねない。証券引受のアレンジャーも格付も、発行後すでに関係を抜けている。
 
札幌高裁:「グレーゾーン金利」を「架空請求」と認定  毎日新聞 2007年4月28日
利息制限法を上回る消費者金融業者の「グレーゾーン金利」利息請求を巡り、石狩市の女性が大手消費者金融「CFJ」(本社・東京都品川区)を相手取り、過払い金など約360万円の返還などを求めた民事訴訟の控訴審判決が26日、札幌高裁であった。伊藤紘基裁判長は「グレーゾーン金利による請求は、不法な架空請求に当たる」とする全国初の判決を出し、同社に過払い分約280万円や慰謝料など計約330万円の支払いを命じた。
訴えによると、女性は87年6月~05年9月の間、同社から借金した。女性側は昨年2月、「CFJ側は支払い義務がないことを告げずに利息を受け取り、不法行為が成立する」として札幌地裁に提訴。同社側は、グレーゾーン金利の根拠として出資法が定める上限金利(29・2%)を挙げ、「グレーゾーン金利は監督官庁も容認していた」と反論していた。1審は同社に約280万円の支払いを命じ、双方が控訴していた。
グレーゾーン金利の利息について、伊藤裁判長は「(双方の合意などの)要件を備えた場合にのみ受領できるが、CFJ側は要件を満たしたかについて立証していない」として不当請求と認定。「元本がなくなった後は、存在しない債務にかかる利息なので、架空請求として不法行為を構成する」と述べた。
 グレーゾーン金利は昨年12月、貸金業規制法などの改正で09年末をめどに廃止されることが決まっている。原告代理人の宮原一東弁護士は「架空請求と判断され、多重債務者の苦しみが裁判所に理解してもらえたことに大きな意義がある」とコメント。高金利問題に詳しい辰巳裕規・アイフル被害対策全国会議事務局長(弁護士)は「利息制限法で計算すれば過払いであるにもかかわらず、それを秘密にして請求する行為を架空請求と断じた判決は初めて。非常に画期的だ」と話している。【真野森作】
  
大阪高裁 平成19年(ネ)第676号 不当利得返還等請求控訴事件(平成19年7月31日言渡)
(6部)
原審奈良地裁 平成18年(ワ)第167号
GEコンシューマー・ファイナンス株式会社に対して,過払金返還請求のほか,慰謝料・弁護士費用を損害賠償として請求した事案の控訴審。貸金業法43条1項の適用が認められないとき、原則として悪意の受益者と推定されるところ、本件では例外を認める特段の事情はないとした。
債務整理の交渉では過払金返還が受けられず、訴えの提起がやむなき状況となったので、悪意の受益者に対する責任として、弁護士費用の相当と認められる額は、民法704条後段にしたがい、「損害」にあたるとして、損害としての弁護士費用20万円を認めた。
取引履歴不開示による不法行為  肯定一審被告の取引履歴の一部を消去したとの主張は,債権管理上看過できない不利益が生じるはずで、消去方法に関する書証との整合性を欠き、また開示した取引履歴との整合性も欠くから信用できず、保存していると認めるのが相当。
一審被告が取引開始当初からの取引履歴を開示しないため、債務整理を終えることができず、不安定な立場に置かれてれ、弁護士の助けが必要になったことから、慰謝料及び弁護士費用を損害として認めた。
一審被告は、数か月程度しか17、18条書面を保管していないため、みなし弁済が適用される余地が極めて乏しいことを認識しながら,あえて請求して収受しており,一審原告の無知に乗じて請求して収受してきたとして、社会的に許容される限度を超えた違法なものと評価せざるを得ない。過払金発生時に、法律上の原因を欠くことを知っていたと推認されるから、約定利率による請求は、架空請求に類似する。
 
貸金業法24条2項の債務者への譲渡通知後のサービシング事務
損害を被った投資家の損害賠償請求
債務者に対して、債権譲渡があり、その帰属が受託者に移り、かつ回収人としてバックアップ・サービサーを任命し、交代すると通知されても、受託者の代わりに、金利ひきなおし計算事務は、誰がやってもかまわないでしょう。あるいは債権譲渡があっても、回収業務はそのまま貸し手が継続するというのも、現実的でしょう。
なぜなら、以下記事 クレディア 民事再生手続き 証券化の受託者責任、投資家責任 で説明しているように、①ここの返済と貸出の取引履歴情報は、証券化以後も受託者に交付されていなかったし、バックアップ・サービサーも、過去10年分の取引情報と口座情報を保管して、計算事務をする技術的なデータベース能力を欠いているからで、また前掲記事に説明があるように、②サービサーが交代すると、訴訟において架空請求類似と評価されないために、金利ひきなおしして残高を計算しなおし、それを基準に利息制限法適用範囲の金利を請求することになるからです。 債務整理、取引履歴と台帳、データベース構造
金利ひきなおし計算に必要な全取引履歴情報と定期的な口座情報の受託者への交付と、そのためのデータベースの構築、維持を、格付会社、証券会社、及び受託者は、格付上あるいは取引安全上、受託者あるいはバックアップ・サービサーに求めてこなかった。したがって、経済利益を考慮すれば、交代刺せざるを得ませんが、信託財産は、債権が消滅しているのみ不当利得を認識しながら請求し続けられるか、違法性がとわれるかどうか、再検討となるでしょう。
バックアップ・サービサーに交代し、委託者が一部計算事務だけ委託を受ける場合、委託者には、どこまで権限が委ねられえるか。債務者は、回収権限を有するバックアップ・サービサーあるいは委託者に対して、訴訟申し立てするのか。否。バックアップ・サービサー、委託者は当事者適格がありません。サービサーは代理人にも足りない資格ですから。不当利得あるいは債務整理を目的とする債務者は、受託者に対して訴えを提起することになる。実際に不当利得を受けたのですから。
こうした仕組みは、オリジネーター倒産、特に破産の場合、回収業務をするひとがいなくなると投資家の保護が図れないクなるからと、信用が不安定な(投資不適格レベル)オリジネーター/サービサーには、信託設定当初にバックアップ・サービサーの任命だけしておき、万一に備えるというアイデアに基づきます。これは格付機関の提言によるかもしれませんが、格付会社は、破産のような清算を前提とするサービサー契約が解除されるリスクはどう対処するかの回答として、引受証券会社が提案したアイデアを格付機関が評価し、投資適格に適すると判断したに過ぎない。そしてダブルB以下のオリジネーターには、バックアップ・サービサーをあらかじめ任命し、信託契約に記載しなければ、投資適格格付を与えてくれず、証券市場へ入るAいくつの朱印状を発行してくれません。格付機関は、バックアップ・サービサーがあれば機能すると疑うことなく、信じており、民事再生申し立てしたというに、未だに格下げしていませんでした。委託者以外がさービシングをする時点で、金利引きなおし計算を求められることから、投資適格はありえず、サービサーが会社更生であろうと、民事再生であろうとサービシング事務を承継できることが前提になり、さービシング契約が解除される破産法適用では、取引は破綻し、投資元本の回収の見込みはありません。
格付会社は職業専門家として、職業専門家に必要とされる相当の注意をもって判断しており、私のような素人でも判断がつくことを認識していないと主張することはできません。したところで、任務懈怠、注意義務違反です。認識があって、かつ格付をし続けてきた。2007年に3件の最高裁判例が確立されてからも。
格付機関は、過失はないと主張することでしょう。なぜなら、格付機関は、証券化の専門の顧問弁護士に委託して法律リスクを検討し、その法律家の分析に依存して判断しているのだから、法律専門家でない格付機関が法律評価について、それ以上の検討したり、疑ったりする注意義務はないので、シティユーワ法律事務所がそう結論する以上、過失はないと、不法行為責任を否認するでしょう。また大半の証券化案件の取引顧問(有価証券発行届出の顧問弁護士)は、大手の渉外弁護士事務所が契約書作成を担当しており、さまざまな意見書とともに、ストラクチャー機能は何重にもチェックされているので、過失はないと主張するでしょう。過失を要件とする不法行為に取り込むことはむつかしくなる。しかし、この程度が予見可能性が困難だったというのでしょうか。他方では、発行当初から、過払い金で減資した信託財産に対して補償義務を規定しているのです。
損害を被った投資家は、格付機関と証券会社を相手に共同不法行為を争えば、その先は、彼らが弁護士を相手に、訴えを起こすことになる。ら、そんな状況は、予見の外だったから予防対策もできなかったと。
 
さらに重大なのは、消費者側、債務者保護の点だ
貸金業法24条2項通知は、任意規定か
 
再生手続きの債権届出の時点で、債務者は、債権の帰属くらい、明確にされる権利を主張できる法的立場にある。そうでないと、債権の存否を争うに、訴訟追行ができない。債権譲渡の通知をしないのは自由だが、それによって、債務者に混乱を招いた責めは負わなければならないだろう。譲渡通知がなければ、債権譲渡を債務者には対抗できないのだから、債務者が、債権は、オリジネーターに帰属していると考えるのが、合理的にも妥当ではないでしょうか。したがって、債権がすでに受託者にに移転され、信託財産が構成されているという理由で、届出債権が、請求原因を認めない(被告適格がない)という主張は認められないだろう。
したがって、譲渡の事実が不開示で、債務者は不知なのだから、証券化債権と自社固有債権とで、再生手続きにおいて、減免の扱いが異なることは認められない。あとは、内部的問題で、それは債務者が知ったことではなく、オリジネーターが受託者との間で争ってもらえばいい、と消費者側法曹関係者は考えるでしょう。
その場合、信託財産に対して、証券化サービサーにより侵害行為があれば、その部分は、委託者に対する補償(求償)債権に化けて、また損失全額がオリジネーターに跳ね返ってきて、全体のカット率に影響を与える。不当利得返還請求の優先順位がどこにおかれるかわからないが、実質的に、担保権、質権者の組より、下の一般の無担保債券者と同列の場合には、カット率に重大な影響がでる。
信託財産は、信託財産で切り離して、処理するほかない。債務者にとっては、信託財産はオリジネーターから破産隔離してあり、神聖不可侵の真正売買の法律意見もついているのだから、再生手続きとは別にして、影響をうけないまま、不当利得返還請求とそこまでいかなくても金利再計算で元本消滅をもとめたほうが、容易である。
消費者保護の点から、はやく帰属を公表するよう求めなければならない。すでに過払い金が確定していて、債権届出できる債務者はともかく、そうでない人も、できることなら、口座番号に識別フラグでも立てて、ATM上、認識できるようにすべきでしょう。店番の前か口座番号のあとに、何か記号や数字をつければいい。
そもそも貸金業法24条2項通知は、強行規定ではないのか。特にこうした混乱が予期できるとき、ローンの契約当事者に債務者に実体を通知しないで、法的不安定な状況にさらすというのを、金融庁は混乱が起こる前に、法執行を検討すべきだろう。消極的対応であれば、市場では、私的自治への介入不要と判断をしたとみなされることになるだろう。同法の執行については、監督官庁が処分を発令できるのではないか。
この際、信販会社キャッシング債権を含むいっさいの貸金債権証券化を見直し、完全に破綻リスクがないオリジネーターを除いて、譲渡通知を求める必要があるのか、法違反について、再検討が迫られている。こうした状況であっても、証券化取引顧問弁護士は、譲渡通知の必要性を提言していないのだから、消費者の間に混乱が予見される状況であれば、通知を強制すべきか、同条文の運用上の解釈を法執行という方法でしめすべきときだろう。
もっとも、譲渡通知をしなかったことについての責めは、債務者が、オリジネーター委託者と受託者を共同被告として、訴えを提起して、救済を求めるしか、方法がないのだろうか。たとえば、本来不当利得返還請求権が信託財産に帰属しており、過払い返還請求すれば、十分な資力があるにもかかわらず、債権届出して貸し手に対する債権としてカットされた場合には、不足部分を信託財産に対して訴求しうるかこれでは、証券化の倒産隔離が、本来権利者である不当利得債権者から遠く手の届かぬところにもっていき、包括執行免脱資産を作り出して、財産隠匿に悪用されたのと変わらない。無担保消費者信用の30%を占めるのか、260億円が神聖売買により手続き外に持ち出され、不当利得返還請求権者の訴求を回避する。

将来において、再生手続き期間中、過払い債権は、届出がなかった場合には、債権放棄とみなされるような見解が法律実務家の間で広がっている。債権届出する以前に、知られた債権者、再生会社が債権者と認識できる債権者には、通知を送付するのではないか。債務者は、自己の債務が過払いになっているかどうかどころか、利息制限法や判例の基本知識がなければ、債務が消滅していることの認識はない。再生会社は、金利再計算すれば、誰に不当利得が生じており、したがって、誰が債権者でいくらの債権が発生しているかを認識することができる。しかし、悪意をもって、通知不作為をして、しかも、将来になって過払い申し立てしたときに、再生会社は、請求原因消滅で、申し立てを却下するというのか。一部債権者への通知不作為は、手続き瑕疵になれば、無効を求めることになる。債務者に重大な過失があるわけでなし、消費者の不知と無知に漬け込んで、権利放棄の推定は、債務者利益を犠牲にしすぎて、平等分配のバランスを欠き、手続きの目的をたっしないのではないか。
 
証券化サービサーは、サービサー法での資格で、回収にあたっていません。債権譲渡を通知しないで、サービサーである立場を通知することなく、自分の債権として、回収している。譲渡の非開示の責めは、重大でしょうから、債務者に対する不当利得返還責任は、負ってもらう必要がある。
サービシング事務が、オリジネーター以外のバックアップ・サービサーに権限の委譲をすれば、他人の財産について、バックアップ・サービサーがみなし弁済を確認する術などないので、利息制限法以上を取り立てれば、架空請求となるので、利息制限法の範囲内に拘束されます。それをさけるため、実体上債権譲渡したあとでも、さらに移転登記が完全になされている債権というにもかからず、債務者に通知されることなく、サービサーは無資格で継続して回収している。もちろん、それについては、アレンジした証券会社、格付会社、オリジネーター、受託者らの顧問弁護士が審査し、問題なしとしているうえ、取引顧問弁護士が違法性がないという意見をしているので、それを信じた関係当事者に過失はとわれない。
24条2項通知が強行規定でないという解釈は、確か第一号案件、日立信販99年に遡る。譲渡通知なしでかまわないと、金融庁から確認が得られたと、市場に安心感をあたえたのは、ある渉外弁護士事務所と聞く。no action制度を使った文書回答があったわけではないが、貸金業法24条2項通知がなくても、行政監督機関による法執行がないという安心感から、格付機関も納得し、業界全体が外資系を中心に証券化に走り出したといわれる。
過去の経緯より、現在、こうした状況に置かれたオリジネーター委託者に、通知義務は不要なのか。関係弁護士は、必要がないという判断と推定される。もし必要だという意見を出しておれば、取引関係者はそれに従うからだ。
もしこの時点で、信託銀行が保有者だと分かれば、公表データで260億円?について、不当利得返還を起こし、金利引きなおしの債務整理を申立てることができる。債権届出まで待つ必要はない。そして全部認められるでしょう。訴訟しないで。相手は信託銀行、金融機関ですから、消費者とトラブルしていたら、業務停止どころか、免許停止になるでしょうから、事実が確かであれば、争わず、必ず全額払ってくれるでしょう。
消費者保護、それは犠牲されて、証券化が営まれてきた。資金をつけるのが優先課題だとして。
●●●

お詫びとお断り

下から4段目、日立信販99年以下の段落の説明で、8時半ころまで掲載された本項ver.1に、固有名詞(人物を含む)を含む記載に、事実にない記述が含まれていました。9:25のver.2にも一部事実でない誤りがありましたので、訂正させていただいております。関係者には、ご迷惑をかけ、申し訳ありません。読者の方にあっては、保存された方は、このverに差し替えて保存下さい。

クレディア破綻で見直されるか 貸金債権の証券化の法的性質決定

証券化に携わる機会のない債務整理の法曹関係者には、証券化の権利移転のメカニズムが分かりづらく、以下のクレディア民事再生でどうなる債務整理、不当利得返還請求権を読むことができません。
そこで、経験のない法律家の方にも、理解できるように、取引概要をまとめた。


1 関係当事者の法構造

① 受託者への貸金債権の権利の移転
 通常、債権の購入者/譲受者として、法人形態、SPCは用いられません。
 一旦登記上、信託目的で受託者に移転され、信託契約を結びます。 

  ② 受託者は、投資家への分配計算を除き、債権回収業務、回収金計算業務については、委託者に信託事務の一部として委託します。報酬は、名目的で、契約上費用負担分の求償さえする権利は認めらておらず、この委託業務だけ取り出せば、経済的合理性がありません。しかしながら、これが、法的には、独立した別個の実体取引といっても、資金調達全体が、委託者のためになされることですから、経済的メリットは多大です。

  ③ 信託受益権は、分配金の支払い優先順位に応じて、優先と劣後、それに優先と同順位の委託者持分に分けられます。委託者はによって、劣後、売主持分受益権は保有されますが、優先受益権はSPCに元本価額で現金を対価に売却され、SPCは、当該資産の購入資金を、引受証券会社を通じて、国内外でノンリコース(保有する受益権を唯一の引当財産として)の証券を募集販売して調達します。一般に信託財産が100に対して、優先受益権が80~85というくらいでしょうか。当初決められた優先比率を保つに必要な担保が維持されなければなりません。以下信用補完を参照。


2 信託譲渡、現在及び将来債権譲渡

  ① ローン契約の譲渡ではない。
  契約じたいの譲渡でも、契約の地位の譲渡でも、営業譲渡でもありません。ただ契約から生じた債権の譲渡です。

  ②現存債権と将来債権譲渡の予約
  信託設定時に譲渡されるのは、現存債権だけとなります。ローンの性格上、返済と借入が繰り返し随時なされるので、信託財産は返済された元本が減ってしまいます。減った分は、新たなリボ債権、途上貸付債権などの将来債権、それでも信託財産必要維持額に不足がある場合には、新規の貸付を継続して譲渡します。残高減少は、貸倒損失によってももたらされます。

  ③ 登記は、将来債権を含めた債権とし、信用枠を記載する場合、それも記載しない場合があります。将来債権譲渡期間は、証券の元本支払いの据え置き期間までとします。

  ④ 司法介入になった債務整理債権については、名義上の保有者を信託のまま、かつ譲渡された事実を通知しないまま、和解することが許されません。そこで回収報告期間(隔週か月次)ごとに、信託を一部解除して、委託者に戻されます。これも信託財産減少の要因になりますので、補填が必要になります。登記については、原則毎回解除登記をすることになります。さもなくは、他の目的で、担保利用ができません。


3. 信用補完とパフォーマンス・トリガー

  ① AA格付をとるための超過担保掛け目は、貸倒率によって異なりますが、年8~10%貸倒率であれば、優先受益権に対して120%前後か。信託財産は、格付を維持したいのであれば、必要額を維持することが求められます。ただし掛け目は、早期償還事由や準備金、それらの停止条件の組み合わせかたなど他の要因によってもかわりますので、何の条件もなければ、135~140%必要ともなります。
超過担保設定とは、便宜的に使っている用語で、優先受益権に対する信託財産価値の掛け目をいう。

  ② 無条件な超過担保は経済効率が悪いので、以下のパフォーマンス・パラメターによって、固定された金額ではなく、パフォーマンスによって随時変動するダイナミックな信用補完を備えています。元本返済率が[30]%低下したら、信託内に[  ]%の追加の現金を積み立てるか、担保掛け目を増やす。長期延滞債権率が[30]%増加したら、信託内に[  ]%の追加の現金を積み立てるか、担保掛け目を増やす。信託財産の利回り(あるいは信託費用など調達関連費用を収益から差引いたネット利回り)が同様に[ x  ]%悪化した場合にも、信託内に[  ]%の追加の現金を積み立てるか、担保掛け目を増やす。
新規に発生した初期延滞債権率や31日以上延滞債権率、司法介入率や貸倒率の増加も同様にパフォーマンス指標となる。31日以上延滞から翌月61日延滞へのローリング率、61日以上延滞から91日以上延滞へのローリング率から、信用悪化の状況を分析した上で、早期予防するために、信用補完の追加を検討される。
これらは、パフォーマンスが悪化するステージごとに、追加信用補完をトリガー(要求する)する方法なので、悪化しなければ、あるいは治癒して現状に戻れば、不要となり、あるいはその分の設定は解除される。これによって、リボ債権など担保財産の中身が年40%入れ替わる流動資産に対応した効率的な信用補完が提供される。
また借入社数の増加、借入総額の増加、働けない年齢層の増加など時の経過とともに信託財産の信用悪化にともない、追加的な信用補完が求められる。借入社数5社以内を当初譲渡適格基準としても、期中6社に増えた場合には、6者借りている債権合計額のx30%、7社x50%といったように。

  ③ ダイナミック・リザーブなどの信用補完設定は、現金準備金積み立てを抑えるため、パフォーマンス・トリガー・ポイントは細かく設定することができる。たとえば、当月新たに発生した31日以上延滞比率が信託譲渡時に、過去実績から1%とすれば、1.2%、1.3%、......1.9%と0.1%きざみにして、それぞれのトリガー・ポイントに応じた追加信用補完を決めることはできる。利回りであれば、当初年29.2%だったものが、22%以下、21%、20%とになった場合を想定して、追加信用補完を設定することができる。
細かい区分で必要な資本をつめる構造のため、ポートフォリオの質の悪化がないかぎり、信託設定当初、少ない超過担保掛目、準備金ですませることができる。そういうトリガー・メカニズムをいっさいとらないと、120%の超過担保が150%ということもありえ、担保不足となり、効率的な資金調達ができなくなる。

  ④ 信用補完基準は格付に応じ、格付会社によって決定されるが、格付会社は、過去のそれぞれのパラメターによる収益リスク変動から、信用補完率を独自に決定するが、証券会社の分析による提案をうけ、それを承諾するかどうかであり、その繰り返しのうちに、さまざまなパターンのダイナミック信用補完率が確定していく。


4. 早期償還

  ① 信託財産の特徴と証券の償還方法
信託財産の中身が返済・リボの自由な債権なので、元本返済があった場合に追加のリボの将来債権を譲渡しなければ、信託財産はその分が現金に変わり、それでは安全資産による短期運用金利しか利益を生まないので、信託の収益が悪化する。パフォーマンスが悪化すれば、利回りトリガーにヒットし、追加信用補完を求められることになる。といって、そのまま受領した元本を投資家に交付してしまえば、元本返済率が毎月4%あれば、調達期間は、2年半で終わってしまうばかりか、1年経過後には半分が償還されてしまい、資金調達のための証券発行費用を考えると、経済的に見合わない。そこで、受領した元本返済金は、リボ債権、途上貸付、一旦完済して当初の信託移転されたローンが消滅していても、その口座から生じるローンを継続して譲渡することで、信託財産価値と受益権価値を維持する。そのため、信託は当初の2~4年の間、将来債権と追加債権の譲渡を認め、証券はその間元本支払据え置き方式をとる。

  ② リボによる将来債権を譲渡し続けなければならないテクニカルな重要な理由は、別にもある。信託に譲渡された債権とリボを含む途上で貸し付けられた債権が別に保有され、債権の帰属が異なれば、どのように扱ったらよいか。登記実務は固定債権だけの譲渡で将来債権を含めないとすれば、問題はない。しかし、コンピューター・データベースは、持ち主を明確に識別しなければ、回収金の分配ができなくなってしまう。そもそも、リボ式ローンの場合、2種のローンが引き出されているのではなく、リボがあった時点で、一本のローンに統合される。したがって、共有持分でない方法で、2つの口座で、分別して管理することは非現実である。

  ③ ダイナミック・リザーブのパフォーマンス・トリガー・ポイントは、どこまでも許容されるわけではない。投資家証券金利+受託者報酬や調達関連費用総額が4%出会った場合、利回りが4%になっていれば、証券額面x100%の現金を積むほかないから、それが極限値になる。元本返済額がゼロであれば(金利しか払っていないケースが債務不履行にならない場合)、永遠に証券が償還されなくなってしまうので、その前のどこかのポイントで、現金準備が100%にいたる。通常、証券の最終満期日が8年で決められた場合に、それまでに払えるような元本支払率が計算される。しかし、その計算の前提として、格付に応じた信用補完が要求されるため、パフォーマンス指標は、性格の相反するものが組み合わされて使われるので、トリガー・ポイント限界点は、それほど遠い地点にはない。たとえば、元利金返済率が2.5%になったとき、超過担保掛け目が180%になって、それだけの債権が設定フリーであれば、供与できるだろう。代替的に現金準備金が、50%必要になったとしよう。そのとき、5割の資産が0.1%の利回りで、5割が27%収益であれば、利回りは13.5%しかなく、ネットの超過利回りは9%になってしまい、そのトリガーの限界点にいつかあたってしまうだろう。

  ④ こうして、各パフォーマンスのトリガーには、パフォーマンス指標の組み合わせによって、限界点がせっていされることになり、それを超えたら、証券の約定償還予定を諦め、信託財産の全額の回収金を前倒しして投資家に支払うことで、信託財産の質の悪化から回避するメカニズムが備えられる。元本返済率トリガーは、ある程度低下してしまったら、契約満期までに返済が不能になる上、返済期間が延びれば延びるほど、信託財産残高の当初に減少するスピードが遅いため、当初残高が高止まりして、当初の予定よりリスクに晒される期間が長引くために、所定の格付を維持できないポイントがある。したがって、格付の維持をするためには、相当早い時点で、早期償還トリガーがひかれることになる。
  ⑤ パフォーマンス・トリガー以外に、信託財産必要額(超過担保掛け目)を維持できなければ、早期償還される。
  ⑥ 早期償還ステージとなれば、回収金全額が優先受益権の配当に回され、償還されるよう定めがあるので、いっさいの回収金が劣後受益権配当にまわってこないことがありえる。


4. 一部信託解除による再譲渡

 ① 信託に権利が移転されているので、信託登記され、第3者対抗要件を具備しているが、債務者に対する譲渡通知はされておらず、債務者対抗要件は具備していない。貸金業法24条2項が要求する債務者への通知は、譲渡後も回収者が変わらないゆえ、未交付の状況にあるが、規制運用上、問題とされてはいない。これについては、法違反があるかないかについての顧問弁護士の意見が付されるわけではない。

 ② 債務整理、過払い返還訴訟、貸倒債権の取立てには、債権の権利主体を取り戻さなければ、交渉するための正当な法的な権限がないので、そのためには、当該事由の生じた債権に関して信託の一部を解除し、委託者に戻し譲渡しなければならない。

 ③ タイミングとしては、先に事由発生がある場合もあり、各サービシング期間(隔週あるいは月間)に関するサービサー報告書において、信託解除の債権リストを提出し、受託者合意を得る事後処理となる場合がある。

 ④ 信託解除された場合には、信託財産が必要額を維持できないので、相当分の追加譲渡が必要となる。 


5. 真正売買は契約法理の売買とは異なる法的性質

  ① 信託譲渡であっても、SPCに対する受益権の現金売却により、取引は完成される。信託委託者に生じたいかなる信用事由(倒産事由)から、信託財産は包括執行免脱を構成でき、管財人のリーチには届かないとする法律意見書に依拠して取引がつくられる。管財人によっては、手が長い人、短い人、延ばさないひと、それぞれおられるだろうが、法律構成はとにかく、実務上、倒産手続きの影響を受けないで、証券化が手続き外で処理されれば、真正売買要件を満たす。 この意見が出ない場合には、格付も取得できない。
  真正売買という契約法上の概念は見当たらない。これは証券化用語にすぎず、倒産申し立て時の一時的保全手続きかでの保全状況を除き、手続き開始決定後は、証券化信託財産が手続き外で、自由に処理できる権限があることをみとめられたのが真正売買法律意見である。これまで何度も証券化貸し手は破綻したが、この意見書が、裁判所で否定されたことはなかったが、それに対する裁判所の事実認定が審理されたことはなく、ましてや法律審がなされる機会はなかった。
一部の真正譲渡という用語を使うものがおられるが、この形態であれば、外形上は信託譲渡にすぎない。実質の議論として、目的達成のための願いがにじみ出ているが、不真正譲渡の対立概念でもなさそうだ。

  ② 一旦譲渡された以上、譲受者に、完全な権利が移転したのであって、譲受者に負担付あるいは制約のない自由な質権設定、交換、処分権が与えられる。ただし最高価格での第一優先購入権、同業者への処分に対する買取拒否権を委託者にあたえることは、真正売買の要件に反しないとされる。したがって、信託契約上、委託者に買戻権、再売買の予約はない。

  ③ 過払い債権や金利引きなおしで消滅した債権についての金銭補償を随伴するような債権の質を保証する合意も、真正売買の要件に合わなくなる。したがって、過払い金により損失を被った信託財産に対する補償請求は、受託者が独自の権利を行使するという方法をとられることで、真正売買要件否認を免れているのか。なお真正売買の具体的要件は、弁護士により開示されるものではく、個別取引のメカニズムを分析評価した上で、真正売買と認定される見解が出される。
 ただし、債権に生じた損失について、譲渡者に対する一部の求償は、合理的推定の範囲内であれば、真正売買要件の不適合にならないとする意見を持たれる法律実務家も主流とみられる。

  ④ 委託者は、劣後受益権を売却しないで保有している。また売主持分受益権とは、返済とリボなど追加譲渡の金額が毎回一致しないので信託財産が変動するために委託者が必要維持額を超えて有する財産に対する自己持分権であり、優先受益権と不可分共有持分的性格となる。

  ⑤ 優先受益権の配当は、証券の金利に連動するので、固定される。他方、劣後受益権は、信託財産のネット利回りが毎期決算ごとに(隔週、月次)払い出しされる。すなわち、100の資金調達に対して、120の超過担保設定がなされているとき、グロス収益は(未収債権比率を7%として)、
120x29.2%x.93=32.587
年総費用を調達額でひきなおして4%として(信託報酬+バックアップ・サービサー報酬+その他調達関連費用など)、利益は、28.587
しかしながら、債務整理、訴訟債権について、及び貸倒損失債権も、取立てのためには、契約上の地位が必要なので、それらは信託解除され、委託者に再譲渡されるので、信託財産を減少させるため、結果として信託財産必要額を維持するには、差し替え用の貸付資産が必要になる。通常これらは信託解除されるとき、超過のネット収益の限度で差引かれるメカニズムがとられるので(デフォルト・トラップ)、これらも費用とみなすことになる。仮に、年10%とすれば、
ネット超過利益は、18.587
20%の劣後持分に対して、18.587%の配当が出ることになる。ただし収益は、毎期パフォーマンスにより変動し、予定がたたない。

  ⑥ 劣後受益権は、上記の通り、収益を得るだけでなく、事実上信用リスクも負担しているので、収益的側面と求償的側面を併せ持つ証券となるので、債券的色彩よりも、株式的色彩を帯びた証券である。

 
格付会社の説明には
http://jcr.co.jp/reportqa/pdf/ssyouhi.pdf

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